4月4日(月)、男子日本代表のフィリップ・ブラン監督が今年度の日本代表35名の発表に伴い、リモート会見を行った。その模様を3回に分けてお届けする。第2回はチームが成長すべきポイントについて。絶対的な存在である石川祐希(ミラノ[イタリア])の名を挙げながら、リーダーシップ、そしてプレー面についての課題を語った(記者会見のコメントを一部改変)
チームの強さが特定の選手に左右されてはならない
チームを成長させるという仕事は、東京2020オリンピックでチームのレベルを高めることができたとはいえ、終わっていないと思っており、まだ進歩の余地があります。パリオリンピックへの出場という目標を達成したいのであれば、パフォーマンスのレベルをより高める必要があります。
東京2020オリンピックでは、精神面において私が多くの議論を交わしたキャプテン石川祐希選手のリーダーシップのもと、チームスピリットと団結したときの強さを生み出すことができました。チームが団結したときの強さは、パフォーマンスにおけるキーポイントとなります。これはイタリアで行われた2018年の世界選手権で、私たちに欠けていたものです。
リーダーシップを発揮し日本代表を引っ張る石川祐希
東京2020オリンピックに参加したことで、チームに団結力が表れてきました。私の目標はそれを持続化させ、さらに強化することです。日本代表でプレーしたいと思っているすべての選手のスタンダードにならなければなりません。各大会の各試合はオリンピック出場への一歩であり、チームの強さが特定の選手だけに左右されてはいけません。
私たちがプレーしなければならない、連続した試合の数を考えると、コートにいるのが常に同じ選手である、とは想像しがたいでしょう。従って、メンバー誰もが各自の能力をチームにもたらし、チームの原動力として寄与する必要があります。
石川祐希選手は引き続きキャプテンを務めますが、シーズンをとおして彼と交代し、彼を支えることができるほかのリーダーも生み出す必要があると考えています。
大きな進歩を遂げるための2本の柱
技術面、および戦術面について申し上げます。東京2020オリンピックに向けて私が持っていた目標は、チームがパフォーマンスを発揮する環境をつくれるようにするための強みを伸ばすことでした。
フロアディフェンスの向上、サーブ、サーブレシーブ、AパスおよびBパスからサイドアウトを取ることが、私の優先事項でした。それらは引き続き優先していきますが、さらに競争力を高めることを追求したいと思います。
一方で、私たちのパフォーマンスが国際基準を下回っている課題が2つあります。それはブロックとトランジションアタック(切り返し)、特にハイボール(二段トス)のアタックで、それに全力を尽くして取り組んでいかなければなりません。
ブロックで効果的なパフォーマンスを期待するためには、体格的な大きさが重要となってきます。これが昨シーズンにおいて(2つの課題が)優先事項でなかった理由です。今こそ私たちのチームがこの分野で大きな進歩を遂げるときです。私たちの効果率の統計結果が、強豪チームの基準から最も離れているのはブロックです。このギャップ(隔たり)を減らす必要があります。
ブラン監督はブロックについて「大きな進歩を遂げるとき」と語った【写真:FIVB】
そのための2本の柱は次のとおりです。
個人および集団の技術と戦術を改善します。体格的な基準と、ブロックの効果率という新しい優先順位を、選手を選抜するための基準に組み入れます。
次にトランジションアタックについて申し上げます。明白なことですが、私たちはサーブの質が高く、最もディフェンス力の高いチームの一つです。これらの強みを生かす意味でも、トランジションアタックの効果率を上げる必要があります。
(第3回へ続く)
【第1回を読む】男子日本代表 フィリップ・ブラン監督の決意①「パリオリンピックに出場する目標を達成したい」
2022年度男子日本代表登録メンバー(35人)
<背番号/名前(所属)/身長/ポジション>
OP=オポジット、OH=アウトサイドヒッター、MB=ミドルブロッカー、S=セッター、L=リベロ
1 西田有志(ビーボ・バレンティア[イタリア])/187cm/OP
2 小野寺太志(JTサンダーズ広島)/200cm/MB
3 深津旭弘(堺ブレイザーズ)/183cm/S
4 大竹壱青(パナソニックパンサーズ)/202cm/OP
5 大塚達宣(早稲田大4年)/194cm/OH
6 山内晶大(パナソニックパンサーズ)/204cm/MB
7 高梨健太(ウルフドッグス名古屋)/190cm/OH
8 関田誠大(クプルム・ルビン[ポーランド])/175cm/S
9 大宅真樹(サントリーサンバーズ)/178cm/S
10 髙橋健太郎(東レアローズ)/202cm/MB
11 富田将馬(東レアローズ)/190cm/OH
12 髙橋 藍(日本体大3年)/188cm/OH
13 小川智大(ウルフドッグス名古屋)/176cm/L
14 石川祐希(パワーバレー・ミラノ[イタリア])/191cm/OH ※主将
15 李 博(東レアローズ)/195cm/MB
16 宮浦健人(ジェイテクトSTINGS)/190cm/OP
17 山崎彰都(ウルフドッグス名古屋)/190cm/OH(初)
18 仲本賢優(パナソニックパンサーズ)/187cm/OH(初)
19 新 貴裕(パナソニックパンサーズ)/181cm/S(初)
20 山本智大(堺ブレイザーズ)/171cm/L
21 永露元稀(ウルフドッグス名古屋)/192cm/S
22 樋口裕希(堺ブレイザーズ)/191cm/OH
23 佐藤駿一郎(東海大4年)/205cm/MB
24 高橋和幸(ジェイテクトSTINGS)/170cm/L(初)
25 中村駿介(パナソニックパンサーズ)/186cm/S(初)
26 村山 豪(ジェイテクトSTINGS)/192cm/MB(初)
27 古賀健太(大分三好ヴァイセアドラー)/188cm/OP(初)
28 伊藤洸貴(大分三好ヴァイセアドラー)/190cm/S(初)
29 藤中颯志(VC長野トライデンツ)/178cm/L(初)
30 エバデダン ラリー(筑波大4年)/195cm/MB(初)
31 垂水優芽(筑波大4年)/187cm/OH(初)
32 西川馨太郎(筑波大4年)/195cm/MB(初)
33 牧 大晃(筑波大1年)/210cm/OH(初)
34 甲斐優斗(専修大1年)/200cm/MB・OP(初)
35 麻野堅斗(東山高3年)/206cm/MB(初)
監督 フィリップ・ブラン(公益財団法人日本バレーボール協会)
※年齢・所属は2022年4月4日時点