イタリア・ブルガリアを舞台に熱戦が展開中の『男子世界バレー2018』は現地9月23日、第2次最終日をむかえ、ファイナル6(第3次ラウンド)行きの切符を懸けたサバイバルは、ひとまず決着。戦いはここから、さらに世界最高峰のものへと激化していく。
第1次、第2次ラウンドと全勝でクリアしたアメリカ。頂点へ加速する(写真:FIVB)
9月23日の結果は以下のとおり。
■E組(イタリア、オランダ、ロシア、フィンランド)
イタリア人の観客たちからの声援を受けたフィンランド。最後まで健闘した
〇ロシア 3(25-17,25-19,25-22)0 フィンランド●
〇イタリア 3(16-25,25-20,27-25,25-15)1 オランダ●
前日にイタリアを下したロシアとあって、地元の観客たちはどこかフィンランドに肩入れ気味? 攻守で勝る相手に、泥臭くボールをつなぎ、最後まで果敢に戦った“アイスマン”たちに大きな拍手が送られた。トーマス・サミュエルブロ監督は「ここミラノで第2次ラウンドを戦ったこと自体が、信じられないこと。特に若い選手たちが想像を超えるパフォーマンスを見せてくれたことに感激しています」と大会を振り返った。
イタリアは第3次ラウンドを見据えて、主力選手を温存し、控えメンバーで試合に臨んだ。ルイジ・ランダッツォが23得点をあげる一方、身長210㎝のオポジット、ガブリエレ・ネッリが破壊力満点のスパイクで観客を沸かせた。イタリアのジャンロレンツォ・ブレンジーニ監督は「チームの全員が戦力であることを、お見せできました」と喜び、ファイナル6へ目を向けた。
■F組(ブラジル、ベルギー、スロベニア、オーストラリア)
“レッドドラゴンズ”ベルギー(コート右)は2セットを奪ったが…(写真:FIVB)
〇ブラジル 3(22-25,23-25,25-19,25-15,15-12)2 ベルギー●
〇オーストラリア 3(23-25,25-20,19-25,25-22,15-11)2 スロベニア●
ブラジルも主力を温存する中、Vリーグのサントリー・サンバーズでもプレーしたエバンドロ・グエッラが最多30得点をマークし、2セットダウンからの逆転勝利を収めた。敗れたベルギーだが、アンドレ・アナスタージ監督は「がっかりはしていません。なぜなら、相手は3セット目以降、私たちよりもさらに高いレベルのパフォーマンスを繰り出してきたから。この舞台で、チームの現在地を知ることができてよかった」といさぎよくミラノを去った。
オーストラリアはスロベニアとのシーソーゲームを制し、白星で大会を終了。ポイントゲッターとしてチームを牽引したリンカーン・ウィリアムズは「今大会は満足のいくものでした。ここからさらに良くなる。前進し続けます」と語った。
■G組(アメリカ、ブルガリア、イラン、カナダ)
大会を終え、地元のファンとの撮影に応えたブルガリアのサルパロフ(写真:FIVB)
〇アメリカ 3(25-23,26-24,26-24)0 イラン●
〇カナダ 3(25-19,25-14,21-25,19-25,15-10)2 ブルガリア●
今大会、唯一の全勝をあげているアメリカは控えメンバーで戦い、イランにストレート勝利。ジョン・スパロー監督は「驚きだ。(控えの)彼らの戦いぶりは嬉しいかぎり」と笑顔。一方、第1次ラウンドを4勝1敗で通過しながら、イランは第2次ラウンドで1勝もあげられず。ミルサイード・マルーフラクラニは「(第2次ラウンド初戦の)ブルガリア戦の黒星がすべて」と語り、「ファイナル6は楽しみながら見ますよ」とほほえんだ。
“バルカン・ライオンズ”ことブルガリアは最後まで開催国の意地を見せた。第3セットからコートに立った、ニコライ・ウチコフが20得点をあげ、フルセットに持ち込んだ。ベテランリベロのテオドル・サルパロフは「これが私にとって最後の世界バレーだけに、勝ちたかった…。ですが、最高の応援をありがとうございました!」と感謝を口にした。
■H組(セルビア、ポーランド、フランス、アルゼンチン)
世界バレー2連覇への挑戦権を獲得したポーランド(写真:FIVB)
〇ポーランド 3(25-17,25-16,25-14)0 セルビア●
〇フランス 3(25-16,25-20,26-28,25-19)1 アルゼンチン●
王者の帰還だ。ポーランドがファイナル6行きを決めた。バルトシュ・クレクがサービスエース5本を含む21得点の活躍で、セルビアにストレート勝ちを収めた。ポーランドのフィタル・ヘイネン監督は「こんな戦いができるなんて! 感動しています」と上機嫌。2連覇へ弾みがついたか。
フランスは、波に乗るイアルバン・ヌガペトが最多28得点をあげ、アルゼンチンに勝ち切った。パンジャマン・トニウッティ主将は「(今大会で)オランダ、ブラジル、セルビアに苦杯をなめたとはいえ、生き残ることができてよかった」と安堵の表情を浮かべた。一方、敗れたアルゼンチンのジュリオ・ベラスコ監督は「代表チームの監督としてはこれが最後になるでしょう」と引退を示唆した。
【第3次ラウンド進出チーム】
I組…ブラジル/アメリカ/ロシア
J組…イタリア/ポーランド/セルビア