第74回全日本バレーボール高等学校選手権大会(春高バレー)が1月5日(水)に東京体育館(東京都渋谷区)で開幕。前回大会ベスト8の仙台商高(宮城)は、1回戦で鳥取中央育英高(鳥取)にストレート勝ちした。6日(木)に行われる2回戦で、前回大会敗れた駿台学園高(東京)に雪辱を果たせるか
取材・文/田中風太 写真/石塚康隆、松村健人
5日に行われた1回戦鳥取中央育英高戦で、得点を決め手笑顔を見せる山元(左から2番目)
プレーをしながらも、山元快太の心は穏やかではなかった。2021年11月28日。練習試合を行うその同時刻に、春高の組み合わせ抽選会が行われていた。ライブ中継を見ながら、組み合わせ表にマネジャーが学校名を書き込んでいく。セット間にその表を見ると、「仙台商業」の二つ下に「駿台学園」の文字があった。同校は準々決勝で対戦して敗れ、前回大会準優勝した相手。早すぎるマッチアップに、心は震えた。
「(それを見たときは)みんなおおー、みたいな反応で(笑) 運命的というか、去年のリベンジができるね、って話しました」
山元にとって、その一戦は忘れられない記憶となった。昨年度の春高は、2年生エースとして臨んだ高校初の全国大会。最高到達点342㎝からスパイクを打ち込み、2回戦で大村工高(長崎)、3回戦で昌平高(埼玉)に勝利して準々決勝のコートに立った。しかし、それまで決まったスパイクは、試合巧者の駿台学園の術中にはまった。「自分の得意なコースに必ずレシーバーがいて、それよりもちょっと内側に打つとブロックに止められました。完璧に止められて、完敗でした」。2セットともに20点台にも届かず、ストレート負け。試合後は大粒の涙を流した。
前回大会の駿台学園高戦で、ブロックされる山元(コート奥右端)
キャプテンとしてもチームを背負う今季は、より自覚が芽生えた。連戦で体力が落ちた経験を踏まえ、スクワットなど下半身のトレーニングに力を入れた。練習ではこれまで以上にトスを呼び、連戦に耐えられる体を目指した。昨夏のインターハイでは、同大会ではチームとして最高成績となるベスト8入り。しかし、「チームの歴史を刻めましたが、目標は日本一を取ること。どんな状況でも得点を取り続けられるエースになりたいです」と妥協せずチームを引っ張ってきた。
最高到達点350㎝を誇るエースに成長を遂げ、5日に行われた1回戦では鳥取中央育英高(鳥取)にストレート勝ち。願いどおり、リベンジの挑戦権を手にした。
「駿台(学園高)に負けてセンターコートを逃しているので、必ず勝ちたい。自分の力を最大限に発揮して、目標である日本一を達成したいです」
頂点への第一関門。徹底マークを打ち破る強さが、今の山元にはある。
山元快太
やまもと・はやと/3年/アウトサイドヒッター/身長192㎝/最高到達点350㎝/将監中(宮城)出身
仙台商高は1月6日(木)Cコート第6試合(15:00〜)、駿台学園高(東京)と2回戦を戦う。※時間は変更となる場合がある