井口直紀(大分三好)がサントリー戦で見た先輩セッターの背中「追いつき,追い越せるように」
- SV男子
- 2021.03.27
左は、中学の選抜メンバー時代を含めて現在まで、井口とチームを共にしてきた古賀健太。今季の開幕は、このふたりのコンビ力に小川監督も期待を寄せた【写真:月刊バレーボール】
■環境の違いはあれど、勝利への執念は変わらない
VC長野にこそ勝利したものの、その後は再び厳しい試合が続き、大分三好は最下位を抜け出せずにいる。その中で井口は、「自分も山田もそうですし、若手ながら主力でチームを引っ張っていく中で、もっとアグレッシブにやっていかなければならない」と、闘志を燃やし続ける。
学生時代は各カテゴリーにおいて全国トップのチームに在籍したが、社会人になった井口は、より厳しい環境に身を置いている。大分県大分市をホームタウンとする大分三好は、三好内科・循環器科医院開業と同時に1994年に創部されたチーム。多くの選手たちが病院に勤務しながらバレーボールに打ちこんでおり、井口も、そのうちの一人だ。
大宅とは、チームの資金力やバレーボールに打ち込める環境に差があるかもしれない。
しかし、トップリーグで活動を続ける以上、勝利を追求するのは当然のこと。そうして競技を盛り上げていきたい、地元や応援してくれる人たちを勇気づけたいという井口の思いは、どんな環境であれ変わることはない。
■先輩に追いつき、追い越せるように
ネット越しに対峙した先輩セッターの背中を、とても大きく感じた2日間だった。しかし、井口は決してそのことを、悲観的には捉えていない。
「同期の金子(聖輝・JT広島)もここ最近、スタメンセッターとしてプレーをしている中で、自分も負けていられないですし、各チームで活躍する学生時代の先輩方にも、もっと追いつけるように。そして追い越せるように、チームの主軸として頑張っていきます」。
ルーキーイヤーに監督からチームを託された、かけがえのない経験と信頼を武器に。次は自分が、後輩たちが追いかけたくなるような立派な背中を示せるように。井口は今、再起を図るチームと共に、新たなバレーボール人生を歩んでいる。
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リーグも残すところあと2戦。V・ファイナルステージ進出を逃した大分三好は、3月27日(土)、28日(日)の東レアローズ戦でV・レギュラーラウンド閉幕を迎える。
今季一度も勝利していない相手との対戦だが、勝ち星をあげられなければ、V2との入替戦「V・チャレンジマッチ」への進出が決定する。入替戦進出を阻止し、V1残留を勝ち取ることができるか。まずはその目標を達成すべく、今週の大一番に挑む。
■井口直紀〈いのくち・なおき/大分三好ヴァイセアドラー/1997年4月27日生まれ/身長173センチ/福岡県出身/東福岡高→東亜大/セッター>