第74回全日本バレーボール高等学校選手権大会(春高バレー)が2022年1月5日(水)に東京体育館(東京都渋谷区)で開幕する。今夏のインターハイで優勝し、春高にも出場する下北沢成徳高(東京)が、皇后杯1回戦でV2のブレス浜松に勝利。2回戦のV1日立Astemoリヴァーレからもセットを奪い、本戦に向けて最高の「練習」を積んだ
取材/田中風太 写真/石塚康隆、田中風太
インターハイ女王が、Vリーガーと堂々と渡り合った。1回戦でV2のブレス浜松にストレート勝ち。2回戦では敗れたものの、V1の日立Astemoからセットを奪った。かつて見たことがない速いバレー、そして天井の高い体育館でのプレーを春高の1ヵ月前に経験。本戦へ弾みになる結果になった思いきや、小川良樹監督は「選手権(春高)に向けての練習です」という言葉を繰り返した。
ポイントに挙げたのが、第1セットの入り。11月の東京都代表決定戦準決勝では、第1セットでリズムに乗れず、八王子実践にストレート負け。チームスタイルであるオープントスを打ちきるには、スパイカーはもちろん、トスを上げるセッターも序盤はエンジンがかからない。小川監督が「1セット目に押された状態でゲームをすることは当たり前」という中、序盤をいかにしのぎ、持ち前のパワフルなスパイクを打ち込めるかが焦点だった。
相手ブロックを利用したスパイクで得点を重ねた濱村ゆい
第1セットから高校生にはないブレス浜松の速いトス回しにブロックは割れた。だが、徐々にレシーブが機能し始めると、谷島里咲や濱村ゆいの両エースを中心に、オープントスにしっかりと助走し、力強くボールをたたく。そのシンプルな攻撃の繰り返しが、徐々にVリーガーを追い詰めていった。相手レシーブが乱れ、二段トスが上がると、速いトスとは違ってきっちりとブロッカーが対応。その後も高いトスを打ち合う展開に持ち込み、第2セットには中盤以降常にリードを奪って勝利した。相手エースの中野祐希は「聞いていて(スパイクの)音が違うと思うんですけど、ボールに重みがある。Vリーグにはない高校生の力強さを感じました」と肩を落とした。
堂々とした試合運びで、ブレス浜松に勝利
身長191㎝のタップ・ハンナら、高いブロック陣がそろう日立Astemoに対しては、「さらに(ブロック)を飛ばしがいがある。それくらいの気持ちでやればいい練習になると思います」と語っていた小川監督。その高い壁に挑んだのが、184㎝のミドルブロッカー古川愛梨だ。第1セットを落とし、終盤まで競り合った第2セットには、2本のブロックを決めると、最後は試合を振り出しに戻すスパイクを決めた。その後も高い打点から相手のブロックを弾き、得点を重ねる。今季はこれまで両エースとライトの佐藤彩夏の打数が多かった中、古川の成長はチームにとって大きい。セッターの二宮みずきは「1点を取るごとに強い気持ちが出るようになって、信頼につながっています。今日よりもっとすごい高さやパワーがあるので、それを引き出したい」と意気込む。
オープントスを上げる二宮
2日間のこれ以上ない「練習」を終えた古川は、笑顔でミックスゾーンに現れた。「試合をして楽しかったのが印象的でした」。春高は3年ぶりの出場で、選手たちにとっては初めての大舞台。だが、自分たちのスタイルが通用したという自信が、5年ぶりの日本一へ背中を押す。
日立Astemo戦で得点を決め、笑顔を見せる選手たち
【皇后杯 下北沢成徳高の試合結果】
1回戦 2(26-24, 25-18)0 ブレス浜松
2回戦 1(17-25, 25-21, 21-25, 19-25)3 日立Astemo
1月5日(水)から東京体育館(東京都渋谷区)で開幕する春高バレーでは、シード校の下北沢成徳高校は1月6日(木)Dコート第5試合(13:50〜)、佐賀清和高(佐賀)と城南高(徳島)の勝者と初戦を戦う。※時間は変更となる場合がある