東山高を卒業後、日本体大に進学した髙橋藍は1年生ながらレギュラー入りを果たした。
中編となる今回は、全日本インカレの準優勝に貢献した高橋のその姿を、日本体大の山本健之監督に振り返ってもらった(本文は当時の内容のまま)
----以下、月刊バレーボール2021年11月号より----
(髙橋)藍のことは彼が高校1年生のころから知っていました。東山高で1年目からコートに立つ姿を見て、これは将来絶対に伸びるな、と感じたことを覚えています。
昨年の春に入学してから日本代表の合宿もあったので、本格的にチームで一緒に練習をしたのは夏ごろからになります。どれほどのプレーができるかはわかっていたので、大事になったのはチームメイトといかにコミュニケーションをとれるか、という点でした。その時点では藍も大学1年生なので、どうふるまえばいいか迷うわけですし、周りもどう接していいかがつかめていない。そこがチームにとっても鍵でした。
そこから練習を積み、会話し、一緒に時間を過ごして、いざ全日本インカレに臨んだわけですが、準々決勝の筑波大戦はチームの団結力が最もいい形で見て取れました。あの試合はシーズンでもベストゲームといえるでしょう。4年生たちは「自分たちがこれだけ頑張るから最後は藍が決めてくれ」と奮闘し、その思いに藍も「しっかり4年生がつないでくれたボールは僕が決めます」と口にしていました。すごくいいチームになった、と感じました。
昨年末の全日本インカレが終わり、藍に伝えたのは体を大きくすることです。大学のリーグ戦は連戦なのでハードですし、それは上のカテゴリーでも一緒。“練習ができて、試合で動かせて、戦える”体が求められますし、それが備わっていなければ、どれだけメンタルがあっても体力の前には及びません。体を強くすることは基本です。フィジカルトレーニングの重要性を藍も理解して、今も取り組んでいます。
今年の東京2020オリンピックには山本智大と高梨健太、それに女子バレーボール部時代に私が練習相手になった小幡真子(JTマーヴェラス)が出場しました。彼らはほんとうによく練習しましたし、“うまくなるには”“チームを勝たせるためにはどうしたらいいか”を考えていました。それができるようにサポートするのが私たち指導者の役目です。
卒業後に彼らがオリンピックの舞台に立ったのは、本人たちがほんとうに一生懸命努力した証しだと思いますし、その姿を見るととてもうれしいものです。
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