益子直美さん主催「つながるリーグ」誕生秘話。「バレーボールが嫌いになった」2人の出会い
- コラム
- 2022.07.20
<一般社団法人 監督が怒ってはいけない大会のパートナーアスリートである齋藤真由美さん(群馬銀行グリーンウイングス監督/中央ピンク色のシャツ)と北川美陽子さん(同右)>
再出発と、益子さんとの出会い
やがてチームの部員数は減少していった。「北川さんのチームは厳しい」といったうわさが広まり、また少子化の波も少なからず及び、わずか1人に。その部員が卒団したことで、一度リセットすることを決めた。
それは、ちょうど自分の子どもが幼稚園から小学生に上がるタイミングでもあった。部員1人から、またスタートしよう。今度は、違うやりかたで。北川さん夫婦は決意した。
「自分がもともとやりたかったバレーボールを、誰にも邪魔されることなく、絶対にぶれないようにやろうと話し合ったんです。それを始めたら、次第に部員もまた増えていきました」(美陽子さん)
そんなときに、共通の知り合いを通じて、益子さんとの出会いが実現した。いざ、益子さんが福岡に足を運び、北川さん夫婦が新しく立ち上げたチームの姿を見ると、そこには子どもたちが笑顔でバレーボールに励む風景が広がっていた。
「ここで大会をやろう」
そうして、2015年に「第1回益子直美カップ小学生大会」が実現する。それは益子さんと美陽子さん2人の思いが共鳴したからこそでもあった。
「聞けば、美陽子ちゃんも私と一緒で、練習や試合が大嫌いで学校にも行けないほどのトラウマを抱えているタイプでしたから」と益子さん。美陽子さんも、指導する立場となって「そこで一度過ちを犯した経験があるから、今がある」と言ってやまない。それゆえに、益子さんが“監督が怒ってはいけない”というルールを持ちかけたとき、一片の迷いもなく賛同したのであった。
2021年4月、益子さんと北川さん夫婦は「一般社団法人 監督が怒ってはいけない大会」を設立した。明確にスタンスを打ち出し、そのうえで指導の在り方を探っていく。大会を続けていく中で、新たな気づきもあった。
「怒ってはいけないのは、監督や指導者だけでなく、保護者も同じ。それを伝えると、先生や指導者の方々のプレッシャーが減ったんですね。怒らなくていいのは自分たちだけじゃないんだ、って。保護者の方々の理解もある中で、安心して指導される姿が見られました」(美陽子さん)
「ひと言、保護者の方々にも伝えたことで、大会の雰囲気もぐっと変わりました。その安心感は指導において大きかったかもしれません。毎回、気づきがありますね」(益子さん)
封印もしたし、過ちもあった。けれども、バレーボールを通して子どもたちに成長してもらいたい、その思いは変わらない。それをこれからは、いかに最適な方法で実現に結びつけるかだ。
<大会を温かい目で見守る北川さん夫婦(写真中央)>
(取材・文/坂口功将)
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