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トヨタ車体 藪田美穂子が自身初のサーブ賞 その一球に魂を込めて

◆ワタシのS6+1(プラスワン)/藪田美穂子[トヨタ車体クインシーズ]◆

 

 2021-22 V.LEAGUE DIVISION1 WOMEN(V1女子)のV・レギュラーシーズンでサーブ効果率13.4%をマークし、自身初のサーブ賞に輝いたトヨタ車体クインシーズの藪田美穂子。聞けば、技術面で何かを変えたわけではないという。そこにあったのは、自身の持ち味だった。

 

<藪田美穂子(やぶた・みおこ)/1995年12月1日生まれ/身長178㎝/最高到達点300㎝/誠英高(山口)→中京大→トヨタ車体クインシーズ/アウトサイドヒッター>

 

シーズン後半は主にリリーフサーバーを務める

 

 トヨタ車体に入団して4シーズン目となる今季、藪田はあらゆる立場を経験した。トヨタ車体に入団して4季目でキャプテンに就任。コート上ではVリーグ歴の浅い若手選手たちをプレーで引っ張り、シーズン後半ではリリーフサーバーとしての役割を与えられた。

 

 リーグ全体を見渡しても、サーブの打数自体(207本)は、ほかの選手の半分ほど。それでも高い効果率を残した点は特筆すべきだが、藪田自身はレギュラーとして回ってくるサーブ順と、リリーフとしてのそれに違いを感じていた。

 

「レギュラーの場合だと、試合の流れをくみ取りながら、工夫してサーブを打つケースがあります。この1本をどうしよう、ではなくて、何本か打つなかで、いかに揺さぶるか、を考えるわけです。

 

 ですが、リリーフサーバーとして投入されるとなると、ここは絶対にミスしてはいけないという場面もありますし、そのときはプレッシャーを感じました。その重圧と、この1本で自分が流れを変えるんだという思いが戦っていましたね」

 

 そもそも藪田には、“流れを変える”ための武器が備わっている。気持ちをプレーに乗せるスタイル、それを高校時代から自分の中で確立させた。それは今も変わらない。周りを巻き込むほどの熱さや、ガッツ溢れるプレーは、チームの雰囲気を押し上げる。それは自身がバレーボール選手として、いつも心がけていることでもある。

 

<気持ちを爆発させるスタイルが藪田の魅力だ>

 

打った瞬間に、お!? となるサーブ

 

 そうしてリリーフサーバーを担うことになった今季は、サーブに気持ちを込めた。

 

「自分がサーブで少しでも相手を崩して、得点につなげたいという気持ちがあふれ出ていました。技術うんぬんよりも、私がこの1点を取る、その思いでサーブを打っていました」

 

 それが、高い効果率を生んだ理由だったのだ。数少ない出番の中でも、ボールに魂を込めていた。

 

「打った瞬間に、お!? と感じるんです(笑) ボールにぐわぁ、と魂が乗り移っていたサーブは、何度もありました。特に印象的だったのは、年明けのNECレッドロケッツ戦(1月30日)。先行される苦い展開の中で、サービスエースを奪った場面です」

 

 結果的に0-3で敗れたものの、その日、藪田は両チーム通して最多3本のサービスエースをマークしている。

 

<自分が1点を取る、そう思いを込めてサーブを打ち込んだ>

 

 チームは今季、開幕17連敗と苦しみ、10勝23敗の10位(12チーム中)でシーズンを終えた。それでも、トヨタ車体全体ではサーブ効果率9.7%を残し、これはリーグでトップの数字だった。そのチームをキャプテンの藪田が文字どおりリードした。

 

 「私自身はそれほどサーブを得意としていたわけではないので、自分の数字にはびっくりしています。ですが、シーズンが始まった当初からトヨタ車体としてサーブを強みにしたいと話をしていたので。そこで結果を残せたのは、とてもうれしいです」

 

 そう言うと、魂のサーバーはにこりと微笑んだ。

 

(文/坂口功将〔編集部〕)

 

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