『男子世界バレー2018』は最終決戦の地トリノ(イタリア)にて、現地9月26日から第3次ラウンド(ファイナル6)へと突入。3チーム2組による争いは、初戦からスペクタクルなゲームが繰り広げられた。
イタリアの観客も沈黙、のち喝采。それほどのパフォーマンスを見せたセルビア
■I組(ブラジル、ロシア、アメリカ)
ここぞでの決定力。ブラジルのバラセ、エースの風格(コート奥)
〇ブラジル 3(20-25,21-25,25-22,25-23,15-12)2 ロシア●
『逆転のカナリア』だ。ブラジルがロシアに2セットダウンからの劇的な逆転勝利を収めた。
ロシアは序盤からドミトリー・ムセルスキーが強烈なサーブに加え、高さを生かした攻撃でブラジルを圧倒。勢いは第2セット以降も続き、ウイングスパイカーのドミトリー・ボルコフが切れ味鋭いスパイクと、派手なパフォーマンスで盛り立てる。
あとがなくなったブラジルは第3セットからセッターをブルーノ・レゼンデからウィリアム・アルジョーナにチェンジ。すると、代名詞のシンクロバレーが息を吹き返したかのように、コート上で披露される。ロシアはボルコフがこの時点で19得点をあげるも、ブラジルが多彩な攻撃を展開し、1セットを取り返す。第4セット、終盤ブラジルはエースのバラセ・デソウザがライト方面からストレートに、クロスと打ち分け連続得点をあげると、サービスエースも決めるなど大車輪の活躍で、セットカウントをタイに戻す。
第2次ラウンド最終戦のベルギー戦も2セットダウンから逆転したとあって(メンバーは控え中心ながら)、ブラジルの勝負所での集中力はやはり世界トップレベルのもの。第5セットはルイス・フェリペ・フォンテレスやドウグラス・ソウザが得点をマークし、劇的な逆転勝利を収めた。
ロシアは落胆の表情を隠せず。一方、ブラジルのレゼンデは「チーム全員が一つになって、全員で勝ち取った勝利です」と喜んだ。
ロシアのボルコフは両チーム通して最多23得点をあげたが…
■J組(イタリア、セルビア、ポーランド)
セルビアのイボビッチ(コート奥)は全方位からアタックを決めた
〇セルビア 3(25-15,25-20,25-18)0 イタリア●
劇的という言葉は、一つ前のブラジルとロシアの一戦のような逆転勝利だけを示すわけではない。この日、セルビアがあげた勝利もまた、劇的だった。1万人を超える大歓声を受ける開催国イタリアに対し、セルビアはパーフェクトゲームをみせたのだ。
常に優勢に立った。マルコ・イボビッチ主将による4本のサービエースを含め、サイドライン、コーナー、エンドライン、ネットすれすれの絶妙なコントロールで打ち出されるセルビアのサーブに、イタリアは対応ができず。イタリアはフィリッポ・ランザに代えて、ガブリエレ・マルオッティを送り出すなど、策を講じたが及ばない。一方で、セルビアはエースのアレクサンダル・アタナシエビッチのパワフルなスパイクや、スレチコ・リシナチの高い打点からのクイック、そして、イボビッチのバックアタックなどアタッカー陣が躍動。終わってみれば、3−0と寄せ付けずに勝利した。
そのアタッカー陣を操ったセッターのニコラ・ヨボビッチは「みながいいコンディションで、なおかつ、最高のプレーを発揮したおかげだね」と自信にあふれた表情で試合を振り返った。
イタリアは一転、これで窮地に追い込まれた形だ。至上命題とする自国開催での優勝は、このまま遠のいてしまうのか…。
イタリアはイバン・ザイツェフ(中央)の気迫で奮起なるか
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