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東福岡高(福岡)連覇の懸かる春高へ「スパイカーは強いと証明して、日本一になりたい」【天皇杯・皇后杯で高校生が得たもの】

第74回全日本バレーボール高等学校選手権大会(春高バレー)が1月5日(水)に東京体育館(東京都渋谷区)で開幕する。その出場校で、昨年度の春高を制した男子の東福岡高(福岡)が、21年12月に行われた天皇杯ファイナルラウンドに登場。1回戦でVC長野トライデンツにストレート負けを喫したが、V1チームを相手に多彩な攻撃を仕掛けるシーンもあった

取材/田中風太 写真/中川和泉

 

 Vリーグの分厚い壁に跳ね返されながら、昨年度の春高王者が懸命に食らいついた。VC長野との天皇杯1回戦。ヌルムルキ・リヴァンら威力のあるサーブでコースを狙われ、試合を通して7本のサービスエースを献上。チームの持ち味である堅い守りはVリーガーを相手に発揮できず。ストレート負けに終わり、葭原昂大キャプテンは「高校生とは違ってまったく通用しなかった」と悔やんだ。だが、必死のレシーブでボールをつなぐと、ブロード攻撃が武器の山田美雄ら多彩なスパイカー陣が躍動した。

 

攻守でチームを引っ張る葭原キャプテン

 

 昨年度の春高は、最優秀選手賞に輝いた柳北悠李(東亜大1年)が日本一の立役者に。そのエースが脚光を浴びる一方、スタメンで出場していた現2、3年生は主につなぎ役に徹した。優勝はうれしい反面、セッターの近藤蘭丸は複雑な思いを抱えていた。「誰が見ても『(柳北)悠李さんがいたから勝った』と思われています。ほかのスパイカーを生かしきれなかったのは自分。ほんとうに責任を感じています」。今季のチームは藤元聡一監督が「絶対的なエースは不在」と話すからこそ、近藤のトスワークにより期待がかかる。

 

 昨年度の優勝を知るメンバ―は柳北以外の全員が残る中、攻撃陣がパワーアップ。山田はブロード攻撃の種類を増やし、後衛からの“バックブロード”も習得。攻守で高い安定感を誇る坪谷悠翔はバックアタックの迫力が増した。その中でも、藤元監督にエースとして期待されているのが199cmのサウスポー川野史童だ。前回大会はミドルブロッカーだったが、今季からオポジットに転向。「日本を背負えるだけの中身は持っています」と話す一方、「自分がどうなりたいか、という強い願望が足りない」と言う。川野は「自分がエースにならないと勝てないという思いが強い」と、柳北のような得点源を目指し、二段トスの打ちきりに力を入れてきた。

 

多彩なスパイカー陣を操る近藤(左から2番目)と、エースとして期待される川野(右端)

 

 昨夏のインターハイは、攻守の要である坪谷が右肩を負傷しながらの戦いに。攻撃が単調になり、準決勝で鎮西(熊本)にフルセットの末に敗れた。最後の全国大会となる春高に向け、近藤は言った。「自分たちのチームのスパイカーは強いので、それを必ず証明して日本一になりたいです」。中止になった国体を含め「三冠」を掲げてスタートした1年。連覇の懸かる春高で、その思いを実現させる。

 

得点が決まり、感情を爆発させる選手たち

 

 

1月5日(水)から東京体育館(東京都渋谷区)で開幕する春高バレーで、東福岡高は1月6日(木)Bコート第6試合(15:00〜)、札幌藻岩高(北海道)と東亜学園高(東京)の勝者と初戦を戦う。※時間は変更となる場合がある

 

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