【プレイバック!】JT吉原監督の現役時代・東洋紡での優勝【第7回Vリーグファイナル】
- SV女子
- 2021.02.15
月刊バレーボール2001年4月号掲載
東洋紡・オーキスが2年ぶりのV!
久光製薬大健闘! NECの2連覇ならず!
女子バレー新時代 東洋紡の大型バレーが強さを証明
決勝戦 東洋紡 3-1 久光製薬
(25-21、25-18、17-25、25-20)
絶対、優勝できると信じていた(永富)
「普段どおりにやれば勝てる」―柳本監督(東洋紡)の頭の中では、 2日前に敗れた順位決定予備戦敗退の教訓がたたき込まれていた。選手たちには、幸運のおまじないのように、一つの事実が胸に刻み込まれていた。
すべてが2年前と同じだったのだ。 「2年前、優勝したときも、1日目に日立に負けて、2日目にデンソーに勝って、決勝で再び日立と対戦して勝っていたんです。だからやる前から、みんなで、勝てるよって言っていて、勝ったあとも、やっぱり2年前と同じだよおって、言い合った」(森山)
だがこの日の第1セット16-16で、久光製薬のエース大村のレフトスパイクを西村が止めるまで、その振り子がどちらに傾くかは、わからなかった。互いに同じ高さとブロックを持ち、大型チームながら、好レシーブで決勝に勝ち上がった両チームの均衡は、そう簡単に揺らぎ始めるとは思えなかった。
久光製薬のエース・大村加奈子
だが、「出だしの最初のスパイクで、 その日の調子が決まる」という久光製薬・大村のこん身のスパイクを西村がブロックした瞬間、均衡にきしみが入った。次の吉原のサーブで崩されて久光製薬にコンビのミスが出る。簡単な返球がネットを越さずに16-18になったとき、コートに走った動揺を、両監督とも見逃さなかった。アビタル・セリンジャー監督のベストタイミングと思えたタイムアウト。だが、それも動き始めた波動を静めることはできなかった。佐々木が決め、森山が速攻と、東洋紡がたたみかける。最終的には最優秀選手賞に輝くことになる吉原が、3連続ポイントを決めて、第1セットは25-21と東洋紡。
最優秀選手賞に選ばれた吉原知子
2日前の順位決定予備戦で久光製薬に2-3負けを喫していた東洋紡が、雪辱の武器にしたもの。その一つが、徹底的につかれサーブレシーブを崩されたリベロ・田口に替えて入れた松永の存在だった。両チームとも最後までサーブレシーブは崩れなかった。
二つ目は、開幕前、腹筋を痛めて、佐藤にポジションを譲ってきたレフト萩原の投入だ。2日前の対戦でも、この萩原が入ってリズムが変わり、敗れたもののファイナルセットへともつれ込んでいたからだ。
第2セット、その萩原が爆発した。
だが、久光製薬も順位決定予備戦で東洋紡とNECを連破したときと同様、エース大村がふんばった。中盤、11-12と追いすがった。
しかし、東洋紡には、久光製薬にはないものがあった。結局、勝負を決めることになる「リラックスし、 勝つ自信に満ち、優勝を経験していた」ベテランセンター、吉原の存在だった。定評のあるセンター攻撃だけでなく、右に流れるブロードもきれいに決めて、攻めあぐねる久光製薬とは対照的に得点を重ねた。東洋紡が25-18で逃げ切った。