ネーションズリーグ2021男子大会の予選ラウンドも残すところ5戦。ここまでの日本を振り返ると、これが国際舞台の実質デビュー戦である髙橋藍が攻守で活躍を見せて、その名を轟かせた。
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髙橋に代表されるような新戦力が積極的に起用される、いわば“若手選手の見本市”はこの大会が持つ側面でもある。それは世界選手権王者・ポーランドも同じ。今年、代表初選出のアウトサイドヒッター、背番号16カミル・セメニウクが、ミハウ・クビアクやウィルフレド・レオンといった名だたる世界トップ選手が同じポジションに並ぶ中、初の国際大会で存在感を放っている。
その代表選出に異論はなかった。世界三大リーグと称されるポーランド・プラスリーガの強豪ザクサ・ケンジェジン-コジエに所属し(2018/19シーズンは同リーグのザビエルチェで日本の古賀太一郎とプレー)、2020/21シーズンはレギュラーとして国内2冠とCEVチャンピオンズリーグの3つのタイトル獲得に貢献。その中のカップ戦ではMVPに輝いている。
<2018/19シーズン、ザビエルチェ在籍時。1列目中央の古賀の左がセメニウク(背番号13/撮影:平野敬久)>
持ち味は、安定感のあるサーブレシーブと決定力の高いアタック力だ。今大会第2日のセルビア戦で代表デビューを飾ると、「こうしてここに立ち、このチームの一員でいられることをとても誇らしく感じます」と喜びのコメント。第9日のブラジル戦ではストレートで敗れたものの、チーム最多16得点をあげる健闘を見せ、代表レベルでも通用することを証明してみせた。
攻守で高いパフォーマンスを備え、このネーションズリーグが国際大会における公式戦デビュー。また、世代別代表の実績を見ても、セメニウクがユニバーシアード代表のみであるのに対し、日本の髙橋も全日本高校生選抜のみ、とFIVB(国際バレーボール連盟)主催大会の出場歴がない点が共通している。
日本とポーランドのライジングスターによる競演が実現なるか、注目だ。(文/坂口功将〔編集部〕)
<カミル・セメニウク(Kamil Semeniuk/1996年7月16日生まれ/身長194センチ/最高到達点350センチ/アウトサイドヒッター/ポーランド)(写真:FIVB)>