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早稲田大・中澤恵が石川真佑に学び、育むエースの心

  • コラム
  • 2021.01.28

 早稲田大学バレーボール部といえば、男子は世代を代表する選手が各学年にそろい、昨年には全日本インカレ4連覇を成し遂げた。一方、女子は現在、関東大学2部リーグで、1部昇格を目指し練習に励んでいる。その女子で、中心を担うのが2年生の中澤恵だ。中学・高校と日本一を経験してきた彼女が今、向き合っているものとは。

 

■早稲田大女子の中澤恵が盟友・石川真佑に学び、大学生活で育むエースの心

中澤 恵(なかざわ・めぐみ/早稲田大2年/身長171センチ/アウトサイドヒッター)(写真提供:関東大学バレーボール連盟)

 

 見る視点が変わったからこそ、気づくことがある。早稲田大女子バレーボール部2年生の中澤恵はかつての仲間の姿を思い返すと、苦笑いを浮かべた。

 

 「例えば、二段トスが上がったときも、自分は『いけぇー』って眺めている側だったので。決めてよ、って怒っていた自分がいたことを今は申し訳なく思います。『ユキ、ごめん(笑)』って」

 

 ユキとは、現在はVリーグのJTマーヴェラスに所属するアウトサイドヒッターの西川有喜のこと。金蘭会高(大阪)で同級生だった当時、西川はチームのエースを務めていた。試合では要所でアタックを決め切れず、叱咤される西川の姿を中澤はチームメイトとして何度も見てきた。でも、今なら分かる。

 

 「みんなが頑張ってつないだ、絶対に決めないといけないボールを決めることがどれだけ大変か。今頃、気づいたんですけどね(笑) ほんとうに感謝しています」

 

 えんじ色のユニフォームを着てプレーする今、中澤は“エース”として、その大きな役目と向き合っている。

 

金蘭会高3年生時に春高2連覇を達成。チームメイトには西川(JT/写真左端)や水杉玲奈(東レアローズ/同左から2番目)らがいた

 

可能性を広げるためのポジション転向

 

 これまでのキャリアを振り返ると、中澤といえば、ポジションはミドルブロッカーだった。全国大会優勝を経験した名門・裾花中(長野)、中学3年生時にJOCジュニアオリンピックカップ全国都道府県対抗中学大会を制した長野県選抜、そしてインターハイ、国体、春高を含め4度の日本一に輝いた金蘭会高。チームの状況によってライト(オポジット)に入ったこともあったが、主戦場はセンターエリアだった。

 

 早稲田大に進学後、入部当初はレフト(アウトサイドヒッター)に就いたが、コート上の安定感を鑑みた結果、1年生時の後半はミドルブロッカーに戻った。そうして2年生時のチームが始動する際に、馬場泰光監督から再び転向を促される。それは『これから大学を卒業してもバレーボールを続けたいと思った際に、レフトの技術がなければ、プレーヤーとしての可能性も狭まってしまう』というのが理由だった。

 

 もっともチームのメンバーを見ると、得点力に長けているのは中澤だった。早稲田大女子は関東大学2部リーグに属し、全国大会経験者が多くそろっているわけではない。その分、中澤にエースの役目が課せられるのは必然ともいえた。

 

 だが、試合になれば、その難しさに直面した。相手ブロックが分厚くついてくるのは茶飯事であり、相手サーブにはとにかく狙われる。それでも自分が拾って、自分が決めなければいけない。最初は決定力が高くても、次第に相手が慣れてくれば、アタックをつながれる数も多くなる。「攻撃にしても、プレーの幅、選択肢が私にはまだ足りないんです」と中澤は唇をかんだ。

 

大学では1年生時からレギュラーとしてコートに立つ。春季関東大学女子2部リーグでは新人賞に輝いた

 

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