男子日本代表が臨むネーションズリーグ2022は現地7月20日にボローニャ(イタリア)で、ファイナルラウンドが幕を開ける。8チームによるトーナメント形式で行われるファイナルラウンドの、その初戦となる準々決勝(現地21日)で日本が対戦するのがフランスだ。
<ネーションズリーグ予選ラウンドではブラジルをストレートで下したフランス(奥)>
前・指揮官が話す「フランスの最大の強みは…」
フランスといえば、昨夏に東京2020オリンピックで金メダルを獲得。オリンピックMVPのエース、イアルバン・ヌガペトや世界ナンバーワンリベロの呼び声高いジェニア・グルベニコフ、またセッター、ミドルブロッカー、オポジットは世界トップレベルの選手2人が並び、まさに“誰が出ても強い”チームを実現している。
そのフランスを金メダルに導いたのが、2020-21シーズンからはVリーグのパナソニックパンサーズで指揮を執っているロラン・ティリ監督だ。昨年かぎりで代表監督は退任。7月中旬から大阪で行われたネーションズリーグ2022予選ラウンドの会場にも訪れ、フランスチームの面々とも言葉を交わす姿が見られた。
ということで、質問をぶつけてみた。もし、あなたが指揮するチームが今のフランス代表と対戦するなら、どうやって倒しますか?
すると、「いい質問ですね」とほほえみながら答えてくれた。
「フランスの最大の強みはパス力(サーブレシーブ)です。リスクを伴っても戦術的なサーブを打つ必要があります。ショートサーブや、後衛中央エリアへのサーブ…。とはいえ、倒すのは非常に難しいでしょう」
上半身を旋回させながら相手に背中を向けて打つ“変人アタック”など派手なプレーが目を引くヌガペトだが、サーブレシーブの安定感は抜群。ヌガペトの対角に入るヤシン・ルアティやトレボール・クレブノらもパスヒッターとして高いレベルを備える。そのサーブレシーブを起点に、型にはまらない攻撃を繰り出してくるのだ。
<現・監督のアンドレア・ジャーニ氏(左)とティリ氏のツーショット>
今大会、相手にとって脅威となっている石川と西田のサーブ
ファイナルラウンドでの1勝、つまりフランス撃破を目下最大の目標に掲げる日本。キャプテンの石川祐希は対戦を前に、相手の印象をこう語る。
「サーブとサーブレシーブが基本となる点は、自分たちと同じです。その中でも特に、サーブレシーブが非常にいいチームだと思うので、そこで負けないことが一つ重要になってきます」
今大会、日本はサーブが威力を発揮し、予選ラウンドを通して石川が29本(個人ランキング2位)、西田有志が27本(同3位)のサービスエースをたたき出した。また、エースを奪うだけでなく、関田誠大や山内晶大らの戦術的なサーブも試合を優位に進める一手となっている。
最後に、イタリア・セリエAで石川や西田を指揮し、22-23シーズンからVリーグのウルフドッグス名古屋を指揮するヴァレリオ・バルドウィン監督の予想を。実際に大阪で日本とフランス両方の戦いを目にしていた。ずばり、どっちが勝つと思いますか?
「単純に答えは出せませんね…。やはりオリンピックチャンピオンですし、これほど倒すのが難しい相手はいません。ですが、もし日本がいつもどおりのサーブを繰り出すことができれば、きっとフランスもうまくいかないはず。そうなれば、チャンスが生まれるかもしれません」
<まずはフランスのサーブレシーブをいかに崩せるかが鍵となりそうだ>
(取材/坂口功将〔編集部〕)
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