第51回全日本中学校バレーボール選手権大会が8月18日(水)に開幕し、初日は代表者会議のみを実施。19日(木)は予選グループ戦が行われる。男女各36校が出場する今大会で、アベック出場を果たしたのが北海道の札幌大谷中。男子は初出場となる。(『月刊バレーボール』2020年12月号「中学生の話題」一部改筆)
<札幌大谷中男子バレーボール部(写真:チーム提供)>
屋内競技では初の男子部として誕生
中学のバレーボールで『札幌大谷』といえば、女子部が真っ先に浮かぶ方も多いだろう。それもそのはず、女子部は全国大会常連で、上位成績を残すこともある。一方の男子部は2017年に創部されたばかりだ。とはいえ、男子部も今や道内で結果を残すなど躍進著しいチームである。
創部のきっかけは中高一貫校である札幌大谷に、屋内競技の男子部がなかったこと。また、北海道自体に中学の男子バレーボール部の数が少なく、中学進学を機に別の競技に移る子どもが多く見られたことが背景にある。そこで札幌大谷は中学男子バレーボール部を立ち上げた。それまで高校女子部を指導していた平本和久先生が監督に就任し、歴史をスタートさせる。
創部にあたっては学生寮を用意し、道内から広く選手を受け入れられるように体制を整えた。とはいえ、小学生時代に全国大会を経験した部員は多くない。それでも徐々にチームをつくり上げ、創部3年目の2019年度には北海道選抜優勝大会で初優勝を遂げるまでに成長を遂げた。
<初の全国大会に挑む(写真:チーム提供)>
創部3年目に全道制覇も達成
そのチームで2020年度、〝目指すは全国大会〟と息巻いたやさきにコロナ禍のため、昨年2月からおよそ4ヵ月間、一切の活動が禁止となってしまう。そのあいだには全国大会の中止が決定された。
北海道では全道大会を制したわけだが、「関東のように陸続きではないので、全国クラスの強豪チームと対戦する機会が少ないのが難点です」と平本監督。そのため、昨年9月には日本航空高(山梨)で開催された『全国中学生交流大会』に参加する。部員たちにとっては全国トップレベルを肌で感じる絶好の機会となった。
「道内では決まっていたアタックも決まらなかった」という平本監督の言葉とおり、アタッカー陣はハイレベルな守備に苦戦したが、それも糧に。身長180㎝のサウスポー、当時2年生の林条生安(はやし・じょしゅあ)は「次のシーズンは全国トップレベルのチームと戦えるようになって、自分はエースとして、たくさん得点を決めたい」と言葉に熱を込めた。
全国を見渡せば、名門・駿台学園(東京)が中高で男女バレーボール部を擁し、〝全カテゴリー全国大会出場〟も夢物語ではない。そして、それは北の大地でも。
札幌大谷が刻む新たな歴史に注目だ。
(取材・文/坂口功将〔編集部〕)
<今年8月の全道大会で初優勝を飾り笑顔(写真:チーム提供)>