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梅本春之助(鎮西学院高)Vリーガーの兄・鈴太郎(堺)越えの春高初出場

第74回全日本バレーボール高等学校選手権大会(春高バレー)が1月5日(水)に東京体育館(東京都渋谷区)で開幕する。鎮西学院高(長崎男子)を初出場に導いたのはエースの梅本春之助。V1男子の堺ブレイザーズでプレーする兄の鈴太郎(りんたろう)在籍時にも成し遂げられなかった夢をかなえた

 

取材・文/田中風太 写真/山岡邦彦

 

インターハイでは初出場ながらベスト16入りに導いた梅本(右)

 

 窮地に追い詰められても、鎮西学院高には頼りになる男がいた。春高県予選決勝の大村工高戦。第5セット5-6となったところで、セッターの江嶋友希が立ち上がれなくなった。足を引きずりながら交代する姿を見ながら、エースの梅本春之助はすぐに心を切り替えた。

「『大丈夫かな?』と思いましたが、サブのセッター(渡部颯吾)が準備する姿が見えました。それを見て、こいつとなら(トスが)合うって。『負けるかも』という気持ちは一切なかった。絶対に勝たないといけないという気持ちがいちばんにあって、そのためにも自分が決めなければと思いました」

 

 正セッターを欠く中、その後もリードを許し、6-10と最大4点差がついた。それでも、第1セットからチームを引っ張っていた梅本は、最終盤にさらに迫力を増した。バックアタックで3得点するなど、持ち味のパワフルなスパイクを武器に、徐々に点差を詰める。先にマッチポイントを握られたが、土壇場でまたもバックアタックで得点。ジュースに持ち込むと、最後は相手のミスもあり逆転勝ち。うずくまる梅本の元に、仲間たちが集まった。

「涙が出るくらいうれしかったです。クラスのみんなからも『頑張ってね』と言われていて。応援に応えたいと思ったので、それができてよかったです」

 闘志あふれるプレースタイルで、得点を決めると雄たけびを上げた。白熱した第5セットには、コートを走り回り「もっと盛り上がれ」と言わんばかりにスタンドに向かってジェスチャーを繰り返した。そして、同点に追いつくと、クリスティアーノ・ロナウド(サッカー)の得点後のように、スタンドに向かって両手を広げて仁王立ち。「自分は観客がいると盛り上がるタイプ。この元気のよさをみんなにわけて、感謝を伝えられたらと思っていました」。応援席は熱を帯び、逆転へムードは高まっていった。

 

 吾妻中3年生時にJOC杯長崎県選抜のメンバーに選ばれ、準優勝。その後は全中選抜としてプレーした。バレーを初めて以来、常に比較されたのが、現在は堺ブレイザーズでプレーし、鎮西学院高のOBでもある兄の鈴太郎。「今まで兄と比べられてきたからかもしれませんが、(自分も)無意識に比べていました」と振り返る。3年間出られなかった鈴太郎と同じく、鎮西学院高では2年生時まで全国大会に届かなかったが、昨夏のインターハイで初めて全国大会へ。そして、今回再び大舞台の切符をつかんだ。「ヘタやったけど、いい試合だった」という鈴太郎からのメッセージに「うれしかったけど、ちょっと言い方がアレかなって」と笑った。

 昨夏のインターハイは、敗者復活戦から勝ち上がり、ベスト16入り。「前回は悔しい思いしかなかったので、(春高で)リベンジしたいと思います」と意気込む。「鈴太郎の弟」ではなく、絶大な信頼を集める鎮西学院高のエースとして。夢の舞台でその名をアピールする。

 

春高ではベスト4入りを目指す鎮西学院の選手たち(1列目左から4番目が梅本)

 

梅本春之助

うめもと・はるのすけ/3年/アウトサイドヒッター/身長189㎝/最高到達点326㎝/吾妻中(長崎)出身

 

1月5日(水)から東京体育館(東京都渋谷区)で開幕する春高バレーで、鎮西学院高は1月5日(水)Eコート第6試合(14:30〜)、県立岐阜商高(岐阜)と初戦を戦う。※時間は変更となる場合がある

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