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春高2025

セリエA 21/22シーズン制覇のルーベ かつてない困難な道のりの先で手にしたV7

  • コラム
  • 2022.05.14

 “ビアンコロッソ(白と赤)”で埋め尽くされたアリーナ「ユーロスオーレフォーラム」のコートに設置された表彰台に、ルーベの選手たちが並ぶ。その列からキャプテンのオスマニー・ユアントレーナ(イタリア)がチーム最年長43歳のダニエレ・ソッティーレ(イタリア)をそばに引き連れながら一歩前に出て、スクデット(リーグタイトル)のトロフィーを受け取る。ユアントレーナがトロフィーを高く掲げると、金色のテープが降り注がれる。ルーベが通算7度目の頂点に輝いた。

 

<セレモニーで喜びを爆発させるユアントレーナ>

 

今季は、どの大会もファイナルにたどり着けていなかった

 

 2017/18シーズンから続くペルージャとの4季連続(19/20シーズンはコロナ禍のためレギュラーシーズンで打ち切り)のファイナル。ルーベは開幕から2連勝をあげると、第3戦はアウェーで落としたものの、ホームの第4戦でストレート勝ちを収めて戴冠。見事に連覇を果たしたわけだが、その道のりは例年以上に厳しいものだった。

 

 コッパ・イタリア(カップ戦)との二冠に沸いた昨季からの変化としては、アウトサイドヒッターのリカルド・ソウザ(ルカレリ/ブラジル)の移籍加入とオポジットのイバン・ザイツェフ(イタリア)の8シーズンぶりの復帰があった。だが、イタリアバレーボール界きってのスター選手であるザイツェフは、昨年夏の東京2020オリンピックを終えた直後にヒザの手術を行い、復帰まで時間を要することはシーズンが始まる前から明白だった。

 

 そうして始まった今季は、開幕直後のスーペルコッパ(前年度の上位4チームで争われるスーパーカップ)で初戦敗退。昨季4位のモンツァに被ブロック11本、被サービスエース11本と、完敗に近い内容だった。その後、レギュラーシーズンでは着実に白星を重ねて常に1、2位につけてはいたものの、年明けのコッパ・イタリアではホームで臨んだ準々決勝でミラノに1-3で敗れる。

 

 タイトルを争う土俵にすら上がれない。セリエAではスクデット、コッパ・イタリア、スーペルコッパで計17度の優勝に輝き、今やリーグの盟主に君臨するチームとして、その事実は選手たちもファンも到底満足のいかないものだった。

 

<ミラノとのコッパ・イタリア準々決勝。⑨ザイツェフは両チーム通して最多23得点と気を吐いたが…>

 

一線級の選手たちがあらがえぬ現実の波

 

 もちろん名実ともに世界トップクラスの顔ぶれが並び、そのパフォーマンスの高さは言うまでもない。だが、逆風の一つの要因としてメンバーの高齢化があったことは否めない。主力を見れば、ユアントレーナは36歳、ロベルランディ・シモン(キューバ)は34歳、セッターのルチアノ・デセッコ(アルゼンチン)とザイツェフは33歳。この世界で長らく第一線に立ち、円熟期真っ只中の彼らだが、常にジャンプすることを求められ、選手生命が比較的短いと言われるバレーボールでは高齢の部類に入ると言っても差し支えないだろう。

 

 そこに輪をかけるように、リーグ開幕直前のヨーロッパ選手権ではザイツェフや代表を引退したユアントレーナのいない若きアッズーリ(イタリア代表の愛称)が優勝を果たす。また、U21(ジュニア)イタリア代表が母国で開催されたU21世界選手権でMVPに輝いたアレッサンドロ・ミケレットや、同世代のダニエレ・ラビアらは所属するトレンティーノで今季のスーペルコッパ制覇を成し遂げた。次世代の大きな波は確かに到来していた。

 

 やがてリーグの中盤で、ユアントレーナがコンディション不良のため、チームを離脱。プレーオフに臨むころには復帰したものの、そのパフォーマンスは万全ではなかった。

 

 そうして迎えたプレーオフ準決勝ラウンドで、ルーベはトレンティーノに開幕から2戦連続ストレート負けを喫する。17/18シーズン以来の、国内リーグ無冠が目の前に迫った。

 

<身長208㎝、最高到達点は380㎝に到達する“カリブ海の巨人”シモン>

 

>>><次ページ>窮地から頂点へ。トップ選手たちの矜持が爆発

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