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東山高(京都)松永理生新監督「選手のよさを引き出せる指導者に」

2019年度から21年度まで東山高(京都)でコーチを務め、この春から同校で指揮を執る松永理生監督のインタビュー。今年1月の春高で感じた難しさ、そして指導者としてこれから目指す姿とは

 

今年1月の春高で、戦況を見つめる松永監督(当時はコーチ)

 

――今年1月の春高では、大会屈指の好カードとなった1回戦の習志野(千葉)戦でフルセットの末に敗戦。当時はマネジャーとしてベンチにいましたが、感じたことはありますか?

東山のコーチになる2年ほど前から、月に1、2回は選手たちと関わっており、バレーボールの戦い方を考える重要性を伝えてきました。そして、僕がコーチに就任した1年目、つまり髙橋藍(日本体大3年)が3年生のときの春高で日本一を獲ることができました。髙橋やその一つ下の吉村颯太(日本体大2年)、楠本岳(天理大2年)たちの代も含めて自分たちで考えることに取り組んでおり、当時はベンチに座りながら何かひと言伝えるだけで、選手たち自らイメージして戦術を遂行していました。

 

ただ昨年度は、公式戦ではベンチに入っていたものの、ほとんど試合に出ていない選手たちのチームでした。一方で、習志野高校は全国大会に出た選手がコート内に多かったです。特に3年生がゲームに慣れていて、春高の映像を見返すと、うちが第1セットを取った後でも、3年生が次に必要なことを考えて話せていると感じました。

第2セット以降、1年生をはじめ経験値が少ない選手がどう戦うのかと思っていましたが、やはりうまく回らなくて。今回の春高で、高校生特有の幼さをいちばん痛感しました。

 

――攻守の課題はいかがでしょうか

オフェンスに関してはチームの形をずっとつくってきて、最後にディフェンス面も固まった状態で春高予選に挑みました。府決勝で自分たちのやりたいことがどんどんできて、見ていて楽しいな、と感じました。

しかし、いざ春高の舞台に立つと、1年生の両エース(尾藤大輝、花村知哉)は緊張しまくっていました。会場に観客が入った状態を知らないにもかかわらず、舞い上がってしまっていて。コロナ禍で全中(全日本中学校選手権大会)も中止になった代だったので、いつもどおりのプレーがほんとうに難しかったです。選手もそうだと思いますが、これまでつくり上げてきた成果をまったく出せず、悔しかったです。

 

――今後、高校生の成長にはどんなことが必要だと考えていますか?

スポーツ界は今、若い選手が自分たちで考えて取り組むようになっています。いい面も悪い面もあると思いますが、バレー界がその流れに乗らないわけにはいきません。考え方もそうだし、自覚も芽生えさせることが必要で、指導者がより大変だと思いますが、選手たちには将来の夢を持ってもらい、技術面でも自分の限界を決めさせないことが大事だと思います。

 

――松永監督ご自身の指導者としてのビジョンはありますか?

海外の監督や、海外を経験して日本に帰ってきた監督は、スキルを身につける方法をすごく学ばれていると感じます。一方で、スキルが満たない選手を外すことも、プロの世界ではよくあると思います。

ですが、そうするのではなくて、選手のよさを引き出せる指導者になれば、トップカテゴリーでもメンバーから外れた選手たちを変えることができるかもしれません。

将来的には日本代表やVリーグなど、カテゴリーを上げていきたいし、チャンスがあればアンダーエイジカテゴリーの指導もしたいです。そのための勉強でもあると思って、今は指導させてもらっています。僕が指揮を執る間も、豊田(充浩前監督)先生が総監督として現場にいてくださるので、2人で頑張っていきたいですね。

 

V1男子のサントリーサンバーズが3月に開催した昇陽高(大阪)とのエキシビションマッチで監督デビュー

 

松永理生

まつなが・りお/1981年10月9日生まれ

現役時代はオポジットとして活躍し、日本代表に選出された。2011年に引退し、12年から中央大の監督に就任。石川祐希(ミラノ[イタリア])、関田誠大(ルビン[ポーランド])、大竹壱青(パナソニック)らを擁し、全日本インカレ3連覇に導いた。その後同大のアドバイザーを務め、19年から東山高のコーチに就任。この春から教員となり、同校の監督を務める

 

写真/中川和泉、山岡邦彦(NBP) 取材/田中風太

 

発売中の月刊バレーボール5月号では、この春に東山高の監督に就任した松永新監督のインタビューを掲載。監督就任の経緯や求めるチームスタイルなど、より具体的にこれからについて語っている

 

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