田代佳奈美がフランスで直面した文化の違いと“折り合う”までの道のり
- コラム
- 2022.02.10
<チームメイトとコミュニケーションを取りながら戦う(Photo:Corentin Pingeon)>
相手に理解してもらっても…
海外の生活は、2018/19シーズンをルーマニアで過ごした経験から、苦にはならなかった。だが、バレーボールをするうえの環境はまるで違う。
ルーマニアのときは、所属先のブカレストに井上琴絵(NECレッドロケッツ)ら、計4名の日本人選手が在籍していた。今回は、自分一人だけ。それにフランス自体も、女子日本代表などでの海外遠征を含めて、一度も行ったことがない国だった。
ナントに渡ったのは昨年8月下旬。漠然とイメージしていたとおり、フランスは“我が強い”人柄が多く、きっぱりと主張してくる点を実感した。それはバレーボールをするうえでも同様で、いちばん最初にぶち当たった壁でもあった。
「バレーボール自体は英語の単語が多いので、その点は困らなかったんです。ただ、こちらから相手に伝えて、例えば、自分のやりたいバレーボールを相手が理解してくれても、それを実践してもらうところが難しかったです。外国籍選手はハッキリと『それはできない』と言ってきますから」
田代自身、セッターとしてアタッカー陣に求めるスピードや実現したいスタイルを持っていた。それをチームのシリル・オング監督に持ち掛けると、「メンバーたちは日本人選手ではないから、スピードのあるバレーボールは難しいと思う」と言われた。
けれども、自主練習の件も含めて、すべてを突っぱねる監督ではなかった。お互いに「うまく融合させていけたらいいよね」と認識を共有し、今季のチームづくりは始まった。
<アメリカ、スウェーデン、フィンランドなどの選手がそろう“多国籍”なチームで攻撃を組み立てる(Photo:Corentin Pingeon)>
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