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【スポーツ現場で働く】商品を企画する、生み出す、そしてデザインすることが僕の仕事  -デサントジャパン株式会社 岡野哲大-

 

■V.LEAGUEチームのユニフォームデザインも担当 デザイナーの仕事内容とは?

 

――まずは、岡野さんが所属されているマーケティング部での仕事内容を教えてください。

 

「商品を企画する、生み出す」という業務を担当しています。市場にマッチするような商品を企画する部署ですね。私は、その中で “デザイナー”という役割なので、「こういう開発品ができました」と世に発表していくもの(プロダクトアウト)と、市場がこんな商品を欲しがっているなというものを作り上げていく(マーケットイン)という、2つの役割があると考えています。

 

 

――市場の情報収集などは、どのようにして行っているのですか?

 

さまざまな情報は、マーチャンダイザーと呼ばれる「MD」という役職の担当者や、現場に出ることが多い営業と一緒に情報取集をしています。そうやって、商品について一緒に考えていきます。なので、これまではMDや営業の担当者と、密に仕事をしてきました。また、「SP」と呼ばれるセールスプロモーション担当は、これまでは、生み出したものを店頭で訴求することが主でしたが、「こういう商品がありますよ」と、もっと世に発信していこうと情報発信に注力するようになっています。今では、デザイナーとSPも密にコミュニケーションを図りながら情報を発信していく流れになってきていますね。各担当がみんな、グループのような感じで仕事に取り組んでいます。

 

――活発な職場なんですね。

 

いいメンバーで、というか、腹を割って仕事をしていくと、やっぱりいいものが生まれるんですよね。誰かが納得していないものだと、どこかギスギスした商品になるというか、最後まで思いが届かないというか。僕は16年くらいデザインの仕事をやっていて、今はバレーや野球のデザインなどにも少し関わっていますが、何をやってもその雰囲気は同じです。

 

――具体的に、どんな製品のデザインを担当されているのですか?

 

僕は、チームスポーツを担当する中で、バレーボールの担当をしています。大きなくくりで言うと、V.LEAGUE所属チームのユニフォームですね。V1男子であれば、パナソニックパンサーズやウルフドッグス名古屋、ジェイテクトSTINGSやFC東京、VC長野トライデンツなどのデザインを担当させていただいています。V2男子は富士通、V1女子でいえばPFUのユニフォームデザインも担当しています。

 他には、全国大会に出場する中で弊社とのかかわりが深い学校のユニフォームデザインや、ビーチバレーボールでは、ジャパンツアーや日本代表のユニフォームなどのデザインも担当しています。

 

 

 

――どのようにしてデザインを形にしていくのですか?

 

人にもよりますが、僕はまず、大きなラフ(デザイン画のようなもの)を手書きで出します。何となく、「こういう理由でこうだから、ここはこうだろう」というのを数回考えて、それをパソコンに打ち込みながら作り上げていく感じですね。

 

 

■大好きなアパレルの仕事を極めるためデサントへ

 

――デサントへの、入社のキッカケを教えてください。

 

僕は、専門学校を卒業後、他メーカーで7年~8年働いていました。その時、「デサントのデザインがいいよ」という話を教えていただいたんです。そして、いろいろ情報を収集していく中で、「ほんとうにいいデザインだな」と思ったんですね。「あ、いいな。服を作っている会社だな」と感じました。そういう背景があって、デサントに入社することになりました。 

 また、僕は小中高とバレーをやってきて、現在も仲間内のチームでバレーボールを楽しんでいるのですが、実際に仕事でもバレーボールのデザインに携われる流れになったので、そこはありがたいところですね。

 

――学生時代をささげたバレーボールや興味のあった野球。現在、その両方の競技に関わりながら仕事をされているんですね。

 

そういう意味で言うなら、今は一番楽しいかもしれないですね。元々トレーニングカテゴリーの担当を、ということで入社しましたが、現在はチームスポーツに関わる担当をしています。もちろんどの担当でもそうですが、すごくやりがいを感じています。

 

 

 

■チームスポーツに関わるやりがい 選手やファンの声も力に

 

――このお仕事の、やりがいはどんなところに感じますか?

 

実際に着用してくれた選手が「よかった」と思ってくれることは、やりがいを感じる部分です。あとは、今、V.LEAGUEがファンビジネスに注力し始めていて、そのファンビジネスのところを僕たちも広げていこうということで、サプライチームとさまざまなイベントに取り組んでいます。

 

 

コロナ禍で思うようにスポーツができない中ですが、そういうところでスポーツを楽しめるような人や環境が増えてきたことにも、やりがいを感じています。特に熱心なファンの方は、私たちに手紙を送ってくださるんです。「今回のユニフォームはこの部分がかっこよかったので、これを着て会場に行って、元気をもらいました」と。そういう感想が聞けることは、うれしいことですよね。

 

■夢を追う人たち、スポーツに関わる仕事に興味を持つ人たちへ

 

――今、「こういう仕事に就きたい」と思っている読者の方もいるかもしれませんね。

 

もしそういう方がいらっしゃるなら、「やりたいことがあるなら、早めに自分で決めて行動しよう!」と伝えたいですね。僕は普通科の高校に行ったこともあって、周りには教員などになっている友達が多いんです。でも、僕はみんなが“いい点をとっていい大学”に、と考えている間に、「自分はこれをやる」と、中学校3年生の頃からある程度目標を持っていました。

 

 

自分が好きなことや得意なこと、やりたいことを決めて、口に出して、有言実行しなければ、人間は動いていけないのかなと思うので、やりたいことがあるなら早く決めて、その道を進んでいくのが一番だと思います。もちろん、今は夢や目標がない方もいると思いますが、いろんなことを意識して、受動的ではなく能動的に取りに行く。「これが好きかも」と思ったら、自分から取りに行く。そしたら、場面場面で何か、出会いがあるかもしれませんね。

 

――岡野さんのように、スポーツメーカーなど、スポーツに関わる仕事に興味がある方へのアドバイスなどがあれば、お願いします。

 

スポーツ業界はさわやかですし、「スポーツをやっていてよかった」と感じることも多い。スポーツは、感動を与えられる芸術と言うか、そういうジャンルだと思うので、その“スポーツ”を支えている企業に勤めていることは、すごく幸せなことだなと感じています。この記事を読んで、僕たちの仕事をはじめ、スポーツに関わる仕事に興味を持ってくれる方がいたらうれしいですね。

 今回、共同開発をさせていただいた石川選手は、「尊重・感謝・努力」という言葉を大切にされています。そのお話を聞いて、若いのにすごいな、と感じましたし、そういうことをスポーツを通して学べることは素敵だな、と。そして、いろんな形でスポーツに関わっているみんなが、そうやって支え合っているのかな、とあらためて感じることができました。

 僕も、「アスリートを支えたい」という思いもそうですし、「バレーボール人口を増やしたい」という思いも強く持っています。この仕事は、机上の勉強だけでは得られない感動がある業種。皆さんとも、共にスポーツを支える仲間になっていけたらいいな、と思います。

 

石川祐希×デサント共同開発

「5本指スーパーショートソックス」

 

 

 

 

 

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