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春高2025

セリエA 21/22シーズン制覇のルーベ かつてない困難な道のりの先で手にしたV7

  • コラム
  • 2022.05.14

<プレーオフ準決勝ラウンドで、トレンティーノ(コート左)と激闘を繰り広げた>

 

「最も厳しい準決勝だった」(ユアントレーナ)

 

 0勝2敗の窮地に立たされたルーベは、準々決勝ラウンド第3戦を戦うためにホームアリーナに戻ってきた。シモンは振り返る。

 

 「ロッカールームに行き、お互いに話し合い、そして、自分たちに言い聞かせました。今、オレたちにできることはバレーボールだけだ、と」

 

 第3戦ではデセッコのトスワークもさえわたり、第1セットではチーム全体で驚異のアタック決定率83%をマーク。終わってみれば、いずれのセットも相手に20点台に到達させず、ストレート勝ちを収めてみせる。逆襲が始まった。

 

 続く第4戦を勝ち切り、ついに勝敗をタイに戻すと、最終第5戦は互いにセットを取り合うシーソーゲームを制す。そのチームの姿を見て、準決勝ラウンドでは一度もコートに立つことのなかったユアントレーナはこう語った。

 

 「私自身は100%の状態にありません。ですが、ピッチ上でできるサポートをしたいと考えています。

 おそらく、これまでで最も厳しい準決勝でした。ですが、2敗してもなお戦い抜いた仲間たちの姿を、私は誇らしく感じます。さぁ、ファイナルへ行きましょう!!」

 

 ファイナルに進出したルーベとペルージャは、ともに準決勝ラウンドで5試合を戦ったものどうし。ルーベのジャンロレンツォ・ブレンジーニ監督は敬意を払い、意気込んだ。

 

 「準決勝ラウンドの戦いぶりは、まさに両チームの意思と粘りの強さを表しています。厳しい戦いが予想されますが、私たちは持ちうるすべてのリソース(=力)を注いで、一つ一つの試合に臨みたいと思います」

 

<昨年の東京2020オリンピックまではイタリア代表を指揮していたブレンジーニ監督>

 

総力戦で臨んだファイナル。最後は完成形に

 

 その指揮官の言葉どおり、ルーベは巧みな選手起用を繰り出した。ペルージャといえば、“地上最強アタッカー”ウィルフレド・レオン(ポーランド)を筆頭とするサーブが武器のチーム。それに対し、ルカレリや20歳の新鋭マーロン・ヤント(キューバ)のサーブレシーブにほころびが生じるとみるや、すぐさま32歳のベテランでレシーブ力に定評あるジリ・コバル(イタリア)にスイッチ。ユアントレーナもレシーブ力を補う役目を託され、コートに立つ。

 

 また、シリーズを通してザイツェフはアタックにサーブに、と高い集中力を見せたが、ペルージャの堅固なブロックが立ちはだかると、控えのオポジット、ガビ・ガルシア(アメリカ/元・プエルトリコ)がしっかりと代役を務めた。

 

 総力戦で勝ち星を重ねた一方で、スクデットに王手をかけた第4戦はそれまでとは異なる展開になった。リリーフブロッカーとしてエンリコ・ディアマンティーニ(イタリア)が第1セットに送り出されただけで、それ以外の選手交代はなし。シーズンの完成形ともいえる戦いぶりでペルージャを圧倒した中、時折アップゾーンから飛び出し、ブレンジーニ監督のすぐ隣で声を張り上げ、“自分にできるサポート”に励むユアントレーナの姿がそこにはあった。

 

<自分がプレーせずとも、⑤ユアントレーナはチームを鼓舞し続けた>

 

 現地5月11日、ユーロスオーレフォーラム。世界最高峰と称されるリーグの頂点に再び舞い戻ったルーベの面々は、記念Tシャツを着用し、表彰式に臨んだ。いつも優勝記念Tシャツには凝ったキャッチコピーがつづられるが、今回はトロフィーの取っ手の片方が数字の“7”で彩られたデザインが採用された。それは言うまでもなく、7度目のスクデットを表現したものだった。

 

 堂々のMVPに選出されたシモンは記念Tシャツを着て、喜びの言葉をこう述べている。

 

 「自分たちは懸命に戦い、ペルージャのようなとても強力なチームを打ち負かすことができました。ケガを含む多くの困難を、ファンの皆さんもともに味わってきましたが、最後にこうして優勝を成し遂げられた。この勝利を心から楽しむべきでしょう」

 

 かつてないほどの困難に直面し続けた。けれども、ただひたすら自分たちを信じて戦いぬいた。それがルーベのチャンピオンロードだった。

 

<次世代の波が押し寄せる。それでも、ザイツェフやユアントレーナたちの輝きが色あせることはない>

 

(文/坂口功将〔編集部〕 Photo/legavolley.it)

 

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