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春高2025

出場停止に、罰金。セリエAのプレーオフ ペルージャ対モデナは遺恨試合の様相へ

  • コラム
  • 2022.04.19

 イタリア・セリエAの2021/22シーズンはプレーオフに突入し、現在は準決勝ラウンドが行われている。準々決勝ラウンドを突破した4チームが2つに分かれて、それぞれ3戦先勝方式のラウンドに臨んでいるわけだが、そのうちの一つ、ペルージャ対モデナのカードがハイレベルなプレーとは別の、熱を帯びている。

 

<ペルージャ(奥)とモデナが激しい攻防を繰り広げている>

 

第1戦の試合直後に乱闘が勃発

 

 現地4月17日にモデナのホームで行われた準々決勝ラウンド第2戦。その試合で最も会場のボルテージが上がったのは、第4セット、アウェーのペルージャが24-21でマッチポイントに到達したときだった。

 

 この場面で、ペルージャがリリーフサーバーとして投入したドラガン・トラビカ(イタリア)に対して、アリーナの大半を占めたモデナの応援団が激しいブーイングを浴びせる。そのサーブがネットにかかると、スタンディングオベーションで喝采が送られた。

 

 事の発端は、その4日前におこなわれた第1戦。ここで、ひと悶着があった。第4セットにモデナのリードでペルージャがタイムアウトを取った際に、トラビカが人差し指と中指でVサインをつくり、相手ベンチに向かってハンドサインを送ったのだ。いわゆる“お前を見張っているぞ”というジェスチャーであり、この姿は国際映像にも捉えられた。

 

<代表選出歴もあるベテラン選手のトラビカ(写真はレギュラーシーズン)>

 

 そうして不穏な空気が漂うなか、試合はモデナが3-1の勝利を収める。すると試合後の整列に並ぶこともままならず、モデナのイオアンディ・レアル(ブラジル)がトラビカの元へまっしぐら。両チームが入り乱れ、もみくちゃとなった。ウィルフレド・レオン(ポーランド)にひきつれられてレアルはバックヤードへと下がったが、このときペルージャの応援席からは物が投げ込まれた。

 

 この事案に対し、リーグは処分を発表。レアルには暴力行為を働いたとして出場停止処分が下され、また、ファンによる危険な行為に対してペルージャには380ユーロの罰金を科すことにした。

 

火種がSNS上でさらに広がる

 

 しかし、問題は収束せず、場外でヒートアップする。この試合後にモデナのイアルバン・ヌガペト(フランス)が自身のSNSで、トラビカのハンドサインの画像を引き合いに出して、「差別主義者」と投稿してしまったのだ。すでに削除されているものの、ヌガペトといえば東京2020オリンピック金メダリストであり、38万人超のフォロワーを持つスター選手。その影響力が持つ効果は、想像にたやすい。

 

 そして、これにはトラビカ側もはっきりと異を唱えた。「非常にデリケートな問題であり、すべてが正しいものではない。試合中にレアルと掛け合いがあったのは事実ですが、けれども彼に対して、差別的な言葉を吐いた事実はありません」と自身のSNSにつづり、その主張をペルージャも支持する旨を表明している。

 

<出場停止処分が下されたレアルは、第2戦をエンドライン外の座席で試合を観戦していた(写真はレギュラーシーズン)>

 

 実際にコートレベルで(ののしり合いも含めて)どのような会話があったかは不明だ。だが、一度芽生えた遺恨は、そう簡単にぬぐえない。ましてや、準決勝ラウンドの2試合とも、アウェーチームが勝利するという結果になっており、これがホームチームの選手たちやスタンドを占めるファンのフラストレーションを生む要因にもなっている。

 

 第2戦が行われたアリーナ「パラパニーニ」は、モデナのチームカラーである黄色で埋め尽くされた。それはモデナが展開した反戦キャンペーンの一環で、配布されたTシャツには「STOP WAR AND PLAY VOLLEY(=戦争はやめて、バレーボールをしよう) 」の文字が書かれていた。

 

 試合やプレーとは異なる火花が散ってしまっているのは何とも皮肉だが…。第3戦は現地4月20日にペルージャのホームで行われる。決勝進出に大きく前進する白星をつかむのは、どちらのチームだろうか。

 

<スポンサーによる反戦キャンペーンのTシャツを着用するモデナのファンたち>

 

(文/坂口功将〔編集部〕)

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