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春高2025

1期生9人の思いが一つに! クラーク記念国際高(北海道) 初の全国大会へ初戦を快勝【密着レポート②】

  • 高校生
  • 2021.11.12

第74回全日本バレーボール高等学校選手権大会(春高バレー)北海道代表決定戦が11月11日、江別市東野幌体育館で開幕。初の全国大会出場を狙うクラーク国際が、女子2回戦で網走南ケ丘を2−0(25−7、25−9)で下し、初戦を突破した。3年連続3度目の出場となる経験豊富な1期生を中心に、鮮やかなコンビを披露。最初で最後の全国切符奪取へ、快勝発進した

写真・文/中島洋尚(クラーク記念国際高)

 

 

【クラーク記念国際高・フォトギャラリー】

 

 

 試合のラストを締めたのは、キャプテンでエースの塚原百惠(3年)に代わって、勝利まであと2点という場面でレフトに入った柏倉ののか(3年)だった。第2セット24−9のマッチポイント。「後ろから、中学生のときからずっと一緒の(八重樫)灯莉(3年)の『レフト(柏倉)に(トスを)持っていけ』という声が聞こえたので、絶対に決めてやろうと思って、思い切り打ちました」(柏倉)。副将の菊地叶楓(3年)がライト側から上げたトスを高く跳び上がって打ち込むと、ボールは相手コートの中央で弾み、歓喜の輪が広がった。

 

 

柏倉はこん身のスパイクを放つ

 

 柏倉は中学3年生時の冬、クラーク国際への入学を決めた直後に腰を痛めて手術していた。入学時は動くこともままならず、ベンチでスコアをつける日々。夏にはコルセットをすれば動けるほどの状態になったが、筋肉が落ち、全国大会を目標にするチームの練習についていけなかった。筋力トレーニングを続け、チームメートと同じメニューが消化できるようになったのは手術から1年が経過したころ。その後も練習中のジャンプで着地を失敗して右足首をひねり、2年生時の夏には球技大会でも負傷し、高校バレー生活で万全の時間は極めて短かった。だが「ケガをしたことで、人の気持ちを考えて動けるようになり、人間的に成長できたかな」とにこやかに笑う。柏倉が試合を決めた瞬間、全員が飛び上がって喜んだ。誰もが、この3年間で彼女がどれだけチームに貢献してきたか、わかっていた。

 

 

勝利が決まり、⑧柏倉(右から3番目)は⑦河合(右端)とハイタッチ

 

 柏倉がコートに入る直前には、西村まどか(3年)が出場。ライト側から長く速いトスを上げると、レフトで待っていたエース塚原が強烈なスパイクを放って得点を決めた。西村は昨年10月から原因不明の腸の病気で苦しみ、発症直後の入院では毎日何時間も検査を受けた。今年4月からは練習に顔を出せるようになったが「小、中学校で作ってきた体力が、全部なくなっていた。マネージャーをしながら、ゆっくりリハビリするしかなかった」という。

 刺激物や脂もの、大好きだった乳製品すら口にできない西村のいちばんの理解者もまた、チームメートだった。禁止された食材が出て「ごめん、これ食べられない」と話すと、笑顔のまま「気にしないで。私が代わりに食べるよ」と、気遣ってくれた。そんな仲間がいたからこそ、体は思うように動かなくても、出場時間が短くても、入学の時に全員で誓った“全国大会出場”という目標を最後まで追えている。「全員で、あのときの夢を勝ち取りたい」と西村は力を込める。

 セッター河合七星(3年)とセンター八重樫のコンビの決定率は約70%に達した。体育館に遅くまで2人で残って磨いたクイックは、チームに欠かせない武器だ。リベロの林愛夏(3年)、白川夢菜(3年)は交代でコートに立ち、2セットとも一桁失点に抑えた。

 

 

クラーク記念国際

 

 「第2セット出だしの連続失点など課題もあったが、コンビプレーもよく決まっていたし、全体的な動きは悪くなかった。大事なのは明日。切り替えてコートに立たせたい」と掛屋忠義監督。12日と13日、勝ち上がれば各2試合が待っているが、そこをチーム一丸で乗り切り、次のステップへの扉を開く。

 

 

 

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