元日本代表の入澤まいが東京スリジエに加入後初の公式戦 「自分にムカつく」と苦笑いも変わらぬバレー愛【皇后杯関東ブロックラウンド】
- クラブ
- 2024.10.25
令和6年度皇后杯全日本バレーボール選手権大会関東ブロックラウンドが10月19日に小田原アリーナ(神奈川)で行われた。
クラブチームの東京スリジエは、10月1日に加入した入澤まい(元・日立Astemoリヴァーレ)が、久しぶりの公式戦で躍動した。初戦で明海大にフルセットの末に敗れたが、入澤は身長188㎝の高さを生かしたスパイクやブロックを決めた。昨年はパリ五輪予選に出場するなど日本代表でもプレーしたが、昨シーズン限りで引退を発表。大型ミドルブロッカーは今、どんな思いでバレーボールに向き合っているのか。
なお、筑波大、東京女体大と青山学院大が、12月12日(木)からAsueアリーナ大阪(大阪)で行われる皇后杯ファイナルラウンドへの出場を決めた。
#14入澤まい(東京スリジエ)
――久しぶりに大会に出たお気持ちはいかがですか?
カテゴリーが変わって動きがあまりわからないなか、不安と緊張の中で始まって。結構緊張するタイプですが、試合はわりと楽しくできたと思います。
――ブロックを決めたり、3枚ブロックに対してスパイクを決めるシーンもありました
いいブロックが何本かありましたが、もうちょっと(ボールに)触れたなとか、駆け引きできればよかったと思う部分がありました。攻撃に関してはこれまでとテンポが変わって、高めのトスを打つようになりました。そのため高いところから打つことを意識していますが、通過点が低くブロックにかけてしまうこともあったので、もっと自分のよさを生かせたなという自己評価です。
――相手エースの堤亜里菜選手に対してもブロックを決めました。どんな狙いでしたか?
Aパスが返ったあとすぐ助走に入ってきて、そのまま向いたほうに速いクイックを打っていたので、(仲間に)「コミットするね」と伝えて。コミット気味で、向いたほうに(ブロックを)かけにいきました。(ブロックは)久しぶりの感覚で、結構気持ちよかったです(笑)
――試合中、笑顔が多かった印象です
トップカテゴリーでやっていたときよりもプレッシャーが少ないというか、今日の試合はどちらかといえばうちが向かっていく感じだったので。より楽にできたところがありました。点が決まったら素直に喜ぶことができました。
――昨シーズン限りで現役を引退し、10月から東京スリジエに加入しました。どんな経緯でしたか?
もともと交流があって、4、5年前にチームをつくるという話を聞いていました。「現役をやるだけやって、引退したらうちにおいでよ」と言われていて。現役のころから何度か遊びに行かせてもらっていて、引退してそのまま受け入れてもらいました。
高さを生かしたブロックを決める入澤(コート奥)
――現在はどんなサイクルで活動されていますか?
(日立)Astemoでフルタイムで働いていて、週に4日間の練習のうち、平日と土日に1回ずつ、週に1、2回はバレーをしています。
どんどん動けなくなっていくことはわかっていましたが、そこは受け入れられない部分で。それが試合でなかなか高いところから打てないことにつながるんですけど…。そもそもあまりジャンプしていなかったのが、筋力が落ちてもっと跳べなくなっています。自分に対してすごくムカつくというか、すっきりしない部分はあります。
ただ、その道を選んだのは自分なので。徐々に受け入れて、その中での自分の出し方を見つけていかないといけません。
――あらためて引退を決めた理由はいかがでしたか?
3年ぐらい前からパリオリンピックを区切りにすると決めていて、それは(日立Astemo)リヴァーレの副部長の角田(博文)さんにも話していました。オリンピックの前年(2023年)も代表に入って、よりパリに行きたい思いは強くなりましたが、そのあとのリーグ戦にあまり出られなくて。今年の日本代表にも入ることはできませんでした。
もともと区切りと決めていたので、そこで「ダメか」と受け止めて。そのあとに「次も」とはなれませんでした。「代表に行きたいと思わなければ、トップリーグでやる意味がない」という自分のなかの基準があって、引退することにしました。
――昨年はパリ五輪予選にも出場しました。日本代表ではどんな思いでプレーしていましたか?
最初は登録メンバーに入ったときに、「え、入れたんですか?」ってびっくりして(笑) 久美さん(中田前監督)のときも登録メンバーには入っていたけど、1回目の選考で落ちていました。だから、眞鍋さん(政義監督)に代わったときも、また1回目の選考で無理かなと思っていたら、そこをクリアして。対世界で試合ができるかも、と思えた瞬間でした。そこから(メンバーに)残りたい、試合に出たい、代表としてユニフォームを着たいという思いが徐々に出てきて、代表活動をするなかで欲が出てきました。
パリオリンピックのメンバーは同級生もたくさんいたし、一緒にやっていた人しかいないので、純粋に「頑張れ」という気持ちで応援しました。
――日本代表での経験は、今にどう生きていますか?
いろんな世界を見られたことは強みだと思います。スリジエのなかでは経験値があるほうなので、私の引き出しをうまく言葉にして伝えていきたいです。でも、思っていることと言葉がうまくつながらなくて(笑) なかなか伝えられないのはもどかしいです。
昨年はパリ五輪予選も経験した
――SVリーグが開幕しました
NEC川崎の開幕戦(対埼玉上尾メディックス)を見に行きました。選手ではない立場で開幕を迎えるのはほんとうに不思議な感じで、昨シーズンまではあそこにいたんだな、と思いながら見ていました。でも、見ているとやりたくなる気持ちが出てくるのが正直なところでした。
上尾の山中(宏予)は中学生のころから一緒にやっていた選手。山中は大学に進学したので対戦しない期間はありましたが、同い年でずっと一緒にやってきた選手を見ていると、純粋に尊敬したり、応援する気持ちもあるし、刺激も受けました。
――カテゴリーを変わって取り組むバレーボール。今はどんな思いで向き合っていますか?
もちろん熱量や感じるプレッシャーは今のほうが落ち着いているところはあります。でも、自分のバレーに対する接し方が変わっただけ。バレーはもともと大好きですし、今もそれは変わりません。
入澤まい
いりさわ・まい/1999年6月2日生まれ/身長188㎝/春日部共栄高(埼玉)→日立Astemo(2023-24シーズンで引退)/ミドルブロッカー
取材/田中風太(編集部)
撮影/山岡邦彦、石塚康隆(NBP)、編集部
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