東山高の現在地 豊田監督インタビュー
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- 2021.06.03
2年越しの「日本一」を目指す東山。勝負事への執念と、その延長線上にある“人間性”を追求する日々
2年前、現在日本代表にも名を連ねる髙橋藍(日本体大2年)らを擁し、春高バレーの舞台で掴み取った、東山(京都)バレーボール部初の「日本一」。昨年度も、優勝候補の筆頭にあげられる中で挑んだ春高バレーだったが、いまだ終息にはほど遠い新型コロナウイルスの影響で、無念の途中棄権となった。選手たちは、あの悔しさを胸に刻み、前を向いて日々の練習に励んでいる。今回は、「高速立体コンビバレー」を代名詞にスピーディーなバレーを展開する東山の豊田充浩監督に、今年度のチーム状況やケガ予防への意識についてお話を伺った。
※4月19日取材
まとまり始めた新チーム。魅力は「高さ」と「勤勉さ」
前向きにチャレンジできる環境で伸び伸びと成長する選手たち
――昨年度、全国大会で優勝候補の筆頭にあげられていました。3年生が主力を務めたレギュラーメンバーが総入れ替えとなる今年、新チームの雰囲気はいかがでしょうか。
チームが切り替わったばかりのころは正直、バタバタ、バラバラという感じでした。昨年からメンバーが総替わりしたチームなので、最初は「どうなるもんかな…」と思って見ていましたね。ですが、ここ最近の選手たちを見ていると、チームとしてのまとまりや個々の技術の伸びに成長が見られます。キャプテンを中心に “戦う集団”の雰囲気がすごく出てきましたね。今はもう、新チーム発足時とは正反対の思いで、先々を見据えてとても楽しみなチームになっているな、と感じています。
昨年や一昨年のように、運動能力が優れた選手が多い訳ではありませんが、全体的にサイズが大きい。そして今年のチームには、ものすごく勤勉さを感じます。この1年間、どのようにチームが成長していくのか、ほんとうに楽しみですね。
――東山バレーボール部で、大切にしていることはどのようなことでしょうか。
技術的には、球際の強さやつなぎの細かいところのプレーを大事にしてほしいと思っています。バレーボールで必要な多くの技術を実践する中で、プレー自体が小手先にならないように。体をすべて使って、ていねいにこなしてほしいです。また、精神的な部分では、やるからには勝負にこだわってほしい。“勝った負けた”については、練習ゲームであろうが本番であろうが、常に意識してほしいと思っています。
また、競技をやっている意味は当然、勝負事という面にあると思いますが、その延長線上で、人間性を磨くことも忘れないでほしいですね。卒業して社会に出ても、一人の人間として頼ってもらえる、通用できる、誰かを助けられるような人になれるよう、スポーツを通して勉強してほしいと思っています。
――ふだんから「勝負事にはこだわって」という中でも、練習では厳しさというより、選手たちが明るく活気がある印象でした。
うちの練習は雰囲気がいいんです。確かにしんどい部分もあると思いますが、そこは練習の雰囲気によって、悲壮感が漂う感じになるのか、しんどいけれど前向きにやっていけるのかが変わってくる。雰囲気一つで、選手たちの物事のとらえ方も変わってくると思います。同じ練習をやっていても、ドヨンとした雰囲気でやっていると疲労がたまっていくし、明るい雰囲気でみんながどんどんチャレンジしていく姿勢を作れれば、技術も高まっていく。最終的には、勝負事というのは、楽しむ余裕がないとダメだと思うんです。なので、選手たちはふだんの練習から、そういう雰囲気を出して取り組んでくれています。
一日の練習スケジュールも、松永(理生)コーチがしっかり考えて選手たちへと共有してくれます。うちは練習時間が長いわけではないので、ただ単に何本も練習をこなすのではなく、限られた時間の中でいかにプレッシャーのかかった練習ができるか、というところで、いい練習をやってくれているので助かっています。
Bチームの強化がAチームの刺激に
誰が出ても強い、層の厚いチームを目指す
――今年も、実力のある選手たちが多く在籍されていますね。
選手層は厚いと思いますが、昨年同様、Bチームが強くなればAチームも強くなっていく。Bチームを作っていくことも、(Aチームを完成形に持っていくことと)同じように時間を要するので、Bチームも含めて底上げをしていきたいですね。そして、誰がAチームに入ってもチーム力が落ちない、という形が理想だと思っています。新入生も、1人はレギュラーで試合に出場していますが、その他にも、レギュラーで入ったり途中から出場したりする選手が数人います。そういう意味では、総合力で戦えるチームではないかな、と思っています。
――その中でも、主力を担う選手や成長が楽しみな選手はいらっしゃいますか。
セッターの當麻(理人/2年)がどう育っていくかは一つのキーポイントですね。高速立体コンビバレーの意図を理解して、それを実践できるかはチームにとって大きいことです。また、ミドルブロッカーでいえば、例年よりも上背のある選手が多いので楽しみです。麻野(堅斗/2年)は身長が2mを超えていますが、先日、学校の健康診断で身長測定をしたところ、また伸びて205.9センチになっていたんです(笑) そのうえ、最近はさらに自覚を持って前向きに練習やトレーニングに取り組んでいますし、小学生からバレーをしているので、ボールさばきも上手。サウスポーということもあり、将来的にも楽しみな選手ですね。
――近年で言えば、髙橋藍選手や楠本岳選手のような、いわゆる“エース”としてチームをけん引した選手も印象的ですが、今年はどの選手がその役割を担うのでしょうか。
佐々木(達郎/3年)が一番のポイントゲッターになっていくと思います。佐々木は3年目にしてやっと、初レギュラーとして頑張っています。元気よくいいムードを作ってくれて、練習中も声を出して盛り上げてくれていますね。
あとは、長身ミドルブロッカーの麻野が得点源になってきます。今年も、もちろん攻撃ではバックアタックがどんどん絡んできますが、とにもかくにもミドルブロッカーの存在感が大事。センター線がどれだけ機能するか、もしくはセッターがどれだけそこを使い切れることができるかがカギになります。麻野と、昨年からベンチ入りを果たしている横江(啓吾/3年)の2人がミドルブロッカーとして先発出場していますが、ミドルブロッカー陣がしっかりと攻撃に絡むことができれば、両サイドとバックアタックがまた生きてくると思うので、そこを頑張っていきたいですね。
――東山は例年、セッターとリベロが安定している印象があります。
セッターやリベロは、重宝すべき大事なポジションだと思っていますし、そういうポジションの選手たちが、東山を選んでくれているのがうれしいですよね。東山のバレーは、リベロやセッターから見て、「やってみたいな」と思えるバレーなのかなという気もします。代々、いいリベロとセッターが来てくれることは、ありがたいことです。
今年のリベロは、チームキャプテンの辻本と、ディグリベロに池田(幸紀/2年)を起用しています。辻本は新チームになったばかりの頃は「キャプテンを演じているだけ」という感じでしたが、ここにきて「勝つために、強くなるために」という意識がどんどん出てきていますね。チームを引っ張ってくれています。
ディグリベロの池田は抜群に頭がよくて、成績は学年トップ。確か通知表もオール5です。また、今年は、中学生男子のクラブチーム「京都Winds」出身で、髙橋智貴が入学してくれたので、先輩たちにはいいプレッシャーになっているのではないでしょうか。この選手も、恐らく来年からはリベロとして活躍してくれると思いますが、今年は、後衛の3ローテをしっかり守ってくれるキーマンとなるでしょう。
意図を理解し意識を持って行うトレーニングがプレー上達のカギ
インソールの着用で疲労軽減を図る
――ケガ予防については、ふだんからどのように意識されているのでしょうか。
ケガをしてしまったら、いいものを持っていても発揮することができません。ですので、ケガをしない体づくりというところで、週に2回は時間を割いてトレーニングを行っています。そこに関しては何十年も前から、外部のトレーニングコーチに来ていただいて、ボール練習を減らしてでもやってきたつもりです。それが結局、将来の育成にも繋がりますし、やはり大学ではトレーニングをやるので、卒業生たちはみんな「最初の入りが楽だ」と、みんな話してくれますね。高校時代にトレーニングの基礎ができているので、あとは大学で応用をやっていくだけ、という感覚だと思います。ケガをすることももちろんありますが、そこまで長引くことがないような気がします。
また、練習後には、アイスバスの中に入って、疲労を蓄積しないようにアイシングをしたり、試合に専属でついてくださる整骨院の先生のところに週1回は通ったりと、体のメンテナンスについて、いろいろと心掛けています。選手たちが頑張ってくれている分、そういうところでの環境作りをやってあげたいと考えています。
ボール練習が優先になる学校もありますが、うちにとって、ボール練習の時間が減ることは怖いことではないというか。どちらかというと、トレーニングのほうが大事かなという気持ちでいます。それも、年間を通して健康的にやらなければ意味がないと思うので、トレーニング時間は惜しまず、ボール練習もしっかりやる。その中で、選手たちには、トレーニングをやる時も、ボール練習をやっている意識で取り組んでほしい、と伝えています。例えば、「このスパイクを打つ時にはこの筋肉が必要だよ」と意識することが重要。実際に選手たちは、「この動きが必要だから、こういうトレーニングをやっているんだ」と、理解して取り組んでくれていると思います。
――トレーニングもそうだと思いますが、ボール練習時も、ホワイトボードなどを使用して選手たちが練習の意図を理解したうえで取り組まれていますよね。
そうですね。髙橋藍が在籍していた時もそうでしたが、かつて中央大で石川祐希選手などを指導していた松永コーチが、「石川君にはこういうトレーニングをやっていたよ」などと選手に伝えると、選手たち自身も、その練習への入り込み方がすごいんです。松永コーチも、常に意識を高く持って、随時説明を入れながら練習をまとめてくれているので、うちの選手たちは常にイメージを持ちながらトレーニングやボール練習に励んでいると思います。筋力がなければできないプレーはたくさんあると思いますが、試合終盤でもへばらない強さや粘りなど、入学して時間が経つにつれて、他校の選手とうちの選手とでは差が見えてくるのではないかと感じています。
――ザムストのインソールについて、どのような意図で着用されているのでしょうか。また、使用感はいかがですか?
昨年度の春高予選後あたりから選手全員がザムストのインソールを着用していますが、僕自身も、着けてみて「すごくフィットするな」と感じています。柔らかいというか、歩いていても足にフィットしますし、選手たちからも「これはいい」という声が聞こえてきます。みんなそれぞれ足の形も違いますし、足からの疲労を軽減することで、シンスプリントなどの予防にも繋がってくるのかなと。また、ヒザや肩への負担も変わってくると思うので、チーム全体でインソールを活用させていただいています。
バレーボールは、やはりジャンプ系のトレーニングでの疲労の蓄積があると思うので、このインソールのクッション性は、僕自身、ケガの予防としては大事なことなのではないかと感じています。実際、スネが多少張っている選手はいましたが、痛くて痛くてジャンプできません、という選手は今のところ出てきていません。チーム全体で着用し始めて4~5ヵ月が経ちましたが、選手たちも満足にプレーできているように感じています。
インターハイ初優勝へ向け、まずは府予選突破が必須
府内屈指のライバル“洛南”の存在も、強くなれる大きな要因
――メンバーが総入れ替えになっているとはいえ、不安よりも楽しみのほうが大きいですね。
最初は正直、どうなるかな…と思っていましたが、徐々にチームの雰囲気が変わってきて、選手たちにも積極性が出てきました。ここ数年、全国の舞台で躍動した先輩たちのDNAは後輩へとしっかり引き継がれていると思うので、大舞台でしっかりと戦ってくれると思います。
とはいえ、まずは京都府予選が大一番。洛南との決勝は毎年のことで、皆さんからも注目していただいていますが、僕らはもう慣れたと言いますか…(笑) でも、この京都府代表として1枠しかない全国大会への切符を懸けた戦いがあるからこそ、うちの選手も頑張れるのかな。選手自身も、府内での進学を考えた時に、“東山か洛南か…”と選択が別れた時点で、各々が覚悟を決めていると思います。もし、京都の出場枠が2枠あったら、お互いに逃げ場所がある分、甘いチームになるかと思いますが、1枠しかないですから。覚悟を決めて勝負に挑んでいるので、毎年接戦になることは必然というか。この一戦があるからこそ、全国の舞台でも上位に食い込んでいけるのでしょうね。
――インターハイ予選もいよいよ開幕。目指すはやはり、日本一でしょうか。
まずは6月までに、どのくらいチーム力が上がっていくのか、というところです。伸びしろがとてもあるチームなので、この勤勉さを強みとして継続していくことができれば、11月くらいには力強いチームになっているのではないかと思っています。今、ケガをしている選手がいますが、恐らく5月には復帰できる見込みです。ケガをしている選手も、試合出場への高い意識を持って、トレーニングにもしっかり励んでくれていますし、私たちの見えないところでもきっちりやるべきことをやってくれている。そういう、選手たちのまじめな姿勢も含めて、チームのさらなる飛躍に期待しています。
また、東山はこれまでインターハイでの優勝経験がないので、やはり、そのタイトルは欲しいですね。インターハイでの最高成績は3位。今年こそ、優勝を勝ち取りたいです。
\Player’s voice/
「実際にザムスト インソールを使用している選手に、使用した感想を聞いてみました!」
偏平足で疲れやすいのですが、このインソールを使い始めてからは、クッション性があって足が疲れにくくなりました。過去にケガをしてから、スパイクの踏み込み時や着地に不安がありましたが、軽減されました。脚にフィットするので、動きやすいです。
中学生の頃からザムストのインソールを使っていますが、動きやすいです。足の裏が痛くなりやすいのですが、このインソールを着用すると、痛くなることもありません。トスを上げる時も踏ん張りが効くし、着地に負担がかからない。チームスタイル的にも、プレー中、瞬時にいろいろな切り替えをしないといけない中で、しっかりと動きを支えてくれます。
測定の結果、ローアーチということで、インソールはローを着用しています。以前履いていたインソールは動くとどうしても浮いてしまう部分がありましたが、ザムストのインソールは、浮くことなく最後まで足にくっついてくる感覚があるので、横移動の時なども動きやすいです。下半身に疲れが溜まりにくくなって、練習や試合の後半でも、踏ん張ってプレーすることができています。
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