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【プレイバック!】木村沙織擁する東レが女子初の3連覇を達成【2009/10シーズンVリーグファイナル】

当時の誌面(月刊バレーボール2010年5月号)

2009/10V・プレミアリーグファイナルを月バレ2010年5月号で振り返る

 

 2020-21 V.LEAGUE DIVISION1 WOMEN (V1女子)V・レギュラーラウンドは東レアローズが優勝し、2月20日(土)にスタートするV・ファイナルステージへの進出が決定しており、今季はどんな戦いが繰り広げられるのか期待が高まる。

 

 その前に、過去の月バレ誌面からVリーグファイナルを振り返ってみよう。今回は月バレ2010年5月号から2009/10V・プレミアリーグファイナルを振り返る。

 

女子初の3連覇を達成した東レアローズ

 

 このシーズン、レギュラーラウンドで26勝2敗という圧倒的な強さを見せつけて1位となったのはJTだった。エースのキムに、ミドルブロッカー大友、セッター竹下、というタレントをそろえ、位田がキャプテンとしてチームを引っ張った。2位は21勝7敗の東レ。2012年のロンドンオリンピックでも活躍する木村、荒木、中道、迫田が躍動していた。

 

 3位の久光製薬、4位デンソーを含めた4チームでセミファイナルラウンドを争い、JTが全勝、東レは1敗でファイナルへと駒を進めた。ここまでの両チームの直接対決では、4勝1敗とJTが勝ち越している。だが、そのうち3戦がフルセットとその実力は拮抗していた。そんな両者の対決を報じた月バレ2010年5月号の記事を見てみよう。(編注:文中の所属・チーム名は当時のまま)

 

 

月刊バレーボール2010年5月号掲載

 

2009/10 V・プレミアリーグ女子 会場:東京体育館 日時:2009年4月10日(日)

東レアローズ 3(28-26、25-21、25-16)0 JTマーヴェラス

 

3連覇に挑んだ東レ、レギュラーラウンドを25連勝と圧倒的な強さで駆け抜けたJT。互いのプライドを賭けた魂のぶつかり合いは、心のバレーを掲げ、全員一丸となり戦った東レが劇的な勝利を飾った。

 

胸を借りるつもりで挑んだ東レが粘りのレシーブでキムを封じ込める

 

 まさに圧巻の勝利だった。雌雄を決する一戦、互いのプライドをかけた決勝、JT対東レ。2009/10女王の座に挑む両チームの戦いは、魂を揺さぶる、熱い戦いとなった。

 

 第1セット序盤、キムヨンギョン、木村沙織、日韓両エースの撃ち合いは壮絶を極めた。キムが打てば、木村もまた攻める。息を呑む攻防は、終盤までもつれにもつれる大混戦となった。

 

 そこから一歩抜け出したのは東レだった。3点ビハインドで迎えた中盤、荒木がフェイントにブロックに活躍し追い上げると、今季急成長を遂げたエース迫田がレフトから2本連続でスパイクを決める。その後も譲らずジュースに。粘る東レ、結局、第1セットは、終盤、荒木のサーブで押した東レがセットを先取する。

 

 第2セットはスタートからライトに川原を投入したが、なかなかリズムを作れないJT。一方の東レは絶好調。持ち前のレシーブ力を遺憾なく発揮し、キムを攻略、9-3とリードを広げる。木村、迫田だけでなく、センター荒木、宮田もスパイクを決めリズムをつかむと一気に突き放しにかかる。1セット目は3本サービスエースを奪われたが、2セット目以降は安定。荒木もしぶといブロックでワンタッチを奪うと、すかさず速攻に入り得点し、東レがセットを連取する。

 

サーブを放つ木村沙織

 第3セットに入っても、東レの勢いは止まらず。迫田がスパイクを決めると、木村は山本のブロードを1枚でシャットアウト。迫田が「誰にも負けたくない」と語る得意のセンターからのバックアタックを決めると、8-4と再び点差を広げる。JTはサーブでもミスが目立ち、東レの激しい勢いを止めることはできない。最後は力尽きたキムのスパイクがサイドラインを割り、熱戦にピリオド。その瞬間、東レの笑顔が弾けた。

 

 今季“3連覇”に挑んだ東レ。スローガンに掲げた“心”を込めたバレーで、芝田主将以下、一丸となり勝利をもぎ取った。

 

 センター荒木がイタリアリーグから復帰というプラスの要素はあったものの、ケガ人が多く、なかなかメンバーがそろわず不安定だったシーズン当初。しかし、迫田というニューヒロインが誕生。また、昨季新人賞を獲得しながら、ケガで長いリハビリ生活を過ごした宮田も、復帰。終盤で荒木がねんざするアクシデントもあったが、森や和田が見事にカバー。選手たちが“これだけは絶対に負けない”と胸を張るチームワークでピンチをチャンスに変え、試合を追うごとにチーム力が熟成。セミファイナルで、久光製薬、デンソーと劣勢をひっくり返して勝利したことで自信が確信に変わった。

 

 「チーム6人だけじゃない、一人一人の勝ちたい気持と心のこもったバレーで戦うことができました」と、激戦を振り返った荒木。

 

 これまでの連覇におごることなく、それまで以上に厳しい練習をしてきた。その努力が結実した勝利だった。「最後に最高のゲームができました!」と、菅野監督。新たなる伝説の誕生に、会場中からの祝福のコールがいつまでもいつまでも鳴り響いていた。­

 

 

 

2009/10V・プレミアリーグMVP

打った、守った!沙織フィーバー!

 

 さすが、とうなる、木村沙織のプレーが光る一戦だった。打って守って、また打って。まさに神がかり的な集中力で、チームを牽引、合計49本のスパイクでチームを3連覇へと導いた。

 

 木村、キム、日韓のエース対決としても注目を集めたこの一戦。キムが木村目がけてスパイクを打てば、木村も応戦。互いに譲らない対決を気迫で押し切った。

 

2009/10V・プレミアリーグMVPに輝いた木村沙織

 コートインタビューでMVP獲得を告げられるとしばらく絶句。「賞よりも、今、みんなと一緒に優勝できたことがうれしいです」と、飛び切りの笑顔を見せた。

 

 これまで以上にプレッシャーを感じていた木村。セミファイナルまでの1週間、あまり眠ることができず、食事の量も減った。バスや新幹線の移動中もキムがスパイクを打つ夢で目が覚めたり、時には、バッと手を伸ばしてレシーブをして、隣に座る宮田から「サオリさん、レシーブしてますよ」と起こされたこともあった。エースとしての強い自覚と責任感が芽生えた今季。「今まではそれだけ周りに頼っていたんですよね」と、木村ははにかんだ。

 

 いつも近くにいる荒木も木村の変化に気づいていた。「サオリの意識の持っていき方は本当にすごかった」と振り返る。緊張したり集中すると口数が増える木村。突然荒木に「勝ちたいのー!」と、めちゃくちゃ早口でまくし立てることもあった。荒木自身、リーグ終盤で痛めた足首が万全ではなかったが、そんな木村の姿を見て「しっかり頑張ろう、優勝しよう」と、気持を新たにしたという。 そんな日々を経て、迎えたのがこのファイナルだった。

 

 レギュラーラウンドで566点を稼ぎ、最多得点部門でVリーグ日本記録賞を樹立するなど、大きくジャンプアップした今季。

 

 「優勝はしましたが、ここで終わるのではなくもっと成長できるようにしっかり頑張りたいと思います」

 

 押しも押されもせぬ大エースへ。その階段をまた一歩上った。

 

 

 今回は月バレ2010年5月号に掲載された2009/10V・プレミアリーグ女子ファイナルを振り返った。日韓それぞれのエースがVリーグで激突し、女子では初となる3連覇を東レアローズが達成し、JTが準優勝。また3位決定戦ではデンソーが勝利し、4位が久光製薬だった。

 

 今季、東レはレギュラーラウンドで黒後、石川、ヤナの活躍で圧倒的な力を見せつけている。V・ファイナルステージでどのような戦いを見せるのか注目だ。

 

【2020-21 V.LEAGUE DIVISION1 WOMEN V・ファイナルステージ】

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https://www.vleague.jp/final2020/

 

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