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予選R最終週 全勝の久光とJT、埼玉上尾とNECがファイナルR進出へ優勢か【V Cup見どころ】

■V Cupとは?

 2月21日(日)にV・ファイナルステージが終了し、JTマーヴェラスが優勝でリーグを締めくくったV.LEAGUE DIVISION1 WOMEN(V1女子)。リーグが終了した翌週から、「2020-21 V.LEAGUE DIVISION1 WOMEN V Cup」と題し、V1リーグの12チームで順位を争う第二のリーグ戦が幕を開けた。この大会には、東京オリンピックへ向けた代表活動のためにチームを離れる日本代表選手たちは基本的に参加しない。そのため、同じチームとはいえリーグとはその顔ぶれが大きく変わり、観戦する側も、フレッシュな気持ちでもう一度リーグを楽しむことができる。

 

 3月27日(土)~28日(日)のファイナルラウンドまで、4週にわたり開催されるV Cupでは、まず、全12チームを2グループに分け、1回戦総当たりによる予選ラウンドが行われる。ファイナルラウンドでは、各グループの上位2チームによるセミファイナルが実施され、その勝者がファイナルに進出。敗者が3位決定戦を行うことで最終順位が決定される。

 

 日本代表選手たちの存在に刺激を受けながら、日々、技を磨いてきた選手たちがその成果を発揮する舞台、V Cup。代表活動で主力選手たちがチームを離れる中、V.LEAGUEでも活躍を見せた選手はもちろん出場機会が限られていた中堅選手や若手選手など、スターの原石たちがコートで躍動する姿に注目だ。

 

■ファイナルラウンド進出を懸けた順位争いに決着。Aグループでは久光とJTが全勝対決を迎える

 今週で3週目を迎えるV Cup。予選ラウンドも最終週に突入し、いよいよファイナルラウンドへと駒を進める上位2チームが決定する。まずは、Aグループの戦況から見ていきたい。現在、Aグループで首位を走るのは、久光スプリングス(3勝0敗9pt)。続く2位にはJTマーヴェラス(3勝0敗8pt)、3位にデンソーエアリービーズ(2勝1敗6pt)、4位には岡山シーガルズ(2勝2敗5pt)、5位にはトヨタ車体クインシーズ(0勝4敗2pt)、6位にヴィクトリーナ姫路(0勝3敗0pt)という順位で今週を迎えることとなる。

 

 今週、特に注目したいのが、ここまで全勝で戦い抜いてきた久光スプリングスとJTマーヴェラスの直接対決。ともに、学生時代から第一戦で活躍してきた有力な選手たちを擁し、主力メンバーが代表活動で抜けた中でも高い組織力を発揮しているチーム同士の一戦だ。

 

 首位を死守したい久光は、井上愛里沙や今村優香ら実力派のアウトサイドヒッターを攻撃の軸に据えて奮闘。世界レベルのブロード攻撃やブロックも武器に精神的支柱となっているフォルケ・アキンラデウォ、セッター対角に入り守備でも貢献する中川美柚など、主力選手はもちろん、サブメンバーも含めてベテランと若手が融合しながらチーム力を発揮している。大一番での勝負力があるJTに押されることなく、守備から攻撃への流れを安定して作っていけるか。

 

 対するJTは、先々週のトヨタ車体クインシーズ戦でフルセットの苦しい試合展開となったものの、そのハードな試合を勝ち切れたことはチームの自信につながっているだろう。攻守で魅せる田中瑞稀や、決定力が光るタットダオ・ヌクジャンら主力の安定感に加えて、サーブでも役目を果たし、ライトでもレフトでも対応できる器用な西川有喜の活躍にも期待がかかる。また、内定選手で、西川の高校(金蘭会高)の後輩である西崎愛菜もデビューを飾り、チームに新風を吹かせている。多くの選手がコートで役割をこなし、総力戦で臨むJTの戦いぶりをお見逃しなく。

    

 白熱必至の攻防戦が予想される中、冷静さを保って得点を重ねていくのは久光か、JTか。攻守での仕掛け合いは必見だ。

   

高い組織力で戦う久光。「V Cup」優勝なるか【写真:月刊バレーボール】

■デンソーが底力を発揮しファイナルラウンドへ駒を進めるか。後がない岡山は地力を見せたい

 ここまで2勝1敗のデンソー、そして2勝2敗の岡山も、何とかファイナルラウンド進出への望みを繋いでいる状況。

 

 特に岡山は、ポイント(※1)の関係で、JTが1勝した時点でファイナルラウンドへの道が経たれるという後がない状況だが、構えず力を出し切り、予選ラウンド最終戦となるデンソー戦を勝利で締めくくりたいところ。スピーディーなバレーで相手の隙をつき、流れをものにできるか。堅実な守備とキレのある攻撃で“粘り強さ”の要となり、チームの先頭に立って若手選手たちを支える金田修佳の活躍にも期待がかかる。

  

 また、デンソーもファイナルラウンド進出へ向け、今週が最後の山場となる。久光、岡山との連戦をものにし、ファイナルラウンドへ駒を進めることができるか。Aグループでトップの効果率をマークしているサーブで相手を揺さぶり、序盤から攻めの姿勢を貫きたいところ。技巧派のアウトサイドヒッター陣をはじめ、横田真未や大竹里歩ら、高い決定力やブロックでチームを勢い付けるミドルブロッカーの存在感にも注目したい。

 

※1:予選ラウンドの順位は、勝利数が多いチームを上位とする。2チームまたはそれ以上のチームの勝利数が並んだ場合は、ポイントの高いチーム、ポイントも並んだ場合はセット率の高いチーム、セット率も同率の場合は得点率の高いチームを上位とする。なお、得点率も同率となった場合は、当該チーム間での計算を行い、勝利数、ポイント、セット率、得点率の順で上位チームを決める。

 

■いまだ勝ち星がないトヨタ車体と姫路。リーグ最終戦で勝利なるか

 ここまで、フルセットには持ち込むもののあと一歩勝利をつかみきれないトヨタ車体と、ストレート負けの厳しい試合が続く姫路。トヨタ車体は今週、その姫路とリーグ最終戦を戦い、姫路は、トヨタ車体とJTとの連戦を控えている。

 

 渡邊彩やインドレ・ソロカイテらリーグでも主力で活躍した選手を擁しながらも、なかなか勝負をものにできないトヨタ車体。サーブレシーブが乱れた場面からでも攻撃を仕掛けていけるよう、二段トスの精度を安定させていけるかも勝利へのカギを握る。その中で、ミドルブロッカーやバックアタックを絡めたコンビネーションの質も高めていけるか。姫路戦で「V Cup」初勝利をあげ、V・チャレンジマッチ(入替戦)への自信につなげたいところ。

 

 決定力のあるミドルブロッカー長野有紗や、リベロとしてチームをバックから支える花井萌里らが、その堅実なプレーで貢献している姫路。V1参戦2シーズン目の姫路は勝ち星こそ遠いリーグであったが、これまでのリーグを通して選手各々が手ごたえを感じている部分もあるはず。その手ごたえを今週にぶつけ、勝利への執念を見せつけられるか。トヨタ車体とは、V・ファイナルラウンドの9位-12位決定戦でフルセットの末に勝利し、何とかV・チャレンジマッチ進出を免れた因縁がある。今回はどちらに軍配が上がるか、火花散らす戦いの行方をお見逃しなく。

 

ミドルブロッカーの横田真未(デンソー)【写真:月刊バレーボール】

■Bグループでは埼玉上尾とNECが全勝と健闘。隙のない攻守で魅せる両チームの対戦の行方は

 Bグループでは、現在、3勝0敗9ptで埼玉上尾メディックスが1位、同じく3勝0敗8ptのNECレッドロケッツが2位につけ、3位には1勝2敗4ptの東レアローズ、4位には1勝2敗3ptの日立リヴァーレ、5位には1勝2敗2ptでKUROBEアクアフェアリーズが続く。そして、新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言の発令により、緊急事態宣言発令地域での試合出場を見合わせているPFUブルーキャッツは、棄権試合も含めて0勝。なお、PFUは今週のリーグも参加辞退を発表している。

      

 Bグループを全勝で勝ち進む埼玉上尾は、ケガで戦線を離れた吉野優理に代わり、佐藤優花を先発で起用。その他、リーグから主力メンバーに大きな動きはなく、外国籍選手の高さを生かした攻撃や、内瀬戸真実、青柳京古ら主軸選手の活躍も力に総合力で勝利を重ねている。今週は、初日に全勝対決となるNEC戦、2日目に東レ戦を控えるが、まずは初日の全勝対決を制し勢いに乗りたいところ。

 

 同じく全勝のNECは、多くの若手選手がコートに立つ中、上野香織や柳田光綺、山内美咲ら中堅選手もガッツあるプレーでチームを鼓舞する。セッターに内定選手の安田美南を起用しながらも、持ち味であるオフェンス力を継続し、全員がハードワークに努めるNEC。攻撃力はもちろん、守備でもしつこくボールを繋ぐ粘り強さにも注目だ。今週対戦予定だったPFUが参加辞退を発表したことで必然的に4勝目を獲得するわけだが、予選ラウンド最終戦となる埼玉上尾との対決を制し、全勝の1位でファイナルラウンドに駒を進めることができるか。

  
■「V Cup」での底上げを図る東レ、日立やKUROBEも連勝で上位への希望繋ぐか

 3位の東レアローズは、中田紫乃や大﨑琴未らを場面によってアウトサイドヒッター、ミドルブロッカーのそれぞれに起用。また、セッター対角には、普段はミドルブロッカーをこなす小川愛里奈を起用しバックアタックをこなすなど、ポジションをまたいでの若手選手の活躍も光る。得点源の黒後愛や石川真佑を欠く中、中田や大﨑、野呂加奈子らアウトサイドヒッターの技量向上にもさらに務めていきたいところ。若手選手たちの成長度合い、そして、気迫のこもったプレーで見せ場を作る井上奈々朱のスパイクにも注目だ。

  

 また、日立は、リーグと大きく変わらぬメンバーで戦う中、長内美和子や上坂瑠子、野中瑠衣らが軸となり先週は東レにフルセット勝利。リーグでは出場機会が少なかった中村安里らもミドルブロッカーとして経験を積んだ。若手選手が多く波もあるものの、勝負どころでの強さは試合を重ねるごとに身についている。NEC同様、PFUの参加辞退により2勝目を手にする日立。KUROBEとの一戦に勝ち切り3勝とし、上位争いに絡んでいけるか。

 

 KUROBEは、東レ、日立との試合を残しているが、V・チャレンジマッチへ弾みをつけるためにも勝利で最終週を終えたいところ。内定選手の菊池杏菜らがセッターを務め、オポジットのシモーン・リーやアウトサイドヒッターの梅津憂理、舛田紗淑らを軸に巧みに攻撃を展開するKUROBE。他チームに劣らない実力をコートで発揮できるか、チームの戦略や戦術がある中でいかにチームとしてまとまりを意識しながら戦っていけるかが勝負のカギを握るだろう。

 

スパイクを放つ内瀬戸真実(埼玉上尾)。攻守でチームをけん引【写真:月刊バレーボール】

《V Cup 組み合わせ》 ※各項目をクリックしてリンク先へ   

<3月20日(土)>

島津アリーナ京都(京都府京都市)

第1試合(11:00) 

岡山シーガルズ vs. デンソーエアリービーズ

第2試合(13:00) 

JTマーヴェラス vs. 久光スプリングス

第3試合(15:00) 

トヨタ車体クインシーズ vs. ヴィクトリーナ姫路

  

所沢市民体育館(埼玉県所沢市)

第1試合(12:00) 

埼玉上尾メディックス vs.NECレッドロケッツ

第2試合(14:30) 

東レアローズ vs. KUROBEアクアフェアリーズ

                               

<3月21日(日)>  

島津アリーナ京都(京都府京都市)

第1試合(12:00) 

デンソーエアリービーズ vs. 久光スプリングス

第2試合(14:30) 

JTマーヴェラス vs. ヴィクトリーナ姫路

  

所沢市民体育館(埼玉県所沢市)

第1試合(12:00) 

日立リヴァーレ vs. KUROBEアクアフェアリーズ

第2試合(14:30) 

埼玉上尾メディックス vs. 東レアローズ

             

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