プレーバック/JOC杯令和最初の王者 大阪北選抜(男子)の涙と笑いのビクトリーロード
- コラム
- 2021.12.21
大会前最後の練習でチームが行った予行演習
とはいえ、スタッフ陣は彼らに熱い思いを注ぎ続けた。それは選抜というチームで選手を預かるうえでの責務でもある。選手たちの士気が上がるためならと、さまざまなアイディアを駆使した。
例えばチームTシャツの背中には『第33回大会チャンピオン』とデザインし、目標をより具体的にイメージさせた。ほかにも横断幕は、「会場でいちばん大きく」(片桐秀人アシスタントコーチ)という思いから、“熱くなろうぜ!!”の文字でド派手な仕様にした。
そのスタッフ陣がチームに変化を感じたのは、大会直前。12月21日に、毎年、大阪北選抜が出向いている勝尾寺(大阪府箕面市)にて必勝祈願を行い、そこでは寺の縁起物である『勝ちダルマ』を購入した。
<勝尾寺にて必勝祈願を行った(写真チーム提供)>
すると、時を同じくしてキャプテンの川内が「気合いを入れる意味で。それは学校でも、近畿大会の前にやっていたんです」と明かすように、頭を丸坊主にした。その姿を見た秦や當麻も、「キャプテンがやったからには、オレたちもせなあかん」と同じ髪型に。キャプテンの気合いが周囲に伝わってか、ここからチームは急激に一体感をまとうようになる。
仕上げは大会前の最後の練習日。梅原監督は練習の最後、選手たちにあることをするように指示した。それは、優勝を決める最後の1点を取りきる場面を想定してコンビを組むと同時に、決まった瞬間、アップゾーンから控えメンバーが滑り込むというもの。そのコンビは見事一発で、川内が強烈なスパイクを決めて締めくくられた。コートの内外を問わずに全員が“予行演習”で喜びを爆発させる。チームのムードは一気に高まった。
<観客席に飾られた横断幕>
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