第74回全日本バレーボール高等学校選手権大会(春高バレー)が2022年1月5日(水)に東京体育館(東京都渋谷区)で開幕する。その出場校で、今夏のインターハイ王者の鎮西高(熊本)が、天皇杯ファイナルラウンドに登場。1回戦のV2のヴィアティン三重戦で、フルセットの熱戦を演じた。2年生の頼れるエース舛本颯真を軸に、春高で4年ぶりの優勝を目指す
取材/田中風太 写真/中川和泉、田中風太
そのエースはわかっていても止められない。V2のヴィアティン三重を相手に、終盤までリードした第2セット。相手のマークは、後衛にいる舛本颯真に集中した。しかし、勢いよく助走に入ると、高く舞った183㎝の体から相手レシーバーの間を次々と打ち抜く。23-16から3連続失点を喫したものの、その暗雲を断っただけでなく、セットポイントでも決めた。20点以降はバックアタックで4得点。第3セットは序盤からミスが続き、逆転勝ちとはならなかったが、舛本は「V2のチームとこれだけ競ることができたのは、いい経験になりました」と手応えをつかんだ。ただ、「まだ全然できていない部分があるので、春高までに詰めていきたいです」と満足はしなかった。
バックアタックを打つ舛本
その頼りになるエースにつないだのが、粘り強いディフェンスだ。ミドルブロッカーの平嶋晃やセッターの九冨鴻三キャプテンのブロックでコースを絞ると、リベロの髙木大我のディグが光った。特に、ブロックに自信を持つ九冨キャプテンは相手スパイカーと一対一の状況でブロックポイントをあげ、勝負強さを発揮した。「事前合宿で対応練習を徹底していたので、それがハマりました。ブロックには自信を持っているので、春高でもそれをつなげていきたいと思います」(九冨キャプテン)。
持ち味である高いブロック力を発揮した九冨キャプテン(コート奥)
日本一に輝いたインターハイでは、大会3日前に決めたツーセッターが機能。相手のマークを分散させ、フルセットとなった決勝(対駿台学園高[東京])で舛本が49得点を決めた。今回も相手コートには身長190㎝の三好佳介がいたものの、そのほかの選手は180㎝台だったこともあり、相手ブロックの上からスパイクを打ち下ろした。それでも、舛本は「今日は『跳んでないな、もっと跳べるな』と思いました。もっとジャンプ力をつけて、いいスパイクが打てるように考えていきたい」と謙虚に語った。
成長著しいエースの今試合の活躍について、畑野久雄監督は「もう少し(身長が)高いチームと対戦したときにどうなるか」と話すが、すでに指揮官も認める存在になっている。鍬田憲伸(中央大4年)や水町泰杜(早稲田大2年)といったかつて春高でチームを日本一に導いたエースと比べても、「高校時代(の能力)はあまり変わらない。小さいけど、ある程度テクニックは身につけてきています」と太鼓判を押す。
1回戦で勝てば OBの福山汰一や宮浦健人がいるジェイテクトSTINGSとの対戦だっただけに、畑野監督は「試合ができなくて残念です」と漏らしたが、春高前にチームの現在地を知ることができた。昨年度は3回戦で敗れた大舞台に向け、舛本は「プレッシャーは結構ありますが、それを跳ねのける力が自分たちにあると思っています。もっと意識を高めて、練習から頑張っていきたい」と決意。鍬田や水町を擁して優勝して以来、4年ぶりの頂点へ。絶対的エースの系譜にその名を連ねる。
春高ではインターハイに続く二冠を目指す(右が舛本、左が九冨キャプテン)
舛本颯真
ますもと・そうま/3年/アウトサイドヒッター/身長182㎝/最高到達点335㎝/龍田中(熊本)出身
【天皇杯ファイナルラウンド 鎮西高の試合結果】
1回戦 1(17-25, 25-20, 18-25)2 ヴィアティン三重
1月5日(水)から東京体育館(東京都渋谷区)で開幕する春高バレーで、シード校の鎮西高は1月6日(木)Cコート第4試合(12:40〜)、埼玉栄高(埼玉)と大阪産大附高(大阪)の勝者と初戦を戦う。※時間は変更となる場合がある