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春高2025

田代佳奈美がフランスで直面した文化の違いと“折り合う”までの道のり

  • コラム
  • 2022.02.10

 すでに試合のMVPには4度選ばれている。それも、年が明けてからは2戦連続だ。フランス・リーグAのナントでプレーする田代佳奈美の活躍が、ニュースとして続々と飛び込んでくる。自身にとって初めての国、初めてのリーグ、そして、初めてのチーム。仲間とのコミュニケーションを最も必要とされるセッターというポジションで、彼女はどのような心がけでプレーしているのか。

 

<田代佳奈美(たしろ・かなみ)/1991年3月25日生まれ/身長173㎝/最高到達点289㎝/古川学園高(宮城)→東レアローズ→ブカレスト(ルーマニア)→デンソーエアリービーズ→ナント(フランス)/セッター(Photo:Corentin Pingeon)>

 

自主練習をやるのも一苦労

 

 「また、やるの!? もう、やめておきなよ」

 

 午前中のフィジカルトレーニングを終えてからボールを手にする田代に、そう声をかけるチームメイトたち。最初は驚かれていたが、今では認められているのか、それとも、あきれられているのか。

 

 「日本人は練習し過ぎだよ」

 

「でもね、ボールを触っていないから不安なの」

 

「それは、わかるけれど…」

 

「ちょっとだけ!! ちょっとだけだから」

 

 そんな会話が、日常茶飯事となっている。

 

 田代が所属するナントは、毎日のチーム練習が2時間と決まっている。むしろ2時間以上は、絶対に行わない。自主練習も原則は“無し”だ。

 

 とはいえ、田代にも自主練習をやりたい理由がある。

 

 「練習の時間が決まっている分、その中で私自身のボールを触る回数がちょっと少なかったな、と感じることもあるんです。

 ただ、その日の練習後は施設の利用状況も含めてやらせてもらえないので、翌日に自主練習の時間を設けていいかを監督に打診します。『お願い!!』って伝えて、『なら、30分だけならいいよ』という感じ。

 やりすぎ、とは言われますが、ボールの感覚はセッターである私自身のことなので」

 

 練習とは言っても、スタッフにボールを投げてもらい、ターゲットに向けてボールをセットアップするといったもので、「そんなに激しいものではなく」(田代)、ほんとうにボールタッチを確認する程度。それでも了承を得るのに、一苦労する。

 

 こうした日本と海外の違いに、田代は「逆に、おもしろいですよ」と笑うのであった。

 

<レギュラーシーズンでは第3節(21年10月16日)、第11節(21年11月27日)、第15節(1月8日)、第16節(1月15日)にMVPに選出された(Photo:Corentin Pingeon)>

 

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