“熱男”宣言。井手智は金メダルを狙う
- コラム
- 2019.05.30
井手が日本代表での活動において、抱く夢。それは、世界大会のメダル、それもいちばん輝く、金色のメダルだ。
そもそも日本代表を知ったのは、小学生のころ。福岡で開催されたワールドカップを会場で観戦したことをきっかけに、智少年は日の丸を目標に掲げた。大学時代には日本代表のアンダーエイジカテゴリーに選出され、世界大会を経験。そうして、夢のステージにたどりついたことで、目標を上書きした。
「代表の選ばれること、そして、大会に出場すること。それはもちろん大事だと思うのですが、それだけではダメだと僕は思っていて。そこでメダルを取りにいきたい。周りからは、何を言っているんだ、という声のほうが大きいかもしれないですけど、『オリンピックで金メダルを取りたい』が僕の夢です」
以前、バレーボールをする上での原動力をテーマに話を振ってみると、井出が出した答えは“負けず嫌いなところ”だった。
「自分自身、レベルが足りなくて、まだまだと言われてもしかたがない。メダルを取りたいと言っても、実際はアンチの意見のほうが多いと思う。けれど、それが僕の原動力になります。いやいや、と。
もちろん応援してくださる方の声もパワーになります。反対に批判の声や、負けず嫌いなところが原動力になっている部分はあると思います」
昨年の世界選手権では第1次ラウンド敗退に終わった。今年のワールドカップでは『ベスト8以上』の成績を目標に掲げているが、世間の反応を身に染みて感じているのは選手たち本人。それは井手自身も同様だ。
「去年の世界選手権を見た人からすれば、ベスト8も厳しいのではないか、と思われるのはあたりまえ。ですが、それを覆していくのは、僕ら。監督でもなければ、コートに立つ選手たちですから」
今年のキックオフミーティングでは、ある選手の口から「ベスト8を目標にするよりも、もっともっと上を目指そう」という意見も出たという。誰が発言したかについて、井手は明言を避けたが、その言葉を聞き、「すごくいいことだと感じた」という。
記者会見当日、取材時間もリミットいっぱいになり、最後、“熱男”に聞いてみた。
- 金メダルを取る、その思いは変わりませんか?
「誰かがそこを狙わないと、始まらないと思うんです。いつ狙うの? いつ取るの?、ってね。その意識で戦わないといけないと思っているので、それが“最高”であり、“最低”の水準だと思います」
今こそ自分が、メダルをつかんでみせる。2019年の、日本代表・井手智の戦いが始まった。
(編集部/坂口功将)