世界三大リーグと称される、イタリア、ロシア、ポーランドから、ロシア・スーパーリーグの模様をゲームラウンドごとにお届けする『WEEKLY SUPER LEAGUE from RUSSIA with LOVE』。レギュラーシーズンにおける上位勢の直接対決は、勝ち星1つをとっても最終順位を左右する貴重なもの。今節はウレンゴイとサンクトペテルブルクが激闘を繰り広げました。まずは、そのカードから(Photo:volley.ru/Deta:VolleyService.ru)
※ポジション表記/OH …アウトサイドヒッター、OP…オポジット、MB…ミドルブロッカー、S…セッター、L…リベロ、C…コーチ
■荊(いばら)の6連戦をウレンゴイは連勝フィニッシュ! サンクトペテルブルクは不安残る
[MATCH OF THE ROUND]
◆《第17節》ファッケル・ノヴィ・ウレンゴイ 3–2 ゼニト・サンクトペテルブルク
(14-25,25-20,25-23,18-25,15-9)
(現地2/20)
第19節(現地1月23日)のノヴォシビルスク戦を皮切りにカザン、ケメロヴォ、モスクワ、そして今節のサンクトペテルブルク、とプレーオフでも対戦が予想される上位勢との連戦が続いたウレンゴイ。ホームのケメロヴォ戦はフルセットの末に敗れはしたが、前節のモスクワ戦ではカップ王者を相手に3-1で競り勝った。“茨の道”最後のサンクトペテルブルク戦も、試合開始早々は出だしよくリードしたものの、やがて沈黙。サンクトペテルブルクのブロックに攻めあぐね逆転を許すと、9-18と一気に突き放され、第1セットを落とす。
第2セットからはMBアレクセイ・サファノフ(ロシア)をMBアレクサンデル・グチャリュク(ロシア)に変えて態勢と整えると、チームとしてもサーブでサンクトペテルブルクを崩し、2セットを連取して試合をひっくり返す。だが、第4セットはミスが目立ち、相手に流れを渡してしまう展開。対するサンクトペテルブルクはOPビクトル・ポレタエフ(ロシア)がヒザの状態が芳しくなく、途中でOPイバン・ポロレビンキン(ロシア)にスイッチするも流れを離さず、セットカウントをタイに戻した。
サンクトペテルブルクのMBイバン・ヤコブレフ(ロシア/写真コート奥)のアタックを阻むウレンゴイ(写真コート手前)
最終第5セットは、エースOHドミトリー・ボルコフ(ロシア)のサービスエースが決まり、ウレンゴイは一気に“発火”することに成功。序盤で先行する展開に持ち込むと、リードを保ったまま勝利した。試合を通して、OPマキシム・ジガロフ(ロシア)が3本のサービスエースを含むチーム最多19得点をマーク、OHデニス・ボグダン(ロシア)が15得点、ボルコフが13得点と続いた。試合後、ボルコフは「各セットとも、サーブがゲームの展開を決定づけました。ですが最終セットは、出だしが重要だ、とチーム全員で確認し、うまく進めることができたと思います」と振り返った。
これでウレンゴイは4位のサンクトペテルブルクと勝敗数で並び、勝ち点の差は1。残り3試合、まだまだ上位を狙える位置につけている。一方、敗れたサンクトペテルブルクはボルコフの言葉どおり、第2セットでのサーブミスが8本を数えた部分は反省として残り、トーマス・サムエルボ監督も「安定性を身につける必要があります」と改善点を口にした。ポレタエフの状態も気になるところだが…。
サーブに課題を残したサンクトペテルブルク(写真はMBパシトスキ・ドミトリー〔ロシア〕/第21節のもの)
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◆《第24節》ゼニト・カザン 3-0 ディナモ-ロ・レニングラード・オーブラスチ
(25-18,25-17,25-14)
(現地2/17)
◆《第23節》ゼニト・カザン 3-0 ガスプロム-ウグラ・スルグト
(25-22,25-22,25-19)
(現地2/20)
ヨーロッパチャンピオンズリーグのクオーターファイナルラウンドを控えていたカザンはスルグト戦の第2セット途中から主力選手を温存する、余裕の試合運びでスルグトを一蹴。ポイントゲッターとして期待が集まるOHバルトシュ・ベドノシュ(ポーランド)はフル出場を果たし、3本のサービスエースと3本のブロックポイントを含むチーム最多14得点をマークした。
◆《第23節》クズバス・ケメロヴォ 3-1 ベロゴリエ・ベルゴロド
(25-22,14-25,25-21,25-19)
(現地2/16)
そろそろ連敗をストップさせたいホームのベルゴロドは第2セットで最大限に集中力を発揮し、5本のブロックポイントをマーク。このセットを大差で獲得したが、ハイライトはここだけだった。終わってみれば、OPイバン・ザイツェフ(イタリア)が4本のサービスエースを含む、両チーム通じて最多24得点をマークしたケメロヴォに軍配が上がった。
懸命にケメロヴォのアタックをはね返すベルゴロド(写真コート奥)
◆《第17節》ディナモ・モスクワ 3–2 ロコモティブ・ノヴォシビルスク
(16-25,25-22,25-23,20-25,15-11)
(現地2/17)
前節でウレンゴイに敗れ連勝が10で止まったモスクワは仕切り直しの一戦。第1セットこそノヴォシビルスクに4本のサービスエースを許すなど苦しい展開となったが、第2セット以降はコンスタントにブロックポイントを積み重ね、逆転に成功。フルセットにもつれ込むも、勝ちきってみせた。これがロシアカップ王者の力か。OPツベタン・ソコロフ(ブルガリア)が両チーム通じて最多27得点と大暴れした。
◆《第23節》ディナモ・モスクワ 3–0 エニセイ・クラスノヤルスク
(25-23,25-18,25-14)
(現地2/20)
◆《第10節》ディナモ・モスクワ 3–0 エニセイ・クラスノヤルスク
(27-25,25-17,25-17)
(現地2/21)
ノヴォシビルスクとのフルセットを制したモスクワは、続いて今節と延期されていた第10節を含めたクラスノヤルスクとの2連戦へ。2試合とも圧倒する内容で勝利し、2敗をキープしている。第23節はOPソコロフが18得点の活躍。第10節はMBイリヤ・ウラソフ(ロシア)が4本のブロックポイント、ソコロフとOHアントン・セミシェフ(ロシア)がともに3本のサービスエースと、攻守両面で役者たちが仕事を果たした。
◆《第23節》ロコモティブ・ノヴォシビルスク 3–1 ディナモ-ロ・レニングラード・オーブラスチ
(25-18,25-18,25-21)
(現地2/15)
第1セットを落としたノヴォシビルスクだったが、この日はOPドラジェン・ルブリッチ(セルビア)の剛腕がうなりをあげた。サービスエースは両チーム通じて最多5本をマーク、アタックは22得点で決定率は79%とルブリッチのアンストッパブルな活躍もあり、逆転勝利に成功。Sコンスタンティン・アバエフ(ロシア)は「セルビア人アタッカー(ルブリッチのこと)を酷使しました(笑) もちろん対策に基づいて、です。相手にうまく攻撃させませんでした」と試合を振り返った。
最後の第4セットで合計4本のブロックポイントをあげたノヴォシビルスク(写真コート手前)
◆《第23節》ASKニジニ・ノヴゴロド 3–1 ウグラ-サモトロル・ニジネヴァルトフスク
(26-24,23-25,27-25,25-21)
(現地2/20)
前節で8連勝にストップがかかったホームのノヴゴロドだが、リスタートの今節は接戦をものにした。OPドミトリー・ビエトスキ(ウクライナ)が3本のサービスエースを含む30得点の力強いパフォーマンス。OHアンドレ・ティティチ(ロシア)とMBビクトル・ニコネンコ(ロシア)が15得点と続いた。
ニジネヴァルトフスクは途中出場のSバレンティン・ベズルコフ(ロシア/写真中央)が立て直しを図ったが…
◆《第23節》ウラル・ウファ 3–0 オイルマン・オレンブルク
(25-14,25-20,25-23)
(現地2/20)
ホームのウファは第1セットだけで6本のブロックポイントをあげて、オレンブルクの闘志を打ち砕くことに成功。その後も優位に試合を進め、完勝を収めた。MBコレンコフスキ・ドミトリー(ロシア)が最多4本、OHジョン-ゴードン・ペリン(カナダ)とOHイゴール・フェオキチストフ(ロシア)がともに3本と、チーム合計12本のブロックポイントをマークした。
オレンブルク(写真コート手前)はウファのブロックを攻略できず
《ロシアスーパーリーグ男子 レギュラーシーズン順位(round23終了時)》
1 ディナモ・モスクワ 20勝2敗(勝ち点57)-
2 ゼニト・カザン 18勝7敗(勝ち点51)▲
3 クズバス・ケメロヴォ 17勝4敗(勝ち点48)▼
4 ゼニト・サンクトペテルブルク 15勝8敗(勝ち点46)-
5 ファッケル・ノヴィ・ウレンゴイ 15勝8敗(勝ち点45)-
6 ロコモティブ・ノヴォシビルスク 13勝9敗(勝ち点41)-
7 ウラル・ウファ 13勝11敗(勝ち点37)-
8 ASKニジニ・ノヴゴロド 11勝11敗(勝ち点30)-
9 ウグラ–サモトロル・ニジネヴァルトフスク 8勝14敗(勝ち点29)-
10 エニセイ・クラスノヤルスク 8勝13敗(勝ち点24)-
11 ガスプロム–ウグラ・スルグト 6勝17敗(勝ち点20)-
12 ディナモ–ロ・レニングラード・オーブラスチ 5勝19敗(勝ち点19)-
13 ベロゴリエ・ベルゴロド 5勝18敗(勝ち点17)-
14 オイルマン・オレンブルク 5勝18敗(勝ち点13)-
※勝敗(勝ち点)。記号は前節からの順位推移
(責任編集:GUCII<坂口功将>)