令和4年度全国高等学校総合体育大会バレーボール競技大会(インターハイ)男子は8月6日(土)に大会4日目を迎え、香川県内の2会場(丸亀市民体育館、善通寺市民体育館)で決勝トーナメント3、4回戦を行った。準決勝で対戦する鎮西(熊本)と東福岡(福岡)は、この2年間で3度目の対戦。両エースの思いに迫る
わかっていても止められない。昨年度王者として、今大会誰よりも警戒される中で得点を重ね、鎮西の舛本はエースとしての役割を果たしてきた。
鎮西のエースとしてチームを引っ張る舛本
府予選、近畿大会で初優勝し、畑野久雄監督が「いちばん危ないかな、と思いましたが、初出場初優勝はさせたくない」と語る3回戦の昇陽(大阪)戦。舛本のエースの血が騒いだ。「JOC杯(全国都道府県対抗中学大会)のときに決勝で(相手エースの秦健太郎がいる)大阪(北選抜)に負けていたので。絶対にそのリベンジをしてやろうと思いました」。
高さのある3枚ブロックでプレッシャーをかけてくる相手に対し、クロスへ、ストレートへ、と最高到達点340 ㎝の高い打点から打ち分けた。第1、第2セットともに先にセットポイントを握られたが、マークが集まる中でバックアタックを決めてジュースに。最後までスパイクを打ちまくり、接戦を勝ちきった。そして、準々決勝の開智(和歌山)戦ではストレート勝ち。連覇へ一歩近づいた。
昇陽戦以上の徹底マークが予想されるのが、準決勝の相手である東福岡だ。昨年のインターハイ準決勝、今年の九州大会決勝で対戦し、いずれも勝利した。だが、高さのあるブロックと、執念で拾うレシーブに、舛本はただならぬ圧を感じていた。
「九州大会では、たぶんこれまででいちばんしつこくマークされたと思います。バックアタックではいつも打つコースがブロックで閉められていて、逆の方向に打てばリベロがいました。対角の(井坂)太郎が決めてくれたから勝てたと思います」
昨年度からそのほとんどのトスを打ち切ってきたが、昇陽戦では前衛後衛問わず託されるなど、今大会ではその比重はかなり大きくなっている。舛本は「まあ、楽しいので。全然大丈夫です」と笑うが、最終日は最大で1日8セット。昨夏も経験しているとはいえ、九州大会のように、トスを散らして戦う必要もありそうだ。
九州のライバルとの3度目の対戦に向け、エースは「九州大会で勝ったとはいえ、ほんとうに負ける寸前で。勝てたのはよかったんですけど、実力は相手のほうが上なので、頑張るしかないです。いろんな人から常に二連覇してください、っていう言葉を必ずかけられるので、自分たちもその気持ちはあります」と意気込んだ。
対する東福岡の川野史童も、同じエースとして負けっぱなしでは終われない。準々決勝で聖隷クリストファー(静岡)にストレート勝ちし、鎮西が待つ準決勝へ。身長199㎝のエース川野史童は、「ベスト4まできて、去年と九州大会のリベンジができる。絶対に鎮西に勝って、決勝にいきたいです」と力強く語った。
リベンジを狙う東福岡の川野
鎮西の舛本同様、チームを背負う者として、その差を突きつけられた。6月の九州大会。川野は昨夏のインターハイのリベンジに燃えていた。徹底的なマークが実り、舛本のスパイクをワンタッチから切り返し、勝負どころでトスは川野へ。だが、相手のレシーブに阻まれ、第1セットを26-24で奪いきれず。第2セットは川野のスパイクが外れて敗れた。「勝負どころで決められず、エース対決は颯真に負けました」とうつむいた。
今大会は川野だけでなく、U18日本代表候補である葭原逢太ら多彩な攻撃を見せる。だが、大事なところで託されるのはやはりエース。藤元聡一監督は言う。「インターハイは新チームとしては初の全国大会なので、試合の中で覚醒する選手が必ず出てきます。それが誰になるのか、というところがキー。うちで言えば当然史童と葭原。打ち負けんくらいになれるかどうかでしょうね」。
川野はスタメン唯一の1年生として2020年の春高では優勝を経験。その後は「わかっても止められないエースになれ」と藤元監督から期待を込められ、重責を担ってきた。だが、昨年度はインターハイでベスト4、春高ベスト8と頂点には届かず。今大会前に語った「本戦でリベンジして1位になりたい。自分の殻を破って、颯真を超えるエースになりたい」という言葉を、強い願望で現実にする。
8月7日の試合予定(準決勝、決勝)
準決勝
鎮西ー東福岡
松本国際ー東山
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