2018年に初選出されてから、またたくまに日本代表のポイントゲッターへと成長した西田有志。身長186㎝は決して大柄ではないが、サウスポーから繰り出される力強い打球は、世界を打ち破る。
その西田に今回、インタビューを実施した。第2回は、東京2020オリンピックを前に見舞われたアクシデントからの復帰を振り返る。
-オリンピックイヤーとなる2021年度の代表シーズンでしたが、5月の国際親善試合(vs.中国)を終えたあと、紅白戦で足のネンザに見舞われました。あのときの状況を振り返っていただけますか?
西田 ケガをした直後の診断結果を聞いたときは、それなりに重い捻挫だったので、焦りもありました。結局、その後2週間、ギプスをはめたまま過ごしていましたが、不安はなかったんです。「(オリンピックには)間に合うだろう」と思っていたので。
なにぶん、ネンザした当日に、スポンサーをしていただいているスポーツメーカーの担当者さんからすぐに連絡があったんです。「とんでもないスピードだ」ってビックリしました(笑) そうしてケアに必要なサポートをしてもらえたことは、とてもありがたかったです。
-そこからはリハビリとトレーニングを並行しながら過ごしたわけですね
西田 人生で初めて、足首を固定するサポーターをつけました。不慣れな分、最初はやりづらさも感じましたが、おかげで安心してバレーボールをすることができました。これまで(サポーターを)つけてこなかったのは、プレー中にも足のことが気になってしまうから。ですが、そうも言っていられない状況だったので。使用してから2週間ほどすれば、慣れていました。
-アスリートとして、体のケアに対する意識も上がっていますか?
西田 ケガが多すぎるので、体のケアをせざるをえない、と言った具合です。実はオリンピックのベネズエラ戦で、足に違和感を感じた場面がありました。少し痛みを感じたので、そこからはテーピングに変えてみたり、と試行錯誤しながら試合に臨んでいました。ですが、練習やトレーニング中は必ずサポーターをつけるようにしています。
©FIVB
-普段の練習やプレー時に使用するギアへの考え方にも変化が?
西田 高校を卒業してジェイテクトSTINGSに入団して2年目のころに、初めて足のインソールを使ってみました。それまでインソールを作る概念がなかったのですが、実際に使用してみて、「足の疲労が少なくなった」と感じます。感覚的な部分ですが、プレー中も疲れにくいのかなと。
-日本代表でプレーしているときは、赤色のアームスリーブが目立ちました
西田 自分のロゴマークも入っていて、オリジナル感が出ているでしょ? 気分的にも上がります(笑) 今年5月の国際親善試合から、日本代表のユニフォームの色に合わせて、赤と白と黒の3パターンをつくりました。アームスリーブ自体は、上半身を刺激、圧迫することでパフォーマンスにつなげたいという狙いがあって装着しています。あとは汗をかくので、滑り止め用です。
-ロゴマークは西田選手のフォームですか?
西田 バレーボールを象徴するデザインにしたかったんです。ちょうど僕が開設したYouTubeチャンネルで使用していたモーション画像をデザインに落とし込みました。
僕自身、周りとかぶりたくない性分なんです。プロ選手として活動できる幅は広いですし、「こういうことがしたい」という思いはまだまだたくさんあります。それを実現できているのは、うれしく感じます。
-オリンピックを戦い終えてしばらく立ちますが(取材時・8月中旬)、今のコンディションはいかがですか?
西田 (最後となった)ブラジル戦を終えてから、力が抜けたような感覚だったんです。それだけ神経を使っていたのだと思いますし、いったんバレーボールから離れようとリフレッシュしていました。最近の診断でネンザの症状がまだ残っていたようなので、今は無理をする時期ではないと。
自分自身、アスリートとしてどうしても体を酷使してしまうので。それくらい1年ごとの競技生活に人生を懸けています。だからこそ、“勝負に勝ちたい”という思いが芽生えてくる。大丈夫か? と聞かれれば、「大丈夫です!!」と答えます。
~2021/22シーズンはイタリアへ。新たな挑戦が始まる →第3回へ続く~