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もしもチームメートをゲームキャラにしたら【パナソニック清水邦広選手編】

 例えばサッカーやバスケットボール、野球のテレビゲームをプレーしたことはありますか? 選手ごとに能力が再現されていて、個々の特徴が反映されています。では、もしもバレーボールのゲームがあってチームメートをモデルにした架空の選手を存在させるなら、どんな能力になるのでしょうか? パワーは? ジャンプ力は? どんな能力がありますか? チームメートならではの視点で、Vリーガーに選手の特徴を聞いてみました。

 

 第1回はパナソニックパンサーズの清水邦広選手をモデルにしたキャラクターを作成していきます。担当するのは同じくパナソニックの兒玉康成選手と大竹壱青選手です。それぞれの能力はこちらの表に沿って聞いていきます。

 

※表の見方

①OP=オポジット、OH=アウトサイドヒッター、MB=ミドルブロッカー、S=セッター、L=リベロ

②特殊能力や、得意、不得意なプレーを○、×で表す

③各項目の能力値の設定を0〜100で表す

81〜100→A

61〜80→B

41〜60→C

21〜40→D

0〜20→E

 

それではさっそくどうぞ。【能力表の完成図を先に見たい方はこちら】

 

 

清水選手の特徴を選手目線で話してくれた大竹選手と兒玉選手

 

いきなり設定の限界を超えたパワー

 

月バレ:まず清水選手の代名詞ともいえるパワーはどうですか?

 

兒玉選手:120です。

 

月バレ:いきなり限界値を超えましたね(笑)

 

兒玉選手:はい、これはもう! 試合を見ていて清水さんがスパイクしたボールの重さは伝わりますし、写真でも清水さんがインパクトした瞬間のボールは相当潰れていると思います。これはやはり清水さんのいちばんの武器だと思います。「日本代表の清水邦広」を初めて見たときからそれは変わらないです。ゲームキャラで言うと最後までなかなか出てこないレアキャラだと思います。ですので、能力も振り切ったところがあったほうがゲームキャラらしくなるかなと思います。

 

鍛え上げられた体から放たれる力強いスパイクが武器

 

【ミハウ・クビアク選手から学んだ技術とは】

 

月バレ:ではパワーは120に設定します。次はアタックの項目に行きましょう。これはスパイク技術や攻撃に関する能力を表すパラメーターです。

 

大竹選手:90ですかね。ブロックに対してのコースの抜き方がとてもうまいです。清水さんがトスに向かってジャンプしたときに、「ストレートに打たないだろう」という体勢でもストレートに抜きますね。それにコースの幅も広く打てる印象です。

 

兒玉選手:トスに対してのアプローチがうまいのでストレートにもクロスにも打てるのだと思います。

 

月バレ:ではスパイクを打つコースの広さを表現するために特殊能力欄に「広角スパイカー」、トスへのアプローチのうまさを表現するために「アプローチ○」を入れましょう。ブロックアウトなどもうまいですか?

 

兒玉選手・大竹選手:(2人同時に)うまい!

 

大竹選手:清水さんは「クビさん(ミハウ・クビアク選手)がチームに来てから、点を取るにはパワーだけじゃないと思った」とよく言われますね。ブロックを利用したり、ブロックが完成する前ならフェイントをうまく使ったり、いろいろな方法を意識するようになったみたいです。そういったうまさもあります。

 

プレースタイルの変化に影響を与えたクビアク選手

 

月バレ:では特殊能力に「ブロックアウト○」を加えてスパイクの数値は90にしましょう。続いてはブロックです。

 

兒玉選手:80!

 

大竹選手:80…5!

 

月バレ:間をとって83ですかね。続いてはトスです。

 

兒玉選手:トスはちょっと苦手な気がします。控えめで書いたおいた方がパワーの120も引き立つかなと思うので60くらい?

大竹選手:65くらいかな。

 

兒玉選手:でもパワーがあるので、ダブルコンタクトは絶対取られないです。セッター的なトス回しはできないかもしれませんが、ネットから遠く離れた位置からオーバーハンドパスを上げると「そこまで飛ばすんですか?」と驚かされます。だからパス力はあるので60かな。クビさんのパスは巧さとパワーもあるバランスタイプですが、清水さんはパワータイプです。

 

月バレ:ではトスの項目は60に設定します。次はサーブレシーブ、ディグにいきましょう。

 

兒玉選手:筋肉がありすぎて、(レシーブ時の腕が)閉じることができないってみんなに言われているので、50とか40くらいにしてもいいのかな。

 

大竹選手:あー、閉じられないですね(笑)

 

兒玉選手:ただ清水さんは体がデカいので、ディグのときに体に当てやすいです。それに、もし僕の胸に強いスパイクが当たったとしたら、「いってぇ!」って顔に出ると思うのですが、清水さんは当たっても「え? 痛くないよ」というリアクションです。体が強靭すぎます。なので、50くらいにしておきますか。

 

月バレ:体が大きいので当てて拾うことができる部分も広いし、体の強靭さでボールをしっかりと受けられるということですね。

 

兒玉選手:そうです。でも腕は閉じることができません。

 

大竹選手:強靭ですけど、胸筋がありすぎて閉じられません。

 

兒玉選手:そして閉じられていない腕の部分にボールが挟まることもあります。

 

月バレ:強靭な体がゆえのマイナスがあるのですね。

 

兒玉選手:そうです、代償があります(笑)

 

サーブレシーブ時に両腕が閉じている永野選手

チームメートに閉じることができないと指摘される清水選手のレシーブ

 

【何度も復活を遂げた精神力の持ち主】

 

 

何度も手術を乗り越えた不屈の精神の持ち主

 

月バレ:続いてジャンプ力は?

 

大竹選手:昔と比べたら今は70くらいですかね。いい状態であれば90はありますね。

 

兒玉選手:どちらかというとジャンプ系というよりは、相手を破壊しにいくパワー系というイメージがありますね。西田(有志 ビーボ・ヴァレンティア[イタリア])選手はジャンプのイメージですが、それと比較すると清水さんはパワー系という感じです。

 

月バレ:ではジャンプは間の80に設定しましょう。続いてスピードは? これは俊敏性という意味です。

 

大竹選手:40~50くらいですかね。

 

月バレ:間をとって45にしますか。スタミナはどうですか?

 

兒玉選手:体力という意味のスタミナは年齢を重ねるとともに落ちていくじゃないですか。でも何回も手術を乗り越えても衰えないので、ゲームなら「不屈の精神」みたいな特殊能力がつくと思います。試合中にスタミナが減っても、その効果で減ったスタミナが70くらいまで回復する設定です。そして攻撃力が一気に上がります。

 

月バレ:その設定いいですね!

 

兒玉選手:「不屈の左腕」にしましょう。不屈の左腕と書いて「フェニックスサウスポー」と読む、みたいな。

 

大けがからの復活を遂げて東京2020オリンピックにも出場した

 

月バレ:いいですね! これは特殊能力に入れましょう。ふだん接していてそういったメンタル面での強さを感じるところはありますか?

 

兒玉選手:清水さんは調子が悪いときの熱量の上げ方がすごいです。やはり長年いろいろな舞台をくぐり抜けてきたからこそ、自分で上げられるのだと思うのですが、ほんとうにすごいです。だから試合であれだけの活躍ができるのだと思います。練習中にも同じように熱量を自分でコントロールしていますし、何か足りないなと思ったら、休みに関係なく体育館で練習しています。本当にフェニックスサウスポーだと思いますね。

 

月バレ:では続いてサーブはどうでしょうか?

 

大竹選手:サーブはもちろんすごいですよね。95から100くらいはあります。特徴としてはコンスタントにスピードが速く、平均110km/hくらい出ていると思いますし、最高で120km/h出ていたときもあります。それに加えてショートサーブをいい軌道で、相手がギリギリ反応できるかどうかというコースに打ちます。速さのイメージがありますが、緩急がすごい上に、モーションが変わらないので分かりづらいです。

 

月バレ:ではサーブ最高球速は120km/hにしておきましょう。そして緩急のうまさを表現するために「サーブ緩急○」、モーションの分かりづらさを「サーブモーション○」で表します。サーブのコントロールはどうでしょうか?

 

兒玉選手:80! サウスポー特有の嫌な回転で、相手が戦術的に嫌なところに打ったりもできます。

 

月バレ:サーブの変化量は?

 

大竹選手:ショートサーブなら体感的には70くらいあります。ボールの動く量というよりは速度差という感じですが。

 

月バレ:ではサーブの速さは? 大竹選手はコンスタントに速いとおっしゃっていましたね。

 

兒玉選手:100でいいですね。

 

月バレ:ちなみに重さもあるのですか?

 

兒玉選手:めちゃめちゃ重いですよ。スパイクも重くて受けたくないです。ブロッカーの間がきれいに空いて、そこに打たれると、避けそうになります。(隙間から)見えたら、「死ぬ!」って思います。試合中、対戦相手が「ストレートをわざと開けて(そこに打たせて)ディグしよう」という状況で清水さんの球を受けにいく場合は相当怖いと思います。

 

月バレ:ではそれを表現するために「球威○」を入れましょう。続いてメンタル面や性格などの特徴も考えていきましょう。

 

【清水選手の魅力とは】

 

 

人を魅了する笑顔の持ち主

 

兒玉選手:やっぱり「ビッグスマイル」じゃないですかね。点を決めた後や勝利インタビュー時の白い歯が見えているビックスマイル。あれはいろんな人を魅了する部分かなと思いますね。

 

月バレ:いいですね!

 

笑顔は清水選手の大きな魅力の一つ

 

兒玉選手:以前ある写真撮影で一緒に参加させてもらったことがあり、僕たちは撮影が初めてですぐに笑顔が崩れてしまいました。でも清水さんはずっと崩れなかったです。たぶん家でビッグスマイルを練習しています。それと清水さんが笑うとチームの雰囲気もよくなります。人見知りというのも有名だと思いますが、あの笑顔で虜になっているファンの方は多いのかなと思います。

 

月バレ:人見知りということですが、お二人が清水さんと接するようになったときはどうでしたか?

 

兒玉選手:僕は人見知りっていうのを知っていたので、自分からグイグイいきました。「うるせーよ」っていいながら清水さんにそれを求められてきたって勝手に思っています(笑)

 

大竹選手:僕はグイグイいくタイプではなかったので、話せるようになるまでは時間がかかりました。話すようになってからはプレーのアドバイスをもらうことや他愛もない話をできるようになりました。

 

月バレ:では「人見知り」も入れておきましょう。ほかに性格のイメージはありますか?

 

兒玉選手:おおらかではあると思いますが、大雑把ではないです。小さいことは気にしないですね。それと清潔感があります。

 

月バレ:清潔感というのは、「鞄の中をきれいにしている」とか「服装の清潔感がある」という感じですか?

 

兒玉選手:単純にいい匂いがします。

 

月バレ:いい匂い!(笑)それはテレビなど清水選手を見ていても伝わらないところなので項目に「いい匂いがする」を追加しましょう。選手同士だからこそ知っているプレーの特徴や性格を能力表に反映することができましたね。ありがとうございました!

 

というわけで、ここまでの協議から清水邦広選手をモデルに架空のゲームキャラクターを作ったらこういう能力になりました。

 

 

【モデルとなった清水選手からのコメント】

「ゲームみたいに僕のステータスを作っていただきありがとうございます。

まずスパイクに関してはめちゃくちゃ自信がありますが、トスやレシーブは苦手なところがあります。若いころからレシーブの練習を削ってでもスパイクに命を懸けてきました。

ジャンプ力も昔は90ぐらいでしたが今は7回も手術していますし半分ぐらいじゃないでしょうか! でもその分、気持ちや熱量はまだまだおっさんになっても若い選手に負けないように頑張りたいです。

技術も気持ちがあれば乗り越えられる時もありますので熱い心を常に冷まさないよう頑張りたいです」

 

【今回出てきた特殊能力】

■広角スパイカー

打てるコース幅が広い

■トスアプローチ○

トスへの入り方がうまい対応できるコース幅が広くなる

■ブロックアウト○

ブロックアウトを取るのがうまい

■不屈の左腕(フェニックスサウスポー)

何度も手術を乗り越えて復活してきた清水選手のタフさを表した能力

■サーブ緩急○

サーブで緩急をつけるのがうまい

■サーブモーション○

ジャンプサーブとショートサーブのモーションが変わらず事前に見分けがつきにくい

■球威○

サーブやスパイクの球威がある

■ビッグスマイル

周りの人を虜にする笑顔でチームのムードもよくする効果がある

■人見知り

初対面の人と打ち解けるまでに時間がかかるが、グイグイいくといけるらしい

■いい匂い

いい匂いがするらしい

 

※取材日:11月10日(水)

 

取材/中川和泉、矢次智志 写真/月刊バレーボール

 

【もしもチームメートをゲームキャラにしたらシリーズ】

第1回【パナソニック・清水邦広選手編】

第2回【東レ・藤井直伸選手編】

 

 

 

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