日本を代表するアタッカーが、ついに世界最高峰リーグ、イタリア・セリエAに挑戦する。西田有志の所属先がビーボ・ヴァレンティアに決まった。
<西田は自身初の海外リーグでのプレーとなる>
チームの正式名称は『Tonno Callipo Calabria Vibo Valentia』で、チームカラーは黄色と赤色。1993年に誕生したクラブチームで、セリエA2(2部)とスーペルリーガ(1部)を行き来していたが、昨季は飛躍を遂げた。リーグの強豪であるルーベやモデナから勝利を奪い、レギュラーシーズンでは12チーム中5位(13勝9敗)の成績を残した。
その原動力となったのは色とりどりのアタッカー陣と巧みなトスワークが光る司令塔だ。とくにセッターのダビデ・サイッタ(イタリア)は試合で満遍なくアタッカーを使うタイプで、一試合で4選手が2桁得点をマークするときもある。また、西田が映像を通して「ディフェンスがよくて、攻撃のスピードが速い」と印象を語ったように、昨季はアウトサイドヒッターのチボー・ロサール(フランス)やトリー・デファルコ(アメリカ)といったレシーブ力の高いアタッカーがそろっていた。
<攻撃を組み立てる、ベテランセッターのサイッタ(写真左から2番目/Photo:legavolley.it)>
ただし、チームは今季、アタッカー陣を刷新している。ロサールやデファルコは去り、そこでブラジル代表の3選手を加えた。アウトサイドヒッターではマウリシオ・シウバとドウグラス・ソウザが入団。ともに東京2020オリンピックでプレーし、とりわけ守備に定評があるアタッカーだ。
また、ミドルブロッカーのフラビオ・グラウベルトも2019年の代表シーズンで、その名を馳せた実力者。昨季もチームにはブラジル代表オポジットのアバウバカル・ドラメが所属していた経緯もあり、ブラジル籍選手にとっても馴染みやすいのが、ビーボ・ヴァレンティアの持つ特徴だ。
<2018年世界選手権のベストアウトサイドヒッターに輝いた実績があるドウグラス(Photo:FIVB)>
もっとも、拠点である都市ビーボ・ヴァレンティアが位置するイタリア南部はナポリに代表されるように、陽気な人間が多いといわれることが多い。「自分は誰かとしゃべっていないと寂しい」と笑う西田も、その明るい性格できっとすぐに溶け込めるに違いない。
攻撃の配分にたけた司令塔サイッタと、陽気でかつハイレベルなパフォーマンスを備えるブラジル籍選手のチームメイト。そして、ネットを挟んで対峙する相手は、いずれも世界トップクラスのプレーヤーばかり。その舞台でプレーし、さらにレベルアップする西田の姿を見られるのが今から待ち遠しい。(文/坂口功将〔編集部〕)