無観客でも。富士通カワサキレッドスピリッツに届いたエール
- V男子
- 2022.03.10
<在籍2季目のジェフリー 宇意は不動のミドルブロッカーとして活躍>
「これはホームゲームなんだ」(ジェフリー宇意)
そのたくさんのメッセージが、チームに勇気を与えることになる。
いざ迎えた今季最後のホームゲーム。その初戦は「想定外」と山本監督が振り返ったように、出だしから果敢に攻めたてる埼玉を前にして、第1セットは30点台に到達するジュースに。なんとかセットを先取したものの、第2、第3セットを奪われる。そうして窮地に立たされた第4セットのことだ。
エバデダン ジェフリー 宇意は、チームメイトが発した言葉をはっきりと覚えている。
「谷平(拓海)が、ぼそっと口にしたんです。『全員、あれ見ろよ!!』って。本人はおもしろがって言ったのかもしれないですけど、その言葉を耳にして、観客席の応援メッセージがはっきりと見えました」
ジェフリー 宇意は、気持ちの高ぶりを感じた。
「そうだ、これはホームゲームなんだ、って。無観客だけど、見ている人たちがいるんだ、とあらためて認識したんです。この状況でも気持ちで負けてはいけないと思えたので、ほんとうに応援メッセージの張り紙はありがたかったです」
やがてチームは第4セットを28-26の接戦の末に取り切ると、最終第5セットも制し、勝ち星につなげたのだった。
<攻守の要を務める谷平<中央>>
リモートだからこそ表現できることは何か
この日の応援キャンペーンはスタッフや選手の提案で実施したものだった。また、この週末に、富士通は新たにチームの応援ソングを発表している。そうした取り組みは、長年V2の舞台を戦ってきたチームの中でも、これまで見られなかったものだ。
その気風の変化は、山本監督の言葉にも表れている。
「どんどんやりたいことをやってほしい、と思っています。私自身はあまり口を出さないようにしていますし、仮に会社との交渉事が必要ならば、それは私がやればいい。スタッフや選手にはどんどんトライしてほしいですし、私も何かしらのサポートができればと考えています」
今回のようにリモートマッチとなれば、チームは独自に試合映像を配信できるようにしている。そこでは、普及担当を務めるOBの中川剛さんの解説がつく。
「時代の流れに沿って、試合の見方に対する価値観も変わってきていると思います。直接でなくてもリモートで、映像越しでも“見て、楽しめる”ことも今後は考える必要が出てきているのではないかと。
その中で、自分たちは何ができるのか、を試行錯誤して、チームからもっともっと発信をしていきたい。それを今回のホームゲームで表現させていただいたわけです」(山本監督)
コロナ禍でも、いやコロナ禍だからこそ、か。チームとファンをつなぐ絆はさらに深まり、今、富士通に追い風を生んでいる。
(文・写真/坂口功将〔編集部〕)
<後半戦の山場をまずはクリアした富士通。このまま5連覇へ突き進めるか>
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