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女子日本代表が挑むドイツ。新指揮官フィタル・ヘイネンは“クレイジーなお方”

  • コラム
  • 2022.06.02

 今年度最初の大型国際大会であるFIVBバレーボールネーションズリーグ(VNL)2022が現地5月31日から開幕。女子日本代表は現地6月1日に韓国との初戦に臨み、ストレート勝ちを収めた。続く第2戦は現地2日にドイツと対戦する。そのドイツを指揮するのが、フィタル・ヘイネンだ。

 

<フィタル・ヘイネン/Vital Heynen/1969年6月12日生まれ/ベルギー国籍(Photo:FIVB)>

 

ジョークを飛ばし、感情を爆発させるマイペースな指揮官

 

 ヘイネン監督といえば、これまで数多くの実績を残してきた名将の一人。直近では男子ポーランド代表を率い、就任初年度の2018年世界選手権で優勝を飾ると、2019年ワールドカップ準優勝、ヨーロッパ選手権では2019年、21年の2大会連続で銅メダルに導いている。そうして今回、自身初となる女子ナショナルチームの監督に就任した。

 

 就任にあたり、「代表チームの若手選手と同年代の娘が3人います。あとは、(出身の)ベルギーで女子のビーチバレーボールを指導したくらい。私がお見せできるキャリアは、それぐらいです」と笑ったヘイネン監督。会見であろうとインタビューであろうと、平気でジョークを飛ばし、自分のペースに引き込むのが、この指揮官の真骨頂だ。

 

 自らを「クレイジーな人間です」と言ってやまず、男子ポーランド代表のバルトシュ・クレク(Vリーグのウルフドッグス名古屋でプレー)も「代表期間だけならまだしも、年間を通じて接するのは勘弁です」と苦笑いを浮かべ、19年のワールドカップでアシスタントコーチを務めたセバスティアン・パブリクも「スタッフである私たちも、彼の考えが分からないときがあります」と困惑するほど。試合中も感情を爆発させ、ときに笛を吹かれることもあるが…、それらはヘイネン監督自身が持つバレーボールへの情熱の表れにほかならない。

 

 「男子も女子も、バレーボールはバレーボールに過ぎません。ほんの少しの違いがあるだけ。これまで多くの男子チームを指揮し、選手と組んできましたが、女子チームでもそれを実現させたいと考えています。コミュニケーションこそ、すべてです」

 

<18年世界選手権で優勝。クレク(右)は「確かに言えることは、ほんとうに賢い方。そして、何か問題があったら最後までそれに関わってくれますし、助けてくれます」と信頼を寄せていた(Photo:FIVB)>

 

男子ドイツ代表を率いて、2014年世界選手権で銅メダルを獲得

 

 ドイツバレーボール協会からも寄せられる、ヘイネン監督の手腕への期待は大きい。なんせ男子ドイツ代表を指揮した2012年から16年の間には、2014年世界選手権銅メダル獲得という実績があるからだ。今回は女子を率いるわけだが、新指揮官はワクワクを抑えきれずに、意気込みを語る。

 

 「1年目の最優先事項は、選手とスタッフを構成することです。目指すは、何よりもこの舞台でともに戦うことを楽しんでいるチーム。もし成功すれば、おのずと結果はついてきます。私の目標は、すべてのドイツ人選手が代表を目指したい、このチームの一員になりたい、という願望とモチベーションを生むことです。それができれば満足です」

 

 ゆかりあるドイツの地でつづられる、クレイジージャーニー新章に注目だ。

 

<現地5月31日のVNL初戦ではブラジルから1セットを奪取した女子ドイツ代表(コート奥/Photo:FIVB)>

 

(文/坂口功将〔編集部〕)

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