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春高2025

田代佳奈美がフランスで直面した文化の違いと“折り合う”までの道のり

  • コラム
  • 2022.02.10

<観客の声援にアクションで応える(Photo:Corentin Pingeon)>

 

チーム力を向上させる相乗効果

 

 シリル監督とはシーズンが始まってからも、マンツーマンで試合映像を振り返るミーティングの時間を設けている。そうして、今では「ネットからアタックラインまでの間の返球に関しては、自分の思い描く、スピードあるバレーボールを展開してもらって大丈夫。アタックラインより後ろに返ったボールは、しっかりとアタッカーが打ちきれるハイセットを供給する」(田代)という約束事ができた。

 

 紆余曲折を経て、田代はチーム力がアップする過程を実感している。「今回のチームに限ったことではないですが」と前置きし、このように語った。

 

 「自分の思っていることや、やりたいバレーボールをしっかり伝えることで、最初はうまくできなくても、段々とみんなが理解してくれるようになったり、逆に、できなくてもトライしようとしてくれる姿を見て、自分も相手に寄り添わなきゃ、と思えたりします。

 それに、自分の考えだけを押しつけるだけではダメだな、とも。お互いにとっていいところを出せるような、相乗効果が生まれてこそ、チーム力も上がるのだと、とても感じます」

 

 2022年に入ってから田代は、第15節(1月8日)、第16節(1月15日)の2戦連続でMVPを受賞した。ただ、自身の中で手応えはまるでなく、「どうして選ばれたのかわからないんです」が本音だ。反対に、田代の目にアタッカー陣は絶好調に映り、「アタッカーが決めてくれるから、セッターも目立つことができるんです」と感謝した。

 

 現在、ナントはレギュラーシーズンで連敗も1度だけということもあり、リーグの上位につけている。

 

「やるからには優勝したいですし、シーズン前に監督へも『自分が入ったからにはチームを勝たせたい』と伝えましたから」と田代。

 

 この地でチームを勝利に導くために、文化や考え方の違いを受け入れながら、自分に必要なことを模索し続ける。たとえ周囲にストップをかけられても、一人で汗を流すのは、そのためだ。

 

(文/坂口功将〔編集部〕)

 

<司令塔としてチームを勝利に導く(Photo:Corentin Pingeon)>

 

『月刊バレーボール』20022年3月号(2/15発売予定)ではインタビューを掲載

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