月バレ!ザ・ワールド/vol.4-ルーベ・チヴィタノーヴァ-
- コラム
- 2019.12.14
潤沢すぎるほどの2019/20シーズン陣容
ただ、世界クラブ選手権のタイトルとは縁がなかったのは、このシーズンも同じ。2018男子世界クラブ選手権では決勝でトレンティーノに敗れ、2年連続の銀メダルに終わっている。2019/20シーズンに向けて、チームはさらなる補強を敢行したのであった。
それはポジションがいくら被ろうとも、お構いなしといえるほど。オポジットはツベタン・ソコロフ(ブルガリア/現カザン)が去った代わりに、モンツァからアミル・ガフール(イラン)を、また2018/19シーズンにラヴェンナで大ブレイクしたカミル・リチリキ(ルクセンブルク)の2名を獲得。ミドルブロッカーも功労者ドラガン・スタンコビッチ(セルビア/現ピアチェンツァ)が期限付きで移籍し、代わりにモデナからシモーネ・アンザーニ(イタリア)、ポーランド・プラスリーガの強豪ザクサ・ケンジェジン・コジレからマテウシュ・ビエニエク(ポーランド)を加えてみせた。
そして2018/19シーズンは途中加入だったベテランアウトサイドヒッターのジリ・コバル(イタリア)も契約を継続し、新シーズン開始からロスターに名前を連ねた。
すでにミドルブロッカーではシモン、アウトサイドヒッターではユアントレーナ、レアルといった顔ぶれがいるにも関わらず、各国代表のレギュラーメンバーたちがズラリと並ぶこの陣容。飽和状態にも見えかねないが、2019年が年間を通じて過密スケジュールだったことを思えば、それも的確な策だったと言えるかもしれない。
事実、セリエAの開幕数日前までワールドカップバレー2019が日本で行われており、そちらにブルーノやレアル、ビエニエクたちは出場。彼らの合流が直前となることを見越して、その間も着実にチームづくりを進めたのである。
「栄光に値する」とブルーノ。目指すは、次なる栄光
さて蓋を開けてみれば、やはり強いの一言。分厚いほどの選手層を生かし、試合展開に応じてフェルディナンド・デジョルジ監督が選手を起用する。リーグでは開幕から10連勝を遂げて、12月初旬の“世界クラブ選手権ウィーク”を迎えた。
現地12月3日に開幕した2019男子世界クラブ選手権では予選ラウンド3試合、セミファイナル、ファイナルの合計5試合を戦い、黒星は予選ラウンドのカザン戦のみ。その試合も主力メンバーで臨んだ第1セットは大差で先取し、第2セット以降はサブメンバー中心で戦ったもので、それでもなおソコロフやマキシム・ミハイロフ(ロシア)やイアルバン・ヌガペト(フランス)ら世界的トッププレーヤーを揃えた強敵を相手にフルセットの戦いを演じてみせた。
決勝はユアントレーナとレアル、シモンとビエニエクがそれぞれ対角に入り、セッターはブルーノで、オポジットにはリチリキが就いた。試合では14人中12人がコートに立つなど細やかな選手起用を繰り出しながら、ユアントレーナとレアルの両エースがともに20得点をあげて、悲願だった世界クラブ王者の座をつかみとった。
大会を終えてデジョルジ監督は「信じられない!!」と声を上げ、「とても厳しい試合だったが、選手たちみんなが勝利へ力を振り絞り、この大会を特別なものにしてくれた」と喜んだ。
また大会のMVPに輝き、自身にとって意外にも初となるタイトルを手にしたブルーノも「私たちはこの栄光に値するチームだ」と言い放った。
世界一に輝いたルーベが突き進むは、“インクレダブル”を超えるさらなる高み。6度目のスクデット、ヨーロッパチャンピオンズリーグ2連覇はもちろん、その視界に収める。
それを阻むチームは現れるのか、またその強さは一体どこまで続くのか。まもなくセリエAはレギュラーシーズン前半戦を終えるが、それらは今後の注目といえるだろう。王者の進撃は、まだまだ見るものを惹きつけてやまない。
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著者紹介:GUCII(グッチー/坂口功将)。2016年春入社。月バレ編集部に配属後、本誌で『WORLD VOLLEYBALL NEWSPAPER』、「月バレ.com」では『WEEKLY SERIE A』を担当。2018年は世界選手権の男女両ファイナルを取材した唯一の日本人記者という称号を獲得し、今年もネーションズリーグ男子ファイナルラウンドを単身で取材する。だが、英語が特に話せるわけではない。