東福岡&就実 春高優勝に導いた信念【月刊バレーボール3月号】
- 高校生
- 2021.02.16
さまざまな全国大会が中止になり、一発勝負となった春高で、選手たちはなぜ力を発揮できたのか。月刊バレーボール3月号(2月15日発売)では、3章にわけてその要因に迫る。第1章では「頂点に導いた信念」をテーマに、男女優勝チームを深堀りする。
今年度最初で最後の全国大会となった春高。男子優勝の東福岡(福岡)、女子優勝の就実(岡山)には、チームを日本一に導いた信念があった。
決勝では3-1で駿台学園(東京)を下し、東福岡は5年ぶりの日本一に
「日本一への願望」をかなえたバレーノート(東福岡)
東福岡の選手たちは、鬼気迫る表情で戦っていた。3年生でコートに立つのはエースの柳北悠李のみ。それでも、下級生たちのプレーは最後の大会に挑む3年生のように映った。その姿を見ていると、大会前に聞いた藤元聡一監督の言葉が思い出された。「『日本一になりたいか』と聞けば、『なりたい』と言う子は全国に何万人といると思います。でも、実際に寝ても覚めてもそんなことばかり考えている人間は多くない。これまで優勝したときは僕と子どもたちの『日本一への願望』がいつも同じくらいでした。今の2年生はそのときにかなり近いです」。
2015年には永露元稀(ウルフドッグス名古屋)を中心に、春高初優勝を含む三冠を達成。その翌年の春高では連覇した。春高では2度の優勝を経験していた藤元監督が、永露がいた代と同じような強い「願望」を感じていたのが2年生たちだった。中でも、言動でチームを引っ張る葭原昂大と坪谷悠翔については、「2人の書くノートはすごいですよ」と称えていた。
その「ノート」とは、バレーノートのこと。形式は決まっておらず、書き方は選手によってそれぞれ。藤元監督は目は通すが、必ずコメントを書いて返却するわけではない。ノートを書くこと自体ではなく、選手自らの成長の過程を記録することを目的としているからだ。日本一への強い思いを実現するための一つの手段として、選手たちは毎日書いている。
2年間でそれぞれおよそ10冊にも及ぶ葭原と坪谷のノート。この1年に書かれた文章を読むと、プレーへの反省だけでなく、心境の変化も見えてくる。
≪ノートで日本一、生活習慣で日本一、トレーニングで日本一の取り組みをこの臨時休校の期間で遣り続けることで夏の日本一に一歩ずつ近づいていくと思う≫
≪インターハイはなくなったけど、その分春高までの期間は延びた。練習が再開したら自分が引っ張る側に入り、チーム全員が同じ方向に向くようにする≫
さまざまな葛藤を乗り越え、強い思いでたどり着いた頂点。本誌ではノートの一部を掲載し、そこから1年の歩みに迫る。
坪谷と葭原と柳北のノート。書き方は三者三様だ