もう一つの男子日本代表 “日本のバレーが変わった” 薩摩川内合宿レポート6
- 日本代表
- 2022.07.21
ジェントルマンな真保監督
「野心を持って、少しずつ」真保綱一郎監督
練習中は穏やかな真保監督。「試合では変わりますが」とほほえむ指揮官は、国際経験も豊か。フィリップ・ブラン監督と連係したチームづくりが、選手層の厚みを増すことにつながっています。
――合宿参加の選手選考は?
各チームの主力選手、将来を嘱望されている選手、もともとレベルの高い選手たちが集まっている。途中VNLに選手を出したり、向こうから受け入れたりしてやってきた。Aチームからの加入は刺激になると思います。モチベーション的に難しい面もあるかと思ったが、富田(将馬)や永露(元稀)も、みんなしっかり前を向いてやっていますね。
――本合宿での目的をあらためて
東京合宿に続く2回目の合宿で、ゲームのコンセプト、チームのコンセプトを浸透させることが目的。アルゼンチンにチャレンジできるという最高の機会をいただきました。ゲーム全体としては勝てませんでしたが、ブロックとディフェンスが機能し、組織として日本らしく点を取れたシーンも多くありました。合宿開始から1ヵ月で両試合ともフルセットを戦うことができ、負けはしたが選手がやることをしっかり発揮してやっていました。
――期待以上のものがありましたか?
このチームとして一発目の試合だったので、最初はアルゼンチン相手に試合になるのかな? という予想でした。ブロックが機能して、サイドアウトも日に日によくなり、コンビネーションも向上してきました。
――招集当初はおとなしい印象もあったそうですが?
合宿当初はチームビルディングを意識して、ボールゲームや、初めてやる者どうしで対人を組むなど工夫しました。最年長の深津(旭弘)が率先してコミュニケーションをとり、永野健(パナソニック、今回はコーチ参加)はじめ、コーチ陣がほんとうによくやってくれています。
――AチームがVNLに参戦するなかで本合宿も重要な意味を帯びました
そうですね。Aチームもフィリピンラウンドでは新型コロナウイルス感染者が出る事態があり、バックアップの必要性を痛感しました。この時期、Vリーグのチームはシーズンオフで、選手は通常まだボールを触っていなかったり、筋トレの期間だったりするので、急に呼ぼうと思っても対応できない。代表選手のバックアップ機能という意味でも、このBチームの存在感は大きかったです。
――AVCカップに向けて
他の国はAチームが出たりもするので難しさはありますが、しっかりやることはやって、結果を出したいですね。
――このオフには所属チーム(東京GB)の運営体制が変わるなど、動きがありました
おかげさまで忙しく働かせてもらっています。日本のバレーは変わりました。外国人指導者の影響、Vリーグに世界有数の選手がいること。ジェイテクトやJT広島の補強も目をみはるものがあります。私たち東京GBも野心を持って、少しずつではありますが、チャレンジしていきます。
2018年、19年に薩摩川内合宿を行った龍神NIPPON以来の男子代表チーム取材となりました。当時、高校を卒業したばかりの西田有志選手は、あっという間に世界のニシダになりました。石川祐希、西田有志というゲームチェンジャ―の出現、MB陣の覚醒、新時代セッター、そして若手の代表入りも珍しいことではなくなった今、日本バレーの確かな上昇気流を感じます。
世界と渡り合うに十分なフィジカルを持った若い選手も出てきました。その勢いは当然、日本代表Bチームにも波及していましたし、Bチームの選手層の厚さ、上を目指す選手の熱こそが、上昇気流を生み出しているともいえます。何より、選手自身がワクワクしてプレーしている、その明るいオーラとエナジーが日本バレーの新たな地平を切り開いていくと期待させます。
2024パリオリンピックに向けて、さらなる高みへと登っていく龍神NIPPONを楽しみに、本レポートを終わります。
取材・文/泊 亜希子
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