春高準優勝 畑野久雄監督(鎮西高)が語る「当たり前のことを当たり前に」 名将が最も警戒したチームは?
- 高校生
- 2022.02.15
自ら考えてプレーできる選手を目指して
――畑野監督はミスについて、特に厳しく指導されます。鎮西では「当たり前のことを当たり前に」というモットーを掲げていますが、その原点はなんでしょうか?
指導者になってからずっと言ってきたことですね。私が現役のときから感じていたことですが、それをできない選手はいくら言ってもミスをします。調子がいいときはみんないいですが、悪いときにどうするか。それがちゃんとできないと、バレーボールは勝てないと思います。
――現役時代にそう感じるきっかけがあったのでしょうか?
私は背が低く、「人一倍ボール扱いがうまく、ジャンプができんとダメ」と思っていたからだと思います。
ミスをすると、よく「すまん」って言う選手がいますよね。でも、次の試合でまた同じことをすると、私は「嘘つき」って言います。「ミスしてすまんって言うなよ」と。
――何度も同じミスをする選手が、ミスをしなくなるには何が必要でしょうか?
練習しかないですよ。ただ、やらされるのではなくて、自ら考えて練習して、自分の体を動かせるようになるということですね。
1974年、初めてここ(鎮西高)に来たとき、選手たちは声を出して練習していました。そのときに「声を出すな」と怒りました(笑) 私は現役のころに声を出さないでプレーする練習もしましたが、そうしたら自然と自分たちに必要な声が出るんです。「頼む」とか「トスを持ってこい」とか「クイックに入った」とか。自分で考えて、隣にいる選手に必要な声を出せということですね。
うちの選手たちは試合や練習でダラっとしているように見えますが、ほかのチームよりも考えてプレーしていると思います。
――あらためて、当たり前のことを当たり前にするために、必要なことは何ですか?
本人たち次第です。それは特にレギュラーの責任であって、だからレギュラーと補欠は違います。一人一人が周りに迷惑をかけないバレーをできるようにならないとダメです。
これは高校生だから難しいとか、難しくないとか、そういうことはありません。3年という時間の中で、いかに自分で考えてできるようになるかが大切です。
畑野久雄監督
はたの・ひさお/1945年4月28日生まれ/熊本商高(熊本)→日本体大
1974年、鎮西高の監督に就任。インターハイ、春高で7度の頂点に導く
月刊バレーボール3月号(2月15日発売)では、「春高2022アフターストーリー」と題して、熱戦をプレーバック。鎮西高は、2年生エースの舛本颯真、そして九冨鴻三キャプテン、髙木大我、平嶋晃の3年生が、今大会を振り返った
レシーブする舛本。ていねいなプレーでセッターにボールをつなぐ
選手たちに声を掛ける畑野監督
【次ページ】準優勝した春高などを振り返る鎮西高フォトギャラリー