関東大会女子は6月4日(土)、5日(日)に東京にて無観客で開催され、下北沢成徳高(東京)が連覇を飾った。ここでは初のベスト8入りを果たし、東京体育館での準々決勝を戦った注目チームをご紹介
7点、15点。スコアも内容も、相洋高(神奈川)の完敗と言ってさしつかえないだろう。文京学院大女高(東京)との準々決勝は、第2セットこそ176cmのサウスポー#5尾林夏帆らの得点で一矢報いたものの、力強い相手コンビに終始ほんろうされ、ほぼペースをつかめないまま終わってしまった。
両チームはともに大会初日、駒沢体育館会場で3試合を勝ち抜き、2日目に東京体育館のメインアリーナへと移ってきていた。ただし地元の強豪である文京学院大女高に対し、相洋高は神奈川県第5代表で、大舞台の経験を持つ選手はわずか。172cmのセッター#1小山晴那主将も試合後、「環境にのまれた。天井が高くて広い体育館では感覚が違って、難しい」と振返ったが、アトランタオリンピックに出場した大川千穂監督(旧姓:鳥居)は、感覚以前の敗因を指摘した。
「すごいものは持っているが、メンタル面で、(力の)出し方がわかっていない」。
コロナ禍で練習に影響を受けたり、合宿もできなかったりと、ただでさえ対外経験の少ないチームだったため、「チャンスはあるよ、と伝えてはいたが、今回ここまで来られるとはほんとうに思っていなかった」。そう言って大川監督は選手たちの健闘をたたえる。そして実際に大会で勝ち上がって強豪と対戦する、こういった経験がいかに大切かを、あらためてかみ締めていた。
加えて、今回の躍進により、初めての「全国大会出場」は手の届く位置にある、という思いはいっそう強くなった。「3年生は“全国に必ず出たい”という気持ちで、やるからには私も勝ちたい。伝統を作ろう、とモチベーションを上げている」(大川監督)。
神奈川県女子の上位チームにはそれぞれ波があり、今年のレベルはある程度拮抗している、と大川監督。まずはインターハイ予選に向けて全力を尽くしつつ、最大のターゲットに春高出場を見据える。
「春高はここ(東京体育館)なので、また戻ってこよう、と。大事なのは気持ち。メンタルが強くなってくれば…」。
心臓に毛を生やせ! いつもそう言っているのだ、と監督は笑う。その表情からはこの、今はまだうまく気持ちを作れない選手たちと、一歩ずつ目標に近づくことが楽しくてたまらない様子が伝わってきた。
女子準々決勝
相洋高 0-2 文京学院大女高
(7-25、15-25)
文/豊野 堯 写真/中川和泉(NBP)
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