野瀬将平インタビュー【前編】イスラエルで求められる自己管理能力
- 海外
- 2021.02.08
野瀬将平は『考えるバレーボール選手』だ。プロ選手として活動しながら、例えば2019年には九州北部豪雨復興支援のため、クラウドファンディングを自ら行ってお金を集め、地元朝倉市出身のバレーボール選手に声をかけて、バレー教室を開催した。また昨シーズンのVリーグ開幕前には「#Vリーグはバレーだよ」のハッシュタグを各チームの選手と一緒に企画し、選手自らSNSでのプロモーションで盛り上げた。彼はバレーボールや選手の価値を高めるため、競技を楽しんでもらうために考えて行動していると感じられることが多い。
そんな野瀬選手は今シーズン、自身初めてとなる海外のチームに移籍した。FC東京からイスラエルのハポエル・クファルサバへ。バレー選手として常に考えて行動する選手が、海外での経験をどのように感じているのか、話をうかがった。
今季イスラエルリーグで活躍する野瀬選手(写真:本人提供)
水が止まり、修理もできない。それも海外の醍醐味
――イスラエルでの生活はいかがですか?
住んでいるのは結構古いアパートで、あまりきれいじゃないです。そこはあまり気にならないんですけど、年が明けてシャワーの温水が出なくなったんです。12月でも昼間は23、4度あったので温水がなくてもよかったのですが、夜は普通に寒いので、「あーー!」って言いながら冷水を浴びていました。
チームにお願いして修理してもらったのですが、今度は水自体が止まってしまって。金曜日の昼に水が止まって、また修理をお願いしたら、チームから「今、業者に連絡したから日曜日に来る」って言われました。なぜすぐ来ないのかなと思ったら、宗教上の理由でした。イスラエルはユダヤ教の人が多いのですが、金曜日の午後から土曜日の日中まで働きません。絶対に休むと決まっていて、家事もほとんどしない。だから、修理業者も休み。「え!? 1日半、水なし?」って驚きました。(編注:ユダヤ教では金曜の日没から土曜の日没までの間、安息日として一切の労働が禁止されている)
――海外ならではのたくましさが必要になりますね
僕はたくましさというより、あきらめる能力だと思っています。ここは日本じゃない、という前提で過ごしてればいいかなって。これも海外に来た醍醐味か、くらいに思っておけば、だいぶ受け入れられます。
――食事面はどうですか?
僕は料理ができたので、食事は自分で作っています。パスタなどがメインになりますけど。でも冷蔵庫が機能していないことには困っています。こっちは暑くて11月頃まで気温は30度くらいあります。冷蔵庫が冷えないので、暑いと1〜2日で食べ物が腐っちゃうんです。チーズとかもすぐカビ生えるし。なので、パンや鶏肉を冷凍庫に入れています。それでも凍らないのですが。でも食事自体は問題なくて、ベッドもちゃんとしていて、寝られるし、健康的にバレーボールができているので、こっちに来た目的は果たせています。
ルームメートの分も作るなど積極的に料理している(写真:本人提供)