インターハイ男子大会開幕 昨年度の大会を振り返る【月バレ2021年9月号・プレイバック】
- 高校生
- 2022.08.03
令和4年度全国高等学校総合体育大会(四国インターハイ)の女子大会が徳島県で7月28日(木)~8月1日(月)に行われ、金蘭会(大阪)が決勝で古川学園(宮城)に勝利し8年ぶり2度目の優勝を決めた。
男子大会は香川県で8月3日に開会式が行われ、明日4日(木)より7日(日)にかけて競技を実施。連覇を狙う鎮西(熊本)を軸に、今年度高校生で唯一日本代表に選ばれた麻野堅斗擁する東山(京都)、5枚攻撃を仕掛ける「マジカルコンビバレー」で四国大会を制し19年ぶりの出場となる地元の坂出工など、香川で熱戦の予感。競技が始まる前に、月刊バレーボール2021年9月号のインターハイ報道号で昨年の夏の激戦を振り返ってみよう。
----以下、月刊バレーボール2021年9月号より----
エース舛本劇場 土壇場から大逆転優勝
男子優勝 鎮西(熊本)
鎮西(熊本)が駿台学園(東京)とのフルセットに及ぶ熱戦で逆転勝ちし、4年ぶり4回目の優勝を飾った。優勝に大きく貢献したのは決勝で49得点をあげた2年生エースの舛本颯真。大会直前にツーセッターにするなど、エースを孤立させない策も実った。
攻撃の幅を広げたツーセッター
この試合3度目のジュースを制すと、選手たちは一斉に拳を握った。ベンチから控え選手が飛び出し、コートに大きな固まりができる。準決勝では昨年度春高王者の東福岡(福岡)をフルセットの末に下し、決勝は駿台学園と5セットにもつれ込む死闘。マッチポイントを4度握られながら逆転優勝を飾り、畑野久雄監督は「まさか勝つとは思っていなかったです」と驚きを口にした。
土壇場に追い込まれるたびに、エース#4舛本を中心に驚異的な粘りを見せた。予選グループ戦では駿台学園にストレート負け。再戦となった決勝でも連続でセットを落とし、第3セットは先にマッチポイントを握られた。それでも、舛本のバックアタックなどが決まり、セットを取り返す。第4セットは13-14から舛本が3連続バックアタックを決めるとチームは勢いづき、試合を振り出しに戻した。最終セットも12-14と先に王手をかけられたが、相手のミスや舛本の活躍で逆転勝ちした。
チームの半数以上の打数となる111本のアタックで47得点をマークしたエースに対し、セッターの#3九冨鴻三キャプテンは「100点です。いつも安定しているので、チームとしても信頼しています」と絶賛した。
ツーセッターの#3九冨(左から2番目)はブロックでも活躍し、両チームトップの7得点をマーク
今大会は九冨、#11平川天翔のツーセッターで臨んだ。畑野監督は「私が若いころにはよくやっていた」と語るが、近年は決して多くないフォーメーション。エースにマークを集めないため、熊本を出発してから決断を下したものだった。数日練習したものの、もちろん公式戦では初。舛本は「(予選で)駿台学園と試合をした経験が優勝につながった」と試合を重ねるごとに連係を強めた。決勝は九冨と平川が要所で得点を決め、ともにアタック決定率は50%を超えた。
今年度初の全国大会を制し、エースの舛本は「ここから絶対にマークされますが、努力してそれでも決められるエースになりたいです」と力強く語る。九冨は「春高、国体で優勝したいです」と意気込んだ。
新たなスタイルで、伝統校が今年度の主役へ名乗りを上げた。
リベロ優秀選手に選ばれた#12髙木大我は、粘り強いレシーブで何度もピンチを救った
優勝しても満足せず憧れの水町を超える存在へ
舛本颯真
ますもと・そうま/2年/身長182cm/ 最高到達点330cm/アウトサイドヒッター/龍田中(熊本)
「颯真、頑張れ!」
「4番! 4番!」
味方からはトスを託され、相手からは徹底的にマークされる。会場の視線を一身に浴びながら、舛本は何度も助走に入った。チームの半数以上のスパイクを打ち、第3、4セットには「足がつりかけた」と話しながらも、最後までそのパフォーマンスは衰えず。前衛からは鋭くコースを打ち分け、バックアタックでも11得点。その姿は、自身が憧れる選手のようだった。
中学生時から何度も動画を見ているのが、春高とインターハイで同校を優勝へ導いた水町泰杜(早稲田大2年)。「3枚ブロックがきても上から打ったり、コースの際どいところに決められるのがすごい。バックアタックもまねしています」と尊敬してやまない。中学3年生時には一緒に練習をする機会があった。「緊張しました」と笑いながらも「パワーがすごかったし、一つ一つのプレーを意識している」とあらためて刺激を受けた。同校のインターハイでの優勝は、水町が1年生だった2017年以来。「サーブレシーブが安定していなくて、どんなボールでも決めるエースにはなれていません。これから努力して、もっと近づけるようにしたいです」。その背中を追って、どこまでも高みを目指す。
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