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アルゼンチン男子代表 薩摩川内市合宿レポート

 

 アルゼンチン男子代表チームが6月26日(日)~7月3日(日)にかけて、鹿児島県薩摩川内市のサンアリーナせんだいにて合宿を行った。7月5日(火)から大阪で開催されるネーションズリーグ(VNL)に向けての調整で、昨年7月の東京2020オリンピック事前合宿以来となるアルゼンチン代表チームを、市民ら多くの人が歓迎した。

 

 期間中、チームは公開練習の時間を設け、鹿児島県内外より訪れた見学者との写真撮影やサインに気さくに応じる姿も数多く見られた。7月2日(土)午前には、地域の小学生を対象にバレーボール教室を実施。選手も混じってミニゲームなどを行い、親睦を深めた。育英(いくえい)JVCから参加した育英小6年生の中西羽流(はる)君が「世界トップレベルの選手と一緒に練習できたことは、一生の思い出です。グラシアス!」とお礼の言葉を述べた。昨年の事前合宿ではかなわなかった市民との触れ合いを、1年後に実現してくれたアルゼンチン代表チーム。駆け付けたファンや、地域の子どもたちにとって貴重な機会となった。

 

あいさつをした中西羽流くん(後列左端)ら育英JVCの皆さん

 

◆ルチアノ・デセッコ選手インタビュー

チームの要であるデセッコ選手に話を聞いた。主将として臨んだ2021年の東京オリンピックでは見事、33年ぶりとなる銅メダルを獲得。マルティン・ラモス選手が主将を引き継ぎ、今回の合宿には若手選手も多く入ったが、アルゼンチン代表として闘う情熱を持ち続けている様子がうかがえた。

 

――1年ぶりの薩摩川内市合宿は

「去年と違って自由があり、この美しい景色を楽しんだり、いろんな方々と触れ合ったりすることができうれしいです。おかげでいい準備ができています」

 

――東京オリンピック銅メダル、そしてセリエAでの優勝もおめでとうございます。勝利が付いて回りますね

「(日本語で)アリガトウ! すべてが皆さんのおかげです」

 

「すべては皆さんのおかげ」と謙虚なデセッコ選手

 

――世界3大セッター、素晴らしいセッターと評価され続けていることについて

「もちろん努力もありますが、何よりもチームメイトのサポートによって活躍ができていると思っています」

 

――今回の合宿、若いチームになったと思うのですが、デセッコ選手の役割とは?

「17年前は自分も同じ立場でした。最初はいろいろと難しいこともあります。17年経った今、若い選手たちに大切なことを伝え、彼らをサポートすることも私の役割でしょう。それと同時に自分も若い選手から刺激を受け、ずっと代表で活躍していこうと思っています」

 

――ファンにメッセージを

「皆さんが応援してくれること、そしてこの合宿でもさまざまな贈り物をいただいていることに感謝しています。

大阪での試合も頑張ります」

 

 

◆マルセロ・メンデス監督インタビュー

――東京オリンピックでの銅メダル獲得おめでとうございます

「私たちを温かく受け入れていただいた日本でいい結果を得ることができ、とてもうれしいです」

 

――薩摩川内合宿のおかげと言ってくださり、市民の皆さんも喜んでいます

「ここでの合宿で若い選手たちを伸ばすことができて、アルゼンチンバレーボールにとって大きな財産となりました。この町はとてもいいところだと思っています」

 

――ハードな日程が続きますが、チームの調子はいかがですか?

「確かにハードなスケジュールですが、それによって若い選手たちが成長していく、その結果が目に見えています」

 

若手を伸ばし、世代間の融合を狙うメンデス監督

 

――新チームを作るにあたって意識されたことは?

「デセッコや(ファクンド・)コンテのような経験豊富な選手、(サンティアゴ・)ダナニ、(アグスティン・)ロセル、(マティアス・)サンチェス、(ブルーノ・)リマなど東京オリンピックの経験を得た選手、そして新しく入った若い選手たち、各世代を織り交ぜてチーム作りをしているところです」

 

――VNLで対戦した日本チームの印象は?

「日本はずっと高いレベルを保ち、今回は特に仕上がりがよく、いい試合ができていたと思います」

 

――練習試合をした日本代表Bチームの印象は?

「今回のアルゼンチンと一緒で、Bチームには若い選手たちがたくさんいて、いいチーム作りができているんじゃないかなと思います」

 

――VNL大阪ラウンドでは、どう戦いますか

「フランス、アメリカという強豪と、カナダ、オーストラリアはアルゼンチンと並ぶくらいかと思いますが、やはり試合をしてみないと分からない。現在、チームづくりの最中ではありますが、試合をする以上は勝利を目指して頑張ります」

 

――ファンにメッセージをお願いします

「日本は私たちにとって、第2の故郷、第2の家のように感じています。日本の皆さんが私たちに敬意を払い、温かい気持ちで応援してくれることを大切にしていきたいと思います」

 

 練習中も精力的にコートを見て回るメンデス監督。練習メニューから給水に至るまで、正確にコントロールする姿に指揮官としての冷静さ、熱意が見る者に伝わってくる。バレー教室のあいさつでは「まずはお父さん、お母さん、子どもたちをこのように育ててくれてありがとうございます。ここでは当たり前のことかもしれませんが、世界の中にはそうではない地域もあります。今日の子どもたちの中から、いつか代表チームに入るような選手が出てくるでしょう」と励ましの言葉を贈った。

 

取材日:2022年7月1日(金)

取材協力/通訳:牧内磨利央

インタビュー/文:泊 亜希子

 

 

 

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