一般社団法人日本バレーボールリーグ機構(以下、Vリーグ機構)は6月2日(木)、「2022 Vリーグジュニア選手権」の開催を発表した。今年は8月27日(土)~28日(日)に岐阜メモリアルセンター(岐阜)で実施される。これは、Vリーグの各チームが展開する競技普及・育成事業の一環である中学生世代のジュニアチームを対象として行われるもの。この大会に第1回の2015年から運営に携わるのが、元・日本代表で、Vリーグではデンソーエアリービーズで活躍した櫻井由香さんだ。
<Vリーグジュニア選手権の運営に励む櫻井さん(左)>
Vリーグのファイナルの前座で試合を実施
今年4月17日(日)、千葉ポートアリーナ(千葉)。この日、2021-22 V1男子の決勝を前に、パンサーズジュニアとウルフドッグス名古屋U-14によるエキシビションマッチが催された。前者はパナソニックパンサーズ、後者は名前のとおりWD名古屋、それぞれのジュニアチームである。
Vリーグの決勝と同じコート、同じ試合形式、そして有観客。そんな状況下で、これからのバレーボール界を担うと期待される中学生たちが精いっぱいプレーする姿を、コートサイドから櫻井さんは感無量の思いで見ていた。
「この試合が楽しみすぎて!! 興奮するあまり、めちゃくちゃ早起きしたからね(笑) 見ていて、もう涙が出そう」
それもそのはず。いつか実現できたら…、と思っていたシーンがまさに目の前で繰り広げられていたからだ。
「もちろん!! (Vリーグの)ファイナルの前座でジュニアチームの試合をすることは思い描いていました。私の中で最終目標が定まっているわけではないけれど、途中経過には入れたかったもの、かな」
Vリーグジュニア選手権の初開催から7年。形を変えながら、大会も少しずつ発展してきて、今がある。これまでの道のりと、育成・普及への思いを伺った。
<Vリーグのファイナルの会場でプレーした選手たち>
第1回大会は12チーム。今では30チーム近くが参加
――2015年にスタートしたVリーグジュニア選手権ですが、開催に至るまでの経緯を聞かせてください
櫻井 初めは、パナソニックの春田政幸部長やJTサンダーズ広島の栗生澤淳一GM(いずれも役職は当時)から話を持ち掛けられたことがきっかけでした。ジュニアチームで大会を開きたい、と。私もバレーボール教室などの普及活動自体になじみはあったので、チームを募って、会場を確保して、と運営に携わるようになったわけです。
第1回大会は開催地の枚方市(大阪)の中学校やクラブチームも含めた12チームで行いました。とはいえ、Vリーグから参加したのはV1男子(当時はV・プレミアリーグ)が中心で。そもそもジュニアの活動をしているチームが少なかったので、第1回大会は選手権というよりも、交流大会の意味合いが強かったと思います。
――今では計30チームほどが参加するようになりました
櫻井 最初は、大会側から各チームに「何とかジュニアチームを編成して、参加してください」とお願いしていたほどです。実際、第2回大会ではFC東京が、東京都の有力校の選手で構成して、ずばぬけて強かった(※) なんてこともありました。
そうして、次第にジュニアチームの数も増えてきました。そこには、Vリーグの各チームが普及活動としてスクールを発足したり、いずれは自分たちのチームで活躍してもらえるような選手を育成する、といった動きが背景にあると感じています。今では各チームから「参加します!!」と手を挙げていただけるので、うれしいかぎりです。
※駿台学園中やサレジオ中ら全国大会常連校の面々が参加し優勝
<精力的にジュニア世代の事業に取り組むチームも増えてきた>
2021年はコロナ禍のため、分散で開催
――第5回大会(2019年)には櫻井さんの地元である岐阜県での開催が実現しました
櫻井 全国各地にチームが存在するので、その中間のエリアに開催場所を設定したかったんです。愛知か岐阜を検討した結果、決まりました。それに、岐阜を“Vリーグジュニア選手権の聖地”にしたい、という私の狙いも(笑)
とはいえ、岐阜に足を運ぶにも、距離的な問題がチームによっては生じるので、これからもさまざまな運営方法を模索していきます。
――それこそ2021年大会は岐阜での開催が予定されていましたが、コロナ禍を鑑み、3つのブロック(A:関東、B:中部、C:関西)での分散開催となりました
櫻井 参加されたチームの皆さんのご理解や協賛社さまのお力添えもあり、無事にすべてのブロックで開催することができました。望んだかたちではありませんでしたが、いい経験になりました。
それに、ブロック大会形式の利点も感じました。仮に開催場所が一つだとして、距離的・費用的に参加が難しいチームがいたら、それはもったいないと思いますし、今回のエキシビションマッチのような機会を各ブロックの勝利チームによるファイナルにする、ということも今後はありえるな…、と思いつきましたから。トップチームとジュニアチームのファイナルを同日に同じ会場で実施する、それは描いている最終的な目標の一つでもあります。
――最後に、Vリーグジュニア選手権に参加されるような中学生世代のバレーボール選手たちに向けて、櫻井さんの思いを聞かせてください
櫻井 同年代の選手たちとのつながりも大事にしてほしいと思います。一緒に活動する同じチームの仲間だけでなく、相手チームの選手とも一緒に年齢を重ねていくわけですから。ネットを挟みながら、「俺たち、私たちの代で引っ張っていこう!!」という思いで、ステップアップをしてもらいたいです。
<いつかトップチームのユニフォームを着て、戦う日がくるかもしれない>
(取材/坂口功将〔編集部〕 ※Vリーグジュニア選手権では第1回大会を除いた過去5大会を取材、オフィシャルカメラマンを務める)
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■2022 Vリーグジュニア選手権
開催日:8月27日(土)~28日(日)
会場:岐阜メモリアルセンター(男子:で愛ドーム、女子:ふれ愛ドーム)
出場予定チーム(Vリーグ所属チーム名表記):【男子】サントリーサンバーズ、ウルフドッグス名古屋、パナソニックパンサーズ、東レアローズ、堺ブレイザーズ、JTサンダーズ広島、ジェイテクトSTINGS、VC長野トライデンツ、ヴィアティン三重、埼玉アザレア、サフィルヴァ北海道、兵庫デルフィーノ、つくばユナイテッドSunGAIA、奈良ドリーマーズ、長野GaRons
【女子】NECレッドロケッツ、デンソーエアリービーズ、ヴィクトリーナ姫路、KUROBEアクアフェアリーズ、ウルフドッグス名古屋、VC長野トライデンツ、ルートインホテルズブリリアントアリーズ、プレステージ・インターナショナルアランマーレ、リガーレ仙台、ブレス浜松、ヴィアティン三重、埼玉アザレア、サフィルヴァ北海道、つくばユナイテッドSunGAIA、アイシンティルマーレ、奈良ドリーマーズ、長野GaRons
※変更の可能性あり
<表彰式でメダルを手にする選手たち。写真は2021年Bブロック大会優勝のアイシンティルマーレJr.ブルー>