エースとしてチームを引っ張る#4黒田(右)と#11中村【写真:田中風太(月刊バレーボール)】
第76回関東高等学校男子大会がALSOKぐんまアリーナ(群馬)で6月4日(土)から5日(日)に行われ、習志野高(千葉)が11年ぶり4回目の優勝を飾った。3回戦で敗れた埼玉栄高(埼玉)は、富士見西中(埼玉)出身の選手たちがチームを引っ張った
3回戦(対東洋高〔東京〕)を戦う埼玉栄高のコートには、リベロを含めて富士見西中(埼玉)出身の選手が5人。中でも、黒田悠斗(3年)と中村健太郎(1年)のアウトサイドヒッターコンビがチームを牽引した。
0-1で迎えた第2セットは、リードされた序盤に黒田のスパイクで逆転。中盤には中村が二段トスを決めきるなど、3連続得点を挙げ、一気に突き放した。最終第3セットはサーブレシーブから崩れて敗れたが、中村は「(黒田)悠斗くんが引っ張ってくれました」と笑顔。すると、黒田が「いや、(中村)健太郎が」とたたえた。
2学年違いの2人だが、中学時代はそろって試合に出場する機会はなかった。当時はミドルブロッカーだった黒田について、中村は「ポジション的にも、そんなに目立っている印象はありませんでした」と振り返るが、「高校に入ってからは、打点が高く、決定率もすごいと思います」とリスペクト。黒田に「なんでも一人でこなす選手でした。中学まではあまり口数が多くなかったけど、抜けている感じが自分と似てきましたね」と言われると、「先輩(黒田)を見てきたので、そうなっちゃったんだと思います」と返し、風通しのよさもうかがえる。
中村と話しながら笑顔が絶えない黒田だが、昨夏は複雑な表情を浮かべていた。スマートフォンに映るのは、全日本中学校選手権大会準決勝を戦う母校の選手たち。ベスト4に終わったが、富士見西中のエースを務める中村は、次々と鋭いスパイクを決めていた。「迫力が違う。自分も頑張らないと、このままではポジションを取られるんじゃないか」。昨年までは控えのミドルブロッカー。焦りを感じながら練習に励み、今大会ではエースとして得点源を担った。
5月に行われた関東大会県予選では、決勝で正智深谷高に敗れた。6月25日(土)に行われるインターハイ予選でも、再び激突する可能性が高い。ともに目標は「優勝です」と力強く宣言。ダブルエースの活躍で、8年連続の本戦切符をつかめるか。
文・写真/田中風太
アメリカの血が流れる最高到達点340cmのスパイカー 関東大会で輝いた日本代表の卵たち【第76回関東高等学校男子大会】
習志野高が駿台学園高を下し、失セット0で頂点に【第76回関東高等学校男子大会】