ハロー!! 月バレ編集部のGUCII(グッチー)です。イタリア・セリエAは2020/21シーズンが開幕し、日本の石川祐希選手も新天地ミラノで活躍中。その石川選手にゆかりあるプレーヤーが、現役を引退しました。ガブリエレ・マルオッティ、あなたの笑顔を忘れません。
それではご一緒に。月バレ!ザ・ワールド!
【GUCIIの 月バレ! ザ・ワールド】vol.13
■石川祐希の“戦友”ガブリエレ・マルオッティが現役引退
白熱のイタリア国内リーグ・セリエA、2020/21シーズンが行われるなか、一人のアタッカーがユニフォームを脱いだ。10月上旬、男子イタリア代表にも名を連ねたアウトサイドヒッター、ガブリエレ・マルオッティが自身のSNSを通して、現役引退を発表した。
スター選手ぞろいのイタリアバレーボール界におけるバイプレーヤーだった。2010年代、男子イタリア代表はクリスティアン・サバーニに始まりイバン・ザイツェフが代表の“顔”としてプレー。やがて元キューバ代表のオスマニー・ユアントレーナや、アイドル的人気を誇るセッターのシモーネ・ジャネッリが加わった。対するマルオッティは、決して派手さがあるタイプではなかっただろう。それでもコートに立てば、堅実なサーブレシーブでチームに安定感をもたらした。
自身最後の代表シーズンとなった2018年。母国イタリアで行われた世界選手権で、マルオッティはメンバー入りを果たす。このときの男子イタリア代表といえば、アウトサイドヒッターの対角にユアントレーナとフィリッポ・ランザの2人を配置するのが、もっとも強力なオーダー。だが、第2次ラウンドではランザのコンディションが芳しくない場合もあり、その際に代わって先発したのがマルオッティだった。
また、第3次ラウンドのセルビア戦では、相手のサーブにチームが苦しんでいると見るや、ジャンロレンツォ・ブレンジーニ監督が真っ先に切ったカードはマルオッティ。サーブレシーブから立て直す役目を求められての投入だった。
マルオッティ自身、オリンピックへの出場は果たせず、代表の一員としても目立つ功績は多くはなかった。それでも国を背負いながら、その役目をまっとうした。
プロ選手元年の石川祐希にとって、お手本でありライバル、そして友人だった
一方で、日本では馴染みのある名前だったかもしれない。現在はミラノでプレーする石川祐希が2016/17シーズンと2017/18シーズンに在籍したラティーナ(現チステルナ)、プロ選手としてキャリアをスタートさせた2018/19シーズンのシエナで、いずれもチームメイトだった。
2018年の世界選手権では男子日本代表とイタリアは第1次ラウンドで同組に。そこでの会話はわずかだったというが、大会後まもなく始まるシエナでのシーズンに向けて、マルオッティは石川とのプレーを心待ちにしていた。
「僕にとって、ユーキ(石川)はベストフレンドなんだよ! これまでも同じチームだったし、今度もね。また一緒戦えるのがうれしいし、ほんとうに楽しみなんだ」
石川にとっても、お手本であり、ライバルであり、そして良き友人だった。かつてシエナでのシーズン前の会見で、石川はマルオッティの存在をこのように語っていた。
「人間的にも素晴らしい選手で、ディフェンスもすごくよく、僕自身が学ぶべきことがたくさんある存在です。守備面では彼(マルオッティ)のほうが安定しているので、そこは超えないといけない部分。チームメイトとはいえ、スタメンを争う上で負けてはいけない相手です。
ですが、コートを離れれば、すごくやさしくて、友人のように接してくれます」
2人がチームメイトとして過ごしたのは計3シーズン。いま現在、石川のセリエAにおけるキャリアの中で、これはほかのどの選手よりも長い数字となっている。
シエナで2018/19シーズンを戦い、その後、石川はパドヴァ、ミラノとステップアップ。マルオッティは翌シーズンもシエナで過ごし、プレーヤーとしての幕引きを迎えた。
マルオッティが引退に寄せたメッセージ。それは−
『これまでに出会った友人たちが恋しいです。この旅を、特別で忘れられないものにしてくれた皆さんに感謝します』
きっと日本から来た8歳年下の“ベストフレンド”への思いも込められていたはず、そんな内容だった。
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著者紹介:GUCII(グッチー/坂口功将)。2016年春入社。月バレ編集部に配属後、本誌で『VOLLEYBALL TIMES』、「月バレ.com」では『WEEKLY SERIE A』『WEEKLY SUPER LEAGUE from RUSSIA with LOVE』を担当。2018年は世界選手権の男女両ファイナルを取材した唯一の日本人記者という称号を獲得し、昨年はネーションズリーグ男子ファイナルラウンドの取材のため単身でシカゴへ。だが、英語が特に話せるわけではない。